問題
地方自治法上の国と地方公共団体の関係(関与)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
オが正しい記述です。地方自治法245条の5第1項は、各大臣が自治事務の処理が法令違反または著しく適正を欠き公益を害すると認めるとき、文書で是正を要求できると規定しており、オの記述と対応します(オ正しい)。アは「是正要求は法定受託事務のみ」としていますが、是正要求は自治事務についても行うことができます(245条の5・ア誤り)。イは審査の申出を「60日以内」としていますが、国の関与に関する審査の申出は、当該国の関与があった日から30日以内にしなければなりません(250条の13第4項・イ誤り)。ウは、是正の要求の対象は都道府県では自治事務、市町村では第一号法定受託事務を除く事務であり(245条の5第1項・2項・4項)、「第一号法定受託事務についても行うことができる」とする点が誤りです。エは代執行の手続として「直ちに高等裁判所に許可を求める」としていますが、勧告(245条の8第1項)・指示(同条2項)の後に高等裁判所への訴え(同条3項)をする手続であり、誤りです。
地方自治法上の国の関与の類型を体系的に整理します。
関与の分類:
自治事務に対する国の関与: ①助言・勧告(245条の4)、②是正の要求(245条の5)
法定受託事務に対する国の関与: ①助言・勧告(245条の4)、②是正の指示(245条の7)、③代執行(245条の8)
是正要求(245条の5): 各大臣が地方公共団体の自治事務の処理が法令違反または著しく適正を欠き公益を害すると認めるとき、文書で必要な措置を講ずべきことを要求できます(オの根拠)。「自治事務が対象」という点が是正指示との重要な違いです。
是正指示(245条の7): 各大臣が地方公共団体の法定受託事務の処理が違法等と認めるとき、必要な措置を講ずるよう指示できます。「法定受託事務が対象」(ウの前半・是正指示は法定受託事務のみ・正しい)。
ウの「是正要求は第一号法定受託事務にも」が誤り: 是正要求(245条の5)の対象は、都道府県では自治事務、市町村では第一号法定受託事務を除く事務です(同条1項・2項・4項)。
イの審査申出期間: 国の関与に関する審査の申出は、国の関与があった日から30日以内です(250条の13第4項・イの「60日以内」は誤り)。
代執行(245条の8)の手続: 勧告(1項)→指示(2項)→高等裁判所への訴え(3項)→当該事項を行うべきことを命ずる裁判(6項)→なお行わないときに大臣が代わって行う(8項)という段階的手続が必要です(エの「直ちに高裁へ」は誤り)。
【地方分権改革と国の関与の法定化】
2000年の地方分権一括法施行により、地方自治法の国・地方関係の規定が大きく変わりました。旧来は国が地方公共団体に対して「通達」「指示」等を通じて事実上強い関与を行っていましたが、改正後は関与の種類・手続・ルールが地方自治法に明確に法定化され(関与の法定主義・245条の2)、国の恣意的な関与が制限されました。関与の分類は「助言・勧告」「資料提出の要求」「是正の要求・指示」「代執行」等に整理され、各関与の対象事務(自治事務・法定受託事務)が明確化されています。
【是正要求・是正指示・是正勧告の比較】
是正要求(245条の5・自治事務対象):
- 主体: 各大臣(市町村に対しては各大臣の指示を受けた都道府県の執行機関が求める=2項・3項、緊急時等は各大臣が自ら=4項)
- 対象: 都道府県の自治事務(1項)、市町村の事務(第一号法定受託事務を除く=2項・4項)
- 要件: 法令違反 OR 著しく適正を欠き公益を害する
- 内容: 必要な措置を講ずべきことを文書で要求
是正指示(245条の7・法定受託事務対象):
- 主体: 各大臣(都道府県の法定受託事務=1項)、都道府県の執行機関(市町村の法定受託事務=2項)
- 対象: 法定受託事務(各大臣が自ら市町村に指示できるのは第一号法定受託事務=4項)
- 要件: 法令違反 OR 著しく適正を欠き公益を害する
- 内容: 必要な措置を講ずるよう指示
是正勧告(245条の6・自治事務対象):
- 主体: 都道府県の執行機関(知事・教育委員会・選挙管理委員会)
- 対象: 市町村の自治事務
- 「勧告」は法的拘束力の点で「要求」より弱い
【代執行の手続(エの精緻な分析)】
245条の8の代執行は、単純に「是正指示に従わなければ直ちに代執行」ではなく、段階的な手続が必要です:
①勧告(245条の8第1項): 文書により、期限を定めて、違反の是正又は怠る法定受託事務の管理・執行を改めるべきことを勧告。
②指示(245条の8第2項): 期限までに勧告に係る事項を行わないときに、文書により、期限を定めて当該事項を行うべきことを指示。
③高等裁判所への訴え(245条の8第3項): 期限までに当該事項を行わないときに、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求。
④高等裁判所の裁判(245条の8第6項): 請求に理由があると認めるときは、期限を定めて当該事項を行うべきことを命ずる。
⑤代執行(245条の8第8項): 裁判に従わず期限までになお行わないときに、大臣が知事に代わって当該事項を行う。
エは「是正指示に従わない場合、直ちに高裁に代執行の許可を求める」としていますが、実際には勧告・指示を経て高裁に訴えを提起し、命ずる裁判の後になお履行がなければ大臣が代わって行う多段階手続であり、高裁に代執行の許可を求める手続はありません(エ誤り)。
【国地方係争処理委員会との関係(イの補足)】
地方公共団体は、国の関与(是正要求・是正指示等)に不服がある場合、国地方係争処理委員会(総務省設置)に審査の申出ができます(250条の13以下)。委員会は審査・勧告を行い、審査の結果等に不服がある場合は高等裁判所への出訴が可能です(251条の5)。ただし、審査の申出は、当該国の関与があった日から30日以内にしなければなりません(250条の13第4項)。イの「是正指示があった日から60日以内」はこの期間と異なり、誤りです。
【試験対策:自治事務vs法定受託事務の関与の違い】
「是正要求=自治事務・是正指示=法定受託事務」という対応関係は行政書士試験の頻出事項です。覚え方:「要求」は比較的弱い(自治事務は地方の自主性尊重・強制力が弱い)、「指示」は強い(法定受託事務は国の利害が強い)というニュアンスの違いと関連付けて理解するとよいです。
【根拠条文】
地方自治法 第245条(関与の定義)、第245条の2(関与の法定主義)、第245条の4(助言・勧告・資料提出要求)、第245条の5(是正要求・自治事務)、第245条の6(是正勧告)、第245条の7(是正指示・法定受託事務)、第245条の8(代執行等・法定受託事務)、第250条の13(国地方係争処理委員会への審査申出)
- 地方自治法第245条の5・第245条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 地方自治法 第245条の5(是正要求)、第245条の6(是正の勧告)、第245条の7(是正の指示)、第245条の8(代執行等)、第250条の13(国の関与に関する審査の申出) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

