行政法130個人情報保護法・行政機関等の個人情報ファイル・利用目的・本人への通知

行政書士 行政法 問130:個人情報保護法・行政機関等の個人情報ファイル・利用目的・本人への通知

行政機関等(国の行政機関・地方公共団体等)による個人情報の取扱いに関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。なお、本問は2022年改正後の現行個人情報保護法(第5章の行政機関等の特則)に基づく。

  • 行政機関等は、個人情報を取り扱う場合には利用目的をできる限り特定しなければならないが、利用目的を本人に事前に通知・公表する義務はなく、事後的に要求された場合に回答すれば足りる。
  • 行政機関等が保有する個人情報ファイルについて、行政機関の長等は個人情報ファイル簿を作成・公表しなければならないが、一定の例外として秘密保護の必要性が高い場合には記載・公表を省略することができる。正答
  • 行政機関等は、保有個人情報を法令に基づく場合のみ利用目的以外の目的に利用することができ、法令の根拠なしに目的外利用を行うことは一切許されない。
  • 行政機関等が個人情報を取得した場合、当該個人情報の本人に対して、取得した旨および利用目的を書面で個別に通知しなければならず、他の方法による通知・公表では足りない。
  • 行政機関等が保有する個人情報ファイル簿は、当該行政機関等の事務所における書面の縦覧によってのみ公開され、電子的手段による公開は認められていない。
正答:行政機関等が保有する個人情報ファイルについて、行政機関の長等は個人情報ファイル簿を作成・公表しなければならないが、一定の例外として秘密保護の必要性が高い場合には記載・公表を省略することができる。

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イが正しいです。行政機関の長等は個人情報ファイル簿を作成・公表しなければなりませんが、個人情報ファイルの性質によっては(例:公安・犯罪捜査・国家安全保障に関するものなど)、記載・公表を省略することができる例外が設けられています。アは「利用目的の通知・公表義務がない」としており誤りです(利用目的は個人情報の収集時等に本人に明示または公表する必要があります)。ウは「法令に基づく場合のみ目的外利用可」としており誤りです(公益性・緊急性等による例外も認められます)。エは「書面による個別通知に限定」としており誤りです(公表等の方法も認められています)。オは「書面縦覧のみ」としており誤りです(電子的手段・ウェブ公表等も認められています)。

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個人情報ファイル簿(イが正しい根拠): 行政機関等が保有する一定規模以上の個人情報ファイルについては、行政機関の長等が「個人情報ファイル簿」を作成・公表しなければなりません(個人情報保護法第74条)。個人情報ファイル簿には、ファイルの名称・利用目的・記録項目・記録範囲・開示請求の窓口等が記載されます。ただし、以下のような例外として記載・公表が省略できる場合があります:①国家安全・外交・公共安全に関するファイル、②犯罪の捜査・刑の執行に関するファイル、③本人の数が政令で定める数(1,000人)に満たないファイル等(第74条第2項)。

利用目的の通知・公表(アが誤りの根拠): 行政機関等は個人情報を収集する際に利用目的を明示または公表する必要があります(事後的な回答のみでは不十分)。ただし法令の定めによる収集の場合や、明示することにより収集の目的が達成できなくなる場合等の例外があります。

目的外利用の例外(ウが誤りの根拠): 行政機関等の保有個人情報の目的外利用・提供は、法令に基づく場合のほか、本人の同意がある場合、行政機関内部での利用・他機関への提供に「相当な理由」がある場合、統計・学術研究目的等の特別の理由がある場合にも認められます(法第69条第2項各号)。「法令に基づく場合のみ」というウの絶対的限定は誤りです。

利用目的の通知方法(エが誤りの根拠): 書面による個別通知に限定されず、政令や省令に定める方法(公表等)でも足りる場合があります。

ファイル簿の公開方法(オが誤りの根拠): 電子的手段(政府のポータルサイト等)による公開も認められています。「書面縦覧のみ」は誤りです。

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【理論的背景】

行政機関等が保有する個人情報に関する特則(第5章)は、民間部門向けの個人情報保護規律(第4章)と異なる特徴を持っています。行政機関は権力的な地位から大量の個人情報を収集・保有しており、民間企業以上に強い規律が必要とされます。その一方で、行政目的(治安・税務・福祉等)のための個人情報の収集・利用には一定の社会的必要性があり、民間とは異なる柔軟な規律設計も必要です。個人情報ファイル簿の公表義務は、行政機関が何の個人情報ファイルを保有しているかを国民が知ることができる「透明性の確保」の観点から重要な制度です。

【実務・条文構造】

個人情報ファイル簿の記載事項(主要項目・法第74条第1項):

  • 個人情報ファイルの名称
  • 行政機関の名称・個人情報ファイルの担当部局
  • 個人情報ファイルの利用目的
  • 記録項目(氏名・住所・年齢等の具体的項目)
  • 記録の対象となる本人の範囲
  • 開示請求を受け付ける担当部局の名称・電話番号

個人情報ファイル簿の公表除外事由(イが正しい根拠の詳細・法第74条第2項):

以下のファイルは個人情報ファイル簿への記載・公表から除外される:

  • 国の安全・外交に関するファイル
  • 公共の安全・秩序維持に関するファイル
  • 刑事訴訟法その他の法律による犯罪捜査・刑の執行等に関するファイル
  • 記載事項の一部を公にすることにより国の安全等が害されるおそれがある場合の当該事項
  • 本人の数が1,000人未満のファイル(法第74条第2項第9号・施行令第20条第2項)

目的外利用の例外パターン(ウが誤りの根拠の詳細・法第69条第2項):

1. 法令に基づく場合(法令による義務付け等)

2. 本人の同意があるとき、または本人に提供するとき

3. 行政機関内部での利用で相当な理由があるとき/他の行政機関等へ提供する相当な理由があるとき

4. 専ら統計・学術研究目的、本人以外の者への提供が明らかに本人の利益になるとき等の特別の理由があるとき

【試験での位置づけ】

行政書士試験では行政機関等の個人情報取扱いの特則として、個人情報ファイル簿の作成・公表義務と除外事由、利用目的の特定と明示義務、目的外利用の例外が出題されます。「書面縦覧のみ」「個別書面通知のみ」「法令に基づく場合のみ目的外利用可」という過度に限定した記述(エ・オ・ウ)が典型的な誤肢パターンです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。行政機関等は個人情報収集時に利用目的を明示または公表する義務がある(事後的な回答のみでは不十分な場合が多い)。ただし収集の目的が達成できなくなる場合等の例外あり。
  • イ: 正しい(正答)。個人情報ファイル簿の作成・公表義務と国家安全等に関する除外事由の存在を正確に表現している。
  • ウ: 誤り。目的外利用・提供が認められる例外は「法令に基づく場合」のみに限定されず、本人同意・相当な理由のある内部利用や他機関提供・統計学術目的等の例外もある(法第69条第2項)。
  • エ: 誤り。利用目的の通知は書面による個別通知に限定されず、公表等の方法も認められる場合がある。
  • オ: 誤り。個人情報ファイル簿の公開は書面の縦覧のみではなく、電子的手段(インターネット等での公表)も認められている(実際に個人情報保護委員会のウェブサイト等で公表されている)。

【根拠条文】

個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)第5章(行政機関等の個人情報の取扱い)第61条(利用目的の特定)、第69条(利用及び提供の制限:目的外利用・提供の原則禁止と例外)、第74条(個人情報ファイル簿の作成・公表と除外事由)

【補足】

個人情報ファイル簿の2点:①作成・公表義務あり(法74条・透明性確保)②例外として国家安全等のファイル・本人1,000人未満のファイルは省略可。目的外利用は「法令のみ」ではなく本人同意・相当理由・統計学術目的等の例外もある(法69条2項)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)第5章(行政機関等の個人情報の取扱い)第60条第2項(個人情報ファイルの定義)、第74条(個人情報ファイル簿の作成・公表)、第75条(個人情報ファイルの保有等に関する事前通知の例外等) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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