行政法137行政法(行政不服審査法)

行政書士 行政法 問137:行政法(行政不服審査法)

行政不服審査法上の審理の方式に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 審理員は、審査請求人または参加人の申立てがあった場合には、当該申立てをした者に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。
  • 審理員は、口頭意見陳述において審査請求人または参加人が処分庁等の職員に対して質問することを許可することができる。
  • 口頭意見陳述の機会を与える場合、審理員はあらかじめ日時・場所を申立人に通知しなければならず、申立人が出頭できない合理的な理由を申し出た場合は期日を変更しなければならない。正答
  • 審理員は、審査請求人または参加人から提出された反論書または意見書を、それぞれ相手方である処分庁等または他の審理関係人に送付しなければならない。
  • 審査請求人は、提出された弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(反論書)を提出することができる。
正答:口頭意見陳述の機会を与える場合、審理員はあらかじめ日時・場所を申立人に通知しなければならず、申立人が出頭できない合理的な理由を申し出た場合は期日を変更しなければならない。

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ウが誤りです。行政不服審査法31条は、口頭意見陳述の申立てがあった場合には審理員はその機会を与えなければならないと規定していますが、「申立人が出頭できない合理的な理由を申し出た場合は期日を変更しなければならない」とは規定していません。期日変更の義務的規定は行審法上明示されておらず、審理員には期日設定についての裁量があります。ア(31条1項)は正しく、審査請求人または参加人の申立てがあれば口頭で意見を述べる機会を与えなければなりません(ただし所在等の事情により困難な場合を除く・31条1項但書)。イ(31条5項)も正しく、口頭意見陳述に際し申立人は審理員の許可を得て処分庁等に質問を発することができます。エ(30条3項)は正しく、審理員は反論書・意見書を相手方や他の審理関係人に送付しなければなりません。オ(30条1項)は正しい記述です。

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行政不服審査法の審理手続における書面審理と口頭審理の仕組みを整理します。

書面審理の原則: 行審法による審査請求の審理は基本的に書面審理(申立書・弁明書・反論書・証拠書類の交換)を原則とします。

29条(弁明書): 審理員は処分庁等に弁明書の提出を求めます。処分庁等は弁明書と処分に係る書類その他の物件を提出します。審理員は弁明書の写しを審査請求人・参加人に送付します。

30条(反論書・証拠書類等の提出): 審査請求人は弁明書に対する反論書を提出できます(30条1項)。参加人も意見書を提出できます。審理員はこれらの写しを関係者に送付します(オ正しい)。

31条(口頭意見陳述): 審査請求人または参加人の申立てがあれば、審理員は口頭で意見を述べる機会を与えなければなりません(31条1項本文・アの根拠。ただし所在等の事情により困難な場合を除く・同項但書)。口頭意見陳述に際し、申立人は審理員の許可を得て処分庁等に対し質問を発することができます(31条5項・イの根拠)。

ウが誤りである理由: 31条は口頭意見陳述の「申立て」があれば機会を与える義務を課していますが、「合理的理由の申出による期日変更義務」は規定されていません。期日の変更については審理員が合理的に判断します。

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【行政不服審査法2016年改正と審理手続の設計思想】

2016年施行の改正行審法の最大の特徴の一つが「審理員制度」の導入です。審理員は処分に関与していない行政庁内の職員等から指名され、第三者的・中立的な立場で審理を主宰します(9条・10条・17条)。この審理員が弁明書・反論書・証拠書類等の提出を促し、口頭意見陳述を運営することで、書面審理と口頭審理を組み合わせた「準司法的手続」を実現しています。

【書面審理と口頭審理の位置づけ】

行審法の審理は書面審理を基本とします(対比:行政事件訴訟は口頭弁論主義が原則・行訴法85条)。この差異は、行政不服申立ては迅速・簡便な権利救済を目的とし(同法1条)、煩雑な口頭手続を義務化するよりも書面交換で効率的に審理を進める趣旨によります。口頭意見陳述(31条)はあくまで申立てに基づく例外的な口頭の機会であり、審査請求人の手続保障を充実させる位置づけです。

【31条の詳細構造】

31条1項: 審理員は、審査請求人または参加人の申立てがあった場合には、当該申立てをした者に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない(義務規定)。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該機会を与えることが困難であると認められる場合は、この限りでない。

31条2項: 前項の意見陳述は、審理員が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してする。→ 審理員が期日・場所を指定する権限をもつことが明示されており、「申立人の申出による期日変更義務」は法定されていません。

31条5項: 口頭意見陳述に際し、申立人(審査請求人または参加人)は、審理員の許可を得て、審査請求に係る事件に関し、処分庁等に対して質問を発することができる。質問は審理員の許可にかからしめられており、申立人が無条件に質問権を持つわけではない点が重要(イの「質問することを許可することができる」はこの趣旨に対応)。

【反論書・意見書の送付(エ関連)】

30条1項は審査請求人が弁明書に対する反論書を提出できること、30条2項は参加人が意見書を提出できることを定め、30条3項は「審理員は、審査請求人から反論書の提出があったときはこれを参加人及び処分庁等に、参加人から意見書の提出があったときはこれを審査請求人及び処分庁等に、それぞれ送付しなければならない」と規定しています。これは審理関係人間で主張・反論を相互に共有させ、対審的な攻撃防御の機会を実質的に保障する趣旨です。エはこの30条3項の送付義務を正確に述べた正しい記述です。

【口頭意見陳述の実務運用と試験頻出点】

行政書士試験では、口頭意見陳述の申立権者(審査請求人・参加人)、質問許可の任意性(31条5項は「許可することができる」=義務ではない)、書面審理の原則という3点が頻出です。特に「口頭意見陳述の質問権が権利として保障されているか」(→31条5項は審理員の裁量的許可であって申立人の権利的な質問権ではない)という区別は重要です。また、口頭意見陳述は「審問」(英:hearing)に近い性格をもちますが、日本の行政不服申立て手続では原則として審問主義(対審的口頭手続)は採用されておらず、あくまで書面審理の補完です。

【根拠条文】

行政不服審査法 第29条(弁明書の提出)、第30条第1項(反論書)・第2項(意見書)・第3項(反論書・意見書の送付)、第31条(口頭意見陳述)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政不服審査法 第31条(口頭意見陳述)、第29条(弁明書の提出)、第30条(反論書・証拠書類等の提出) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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