行政書士 商法・会社法 問21:単元株制度・単元未満株主の権利
単元株制度に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア単元株制度とは、一定の株数を1単元として、1単元未満の株式(単元未満株)を保有する株主には株主としての権利を一切認めない制度をいう。
- イ単元株の数は、会社が自由に設定することができ、1000株を超える数を1単元とすることも認められる。
- ウ単元株制度を廃止するには、株主総会の特別決議による定款変更が必要であり、取締役会決議だけでは廃止することができない。
- エ単元未満株主は、会社に対して自己の単元未満株式を時価相当額で買い取るよう請求することができない。
- オ単元未満株主は、議決権を持たないが、剰余金の配当・残余財産の分配を受ける権利は有する。正答
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単元株制度(会社法188条〜)は、複数株をまとめて1単元として、1単元で1議決権を持つとする制度です。単元未満株主には議決権がありませんが、すべての株主権を失うわけではありません(ア誤り:「一切認めない」は過剰)。単元の数には上限があり、1000株または発行済株式総数の200分の1のうち、いずれか少ない数が上限です(イ誤り:1000株超は不可)。単元未満株主の権利(会社法189条2項):定款の定めがない限り、単元未満株主は議決権は持ちませんが、剰余金の配当・残余財産分配・単元未満株式の買取請求権は保持します(オ正しい)。エは誤りで、会社法192条が単元未満株主の買取請求権を認めています。単元株の廃止は取締役会決議でも行うことができます(ウ誤り:特別決議不要)。
単元株制度の各論点を整理します。単元株式数の設定(188条):会社は定款で一定の数の株式を1単元とすることができます。上限は「1000」および「発行済株式総数の200分の1」を超えることができません(会社法188条2項・会社法施行規則34条)。よって1000株を超える単元数は設定できません(イ誤り:1000株超は不可)。単元未満株主の権利(189条):単元未満株主は原則として議決権を有しません(189条1項)。しかし定款に定めがなければ(除外していない場合)以下の権利は保持します(189条2項各号):①剰余金配当・②残余財産分配・③単元未満株式の買取請求・④募集株式等の割当てを受ける権利等(オ正しい)。したがってアの「一切認めない」は誤りです。単元未満株式の買取請求(192条):単元未満株主は、会社に対して自己の単元未満株式を買い取るよう請求することができます(エ誤り:「できない」は誤り)。買取価格は市場価格を基準とします。単元株制度の廃止・変更(195条):単元株式数を廃止する定款変更は、取締役会の決議によって行うことができます(公開会社の場合等:195条1項)(ウ誤り:特別決議不要)。これは株主に不利益をもたらさない(単元廃止は株主の議決権等を増やす方向)ため、簡易手続が認められています。
【理論的背景】
単元株制度の目的は、①株式の実質的な最低取引単位を確保することで投資家が1単元以上の株式を持って議決権を行使するインセンティブを与えること、②会社事務の効率化(多数の少額株主の議決権行使事務を省略)、③株式の単位調整(低額面株式が多数存在する場合に単元株で整理)にあります。単元未満株主の権利制限は株主平等原則の観点から問題があるようにも見えますが、会社法189条が法律上明示的に制限を認めているため、株主平等原則の例外として適法です。単元未満株式の買取請求権(192条)を認めることで、単元未満株主が完全に権利から締め出されることなく、経済的価値(株式の売却機会)は保護されます。単元株廃止の簡易手続(取締役会決議での定款変更が可能:195条)は、廃止が株主に不利益をもたらさず(議決権が増える方向)、株主総会を開催するコストを節約するための合理的な例外です。
【条文構造】
会社法188条1項「株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において議決権を行使することができる一単元の株式の数(以下「単元株式数」という。)を定款で定めることができる」。188条2項は単元株式数が「1000及び発行済株式の総数の200分の1に当たる数を超えることができない」(会社法施行規則34条)とする上限を定めます。会社法189条1項「単元株式数に満たない数の株式(以下「単元未満株式」という。)を有する株主(以下「単元未満株主」という。)は、その有する単元未満株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使することができない」。189条2項各号で単元未満株主でも行使できる権利を列挙(剰余金配当・残余財産分配・単元未満株式の買取請求等)。192条1項「単元未満株主は、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる」。195条1項「取締役会設置会社については、単元株式数に係る定款の変更は、その変更が…取締役会の決議によって行うことができる」(簡易手続)。
【試験での位置づけ】
行政書士試験での単元株の問われ方は、①単元未満株主の権利(議決権なし・配当等あり)、②単元株式数の上限(1000株or発行済株式総数の1/200のうち少ない方)、③単元未満株式の買取請求権の有無(あり:192条)、④単元廃止の手続(取締役会決議:195条)の4点が典型です。本問オ(単元未満株主は議決権なし・配当等はある)が正答であることを確認します。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 誤り。「株主としての権利を一切認めない」は過剰。会社法189条2項により、議決権は認められないが配当・残余財産分配・単元未満株式買取請求権等は保持する。
- イ: 誤り。単元株式数には上限規制があり、「1000株を超える数」を1単元とすることはできない(会社法188条2項・会社法施行規則34条:1000かつ発行済株式総数の1/200が上限)。
- ウ: 誤り。会社法195条1項により、単元株式数の廃止に係る定款変更は、取締役会設置会社においては取締役会の決議によって行うことができる(特別決議不要の簡易手続)。廃止は株主に不利益でないため簡易手続が認められる。
- エ: 誤り。会社法192条1項が単元未満株主の会社への買取請求権を明示的に認めている。単元未満株式の買取請求は単元未満株主の重要な権利の一つ。
- オ: 正しい。会社法189条1項(単元未満株主は議決権行使不可)・189条2項(配当・残余財産分配等は行使可能)による帰結。
【根拠条文】
会社法 第188条第1項(単元株式数の設定)
会社法 第189条第1項(単元未満株主の議決権排除)
会社法 第189条第2項各号(単元未満株主が行使できる権利)
会社法 第192条第1項(単元未満株式の買取請求権)
会社法 第195条第1項(単元株廃止の取締役会決議による定款変更)
会社法 第188条第2項・会社法施行規則第34条(単元株式数の上限=1000かつ発行済株式総数の1/200)
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第188条(単元株式数)、会社法第189条(単元未満株主の権利の制限)、会社法第192条(単元未満株式の買取り請求)、会社法第195条(単元株式数の廃止等の定款変更) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。