行政法141行政法(行政事件訴訟法)

行政書士 行政法 問141:行政法(行政事件訴訟法)

行政事件訴訟法上の当事者訴訟に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 当事者訴訟には、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの(形式的当事者訴訟)と、公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟(実質的当事者訴訟)がある。
  • 実質的当事者訴訟は、行政庁の処分等に関する不服申立てではなく、公法上の権利・義務関係の確認・形成を直接求める訴訟であるため、行政不服申立前置主義(審査請求前置)の適用はない。
  • 形式的当事者訴訟の典型例として、土地収用における損失補償についての訴訟がある。この場合、収用された土地の旧所有者と起業者が当事者となり、収用委員会が被告にはならない。
  • 実質的当事者訴訟は、取消訴訟の排他的管轄との関係で問題になる場合があり、公権力の行使に当たる行為の効力を否定する主張は、その行為が「処分」に該当する場合、取消訴訟で争うべきであって実質的当事者訴訟による確認訴訟では争えない。正答
  • 実質的当事者訴訟の一類型として、国籍・身分等の地位に関する公法上の確認の訴えがあり、最高裁判例はかかる訴訟類型の適法性を認めている。
正答:実質的当事者訴訟は、取消訴訟の排他的管轄との関係で問題になる場合があり、公権力の行使に当たる行為の効力を否定する主張は、その行為が「処分」に該当する場合、取消訴訟で争うべきであって実質的当事者訴訟による確認訴訟では争えない。

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エが誤りです。実質的当事者訴訟による確認訴訟(行訴法4条後段)は、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして、行政処分の「処分性」が認められる場合でも、一定の場合に実質的当事者訴訟として確認訴訟を提起することが許容される場合があります。最高裁は、処分性のある行政行為についての取消訴訟への排他的な管轄を原則としつつも、実質的当事者訴訟による確認訴訟が一定の場合に適法とされる場面を認めています。エの「処分に該当する場合は実質的当事者訴訟では争えない」という絶対的断定は誤りです。ア(4条の定義)は正しい記述です。イ(前置主義の不適用)は実質的当事者訴訟の特徴として概ね正しいです。ウ(土地収用・損失補償訴訟が形式的当事者訴訟の典型例)は正しい記述です。オ(国籍・地位確認の実質的当事者訴訟の適法性)は正しい記述です。

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行政事件訴訟法4条の当事者訴訟の二類型を整理します。

形式的当事者訴訟(4条前段): 「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」。典型例:土地収用法133条の損失補償訴訟(ウ正しい)。旧所有者と起業者が当事者となり、収用委員会(行政庁)は被告にならない(形式的当事者が争う)。

実質的当事者訴訟(4条後段): 「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」。例:公務員の地位確認、国籍確認、在外邦人選挙権確認(最判平17.9.14)等。

エが誤りの根拠: 実質的当事者訴訟と取消訴訟の関係は、単純に「処分性がある=取消訴訟のみ」という二分論ではありません。最高裁(在外邦人選挙権確認判決・最大判平17.9.14等)は、取消訴訟では救済が不十分な場合に確認の利益を認め、実質的当事者訴訟による確認訴訟の適法性を認めています。「処分に該当する場合は実質的当事者訴訟では一切争えない」という絶対的ルールは存在しません。

オが正しい根拠: 最大判平成17年9月14日(在外邦人選挙権訴訟)は、在外邦人の選挙権行使を認めない公職選挙法規定の違憲確認と選挙権の確認を公法上の法律関係確認(実質的当事者訴訟)として許容しました。

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【当事者訴訟の理論的位置づけ】

行政事件訴訟法は、①抗告訴訟(3条:行政庁の公権力の行使に関する訴訟)、②当事者訴訟(4条)、③民衆訴訟(5条)、④機関訴訟(6条)の4類型を規定しています。当事者訴訟(特に実質的当事者訴訟)は、2004年の行政事件訴訟法改正で確認訴訟を明記したことにより活用が広がりました。改正前は実質的当事者訴訟の活用が限られていましたが、改正後は「公法上の法律関係に関する確認の訴え」として明文化され、行政庁の処分を介さない公法上の権利義務関係の確認手段として重要性が増しています。

【形式的当事者訴訟の詳細】

形式的当事者訴訟は「処分または裁決」に関連しますが、被告が行政庁ではなく「法律関係の当事者の一方」となる点で抗告訴訟と異なります。土地収用の損失補償訴訟(土地収用法133条)は最重要例で、収用委員会の裁決(損失補償裁決)に不服がある場合、旧所有者は起業者を被告として損失補償額の増額を求める訴訟を提起します。収用委員会(行政庁)が被告にならない点が特徴的です。また、特許無効審判における審決取消訴訟も形式的当事者訴訟に分類されます。

【実質的当事者訴訟の拡張と取消訴訟との関係(エの詳細分析)】

抗告訴訟(取消訴訟)の排他的管轄という考え方は、「処分性のある行政行為の効力を争うには取消訴訟によらなければならず、民事訴訟・確認訴訟で争うことはできない」という制度趣旨に基づきます(行訴法3条1項、7条参照)。しかし、この排他的管轄は絶対的なものではなく、判例は以下の場面で実質的当事者訴訟による確認訴訟を認めています:

在外邦人選挙権確認訴訟(最大判平17.9.14): 選挙権の確認という公法上の法律関係の確認として実質的当事者訴訟の適法性を認めました。選挙の無効訴訟という制度的経路が存在しますが、それでは救済が不十分と判断されました。

医療従事者資格確認訴訟等: 処分によって形成された法律関係(行政処分を経た後の法律状態)の確認は、取消訴訟に代わる救済手段として実質的当事者訴訟が認められる場合があります。

したがって、エの「処分に該当する場合は実質的当事者訴訟では争えない」という絶対的断定は正確ではなく、取消訴訟と実質的当事者訴訟の選択は事案の性質・救済の必要性・手続保障等を考慮して判断されます。

【行政書士試験における当事者訴訟の出題傾向】

当事者訴訟は形式的・実質的の区別と、典型事例(土地収用=形式的、選挙権確認=実質的)の理解が試験で問われます。また、抗告訴訟との区別(処分性の有無・被告適格・出訴期間)も重要な比較点です。抗告訴訟は処分庁等を被告とし出訴期間の制限がありますが、実質的当事者訴訟は国または公共団体を被告とし、処分性を問わず公法上の権利義務関係の確認・形成が目的です。2004年改正による実質的当事者訴訟の位置づけ強化は、権利救済の幅を広げるという立法趣旨を理解しておくことが重要です。

【根拠条文・判例】

行政事件訴訟法 第4条(当事者訴訟の定義)、第3条(抗告訴訟)

土地収用法 第133条(損失補償訴訟)

最大判平成17年9月14日(在外邦人選挙権確認訴訟:実質的当事者訴訟の適法性)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政事件訴訟法 第4条(当事者訴訟の定義)、第3条(抗告訴訟)、第10条(取消訴訟の排他的管轄) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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