行政書士 行政法 問25:行政手続法
行政手続法の適用に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア行政手続法は、処分、行政指導および届出に関する手続ならびに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。
- イ行政手続法の規定は、地方公共団体の機関がする処分(その根拠が条例または規則に置かれているものに限る)および行政指導については、原則として適用されない。
- ウ学校・監獄・病院等の特別な権力関係(特別権力関係)の内部における指示や命令に相当する行為については、行政手続法の適用除外とされている。
- エ行政手続法は、国の機関または地方公共団体に対する処分については、当該機関の権利を保護する必要が高いため、すべて行政手続法の適用対象とされている。正答
- オ外国人の出入国・難民認定に関する処分については、行政手続法の適用除外が定められている。
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行政手続法は全ての行政処分に適用されるわけではなく、重要な適用除外があります。
エが誤りです。 国の機関・地方公共団体に対する処分は「当該機関が法人でない場合」を中心に適用除外とされています(行手法4条1項)。「すべて適用対象」は誤りです。国・地方公共団体は私人と異なり、機関相互の関係は行政手続法の対象外とされています。
主要な適用除外(行手法3条):
- 国会・裁判所の行為(権力分立)
- 刑事手続上の処分(刑事訴訟法が適用)
- 外国人の出入国・難民認定(オは正しい)
- 公務員の任免・給与・懲戒(別の手続法)
- 学校・病院・刑務所等の内部規律(ウは正しい)
地方公共団体の機関の処分(行手法3条3項): 根拠が条例・規則に置かれている処分や行政指導には行政手続法は適用されません(イは正しい)。
行政手続法の適用除外の体系:
行手法3条(適用除外)は多数の適用除外を列挙しています。主な類型:
1. 国会・裁判所・地方議会の行為: 権力分立・独立性の尊重
2. 刑事手続関係: 刑事訴訟法に専門手続あり
3. 外国人の出入国・帰化・難民認定: 高度な政策的判断を要するため
4. 公務員の身分取扱い(任免・昇格・懲戒等): 人事院・国公法等に別途手続あり
5. 学校・刑務所・精神科病院等の内部規律: 施設内部の管理的行為
6. 条例・規則を根拠とする地方公共団体の処分・行政指導 (行手法3条3項)
国・地方公共団体への処分と適用除外(エが誤りの根拠):
行手法4条は「国の機関または地方公共団体若しくはその機関に対する処分(中略)及びこれらの機関が当事者となる届出については、これらの規定(申請に対する処分・不利益処分の手続等)は、適用しない」と定めています(要約)。機関相互の関係は当事者間の交渉・協議で対応するため、手続的保護の必要性が低いとされるためです。
地方公共団体の独自手続の根拠 (行手法3条3項・46条):
地方公共団体は独自の行政手続条例を制定することが求められており(行手法46条)、条例・規則を根拠とする処分については行政手続法でなく条例が適用されます。
【理論的背景】
行政手続法は1994年(平成6年)に制定され、行政処分・行政指導・届出・命令等(法規命令の制定)について共通の手続ルールを定めることで、行政の公正性・透明性を確保しようとする法律です。制定前は各個別法に手続規定が散在し、手続的保護が不統一・不十分でした。
適用除外の設計思想: 行政手続法が適用除外を広く設けているのは、①行政活動の多様性(刑事手続・国会の自律・軍事的判断等は別の論理で動く)、②既存の手続ルールの尊重(個別法に詳細な手続規定がある分野)、③高度な政策的判断の必要性(外国人の出入国等)という理由からです。
【実務・条文構造】
行手法3条1項各号の適用除外(主要なもの):
- 1号: 刑事事件に関して法令の規定に基づいてする処分
- 2号: 国会両院・各議院等の機関のする処分
- 3号: 裁判所・裁判官のする処分
- 10号: 学校、刑事施設、精神科病院等において、在学・在所・入院中の者に対してする処分
- 14号: 外国人の出入国・帰化・国籍回復・難民認定・退去強制に関する処分(外国人の入管関係)
- 15号: 公務員の身分取扱い(任免・懲戒等)
行手法4条(地方公共団体の機関に対する処分等): 国の機関・地方公共団体・その機関を名宛人とする処分については、申請に対する処分・不利益処分の手続(行手法2章・3章)が適用されません。これは「機関相互の行政上の関係は行政組織法上の問題」として処理するためです。
行手法3条3項(条例・規則を根拠とする地方公共団体の処分・行政指導):
「地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第7号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第6章までの規定は、適用しない。」
この規定により、地方独自の条例に基づく処分・行政指導は行政手続法の対象外となり、各地方公共団体の行政手続条例(行手法46条が制定を促している)が適用されます。
【試験での位置づけ】
行政書士試験では「行政手続法の適用除外」は毎年出題される重要論点です。特に①地方公共団体の条例・規則を根拠とする処分・行政指導への不適用(行手法3条3項)、②国機関相互の処分への不適用(行手法4条)、③外国人の出入国関係への不適用(行手法3条1項14号)、④刑事手続関係への不適用(3条1項1号)の4点を押さえておいてください。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 行手法1条の目的規定をほぼ正確に引用しています。「公正の確保と透明性の向上」「国民の権利利益の保護に資する」がキーワード。
- イ(正): 行手法3条3項。条例・規則を根拠とする場合の地方公共団体の処分・行政指導は適用除外。国の機関が法律に基づいて行う処分は適用対象。
- ウ(正): 行手法3条1項10号に相当。施設内部における管理的行為(学校の懲戒・刑事施設の規律維持等)は適用除外。
- エ(誤): 行手法4条により国・地方公共団体への処分は適用除外。機関相互の行政関係は行政手続法でなく行政組織法の問題。
- オ(正): 行手法3条1項14号(外国人の出入国・帰化・難民認定等)は適用除外。入管行政は高度な政策的判断・国際条約上の義務等を伴うため別途規律。
【根拠条文】行政手続法 第1条(目的)、第3条第1項第10号・第14号(適用除外)、第3条第3項(地方公共団体の条例・規則根拠の処分等)、第4条(国・地方公共団体に対する処分等の適用除外)、第46条(地方公共団体の措置)
【補足】行手法の適用除外: 刑事手続・外国人出入国・公務員身分取扱い・施設内管理行為・国/地方機関相互処分・条例/規則根拠の地方処分。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政手続法 第1条(目的)、第3条(適用除外)、第4条(地方公共団体の機関の処分等への適用)。 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。