行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 商法・会社法 問22|株式の相続・株主権の共有・共有者の権利行使

問題

行政書士 | 商法・会社法

株式の相続・共有に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

株式の共有(会社法106条):株式が複数の者の共有に属する場合、共有者は会社に対して権利を行使する者を1名定め、その者を通じて権利行使しなければなりません(ア正しい・イ正しい)。ウが誤りで、「共有者全員の同意があれば、会社の同意がなくても個別に議決権を行使できる」とありますが、会社法106条は「共有者は…権利を行使する者一人を定め…なければ、当該株式についての権利を行使することができない」と規定し、ただし書により会社が同意した場合は例外となります。共有者全員の同意だけでは足りません。相続による共有(エ正しい)や、相続人への売渡請求(オ正しい)も正確です。

株式の共有・相続に関する各論点を整理します。株式の共有と権利行使(会社法106条):株式が共有の場合、共有者は会社に対して権利を行使する者1名を定め、会社に通知しなければなりません(1項)。この者を定めて通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができません(同条本文)。会社が同意した場合の例外は同条ただし書に規定されており、ウのように会社の同意なしに共有者全員の同意だけで個別に議決権を行使することはできません(ウ誤り)。これが誤りの核心です。相続による共有(エ正しい):株式が相続で共有となった場合(例:3人の共同相続人が均等に相続)、遺産分割完了まで共有状態が続き、106条のルール(権利行使者1名の指定)が適用されます。相続人への売渡請求(オ正しい):会社法174条〜177条は、定款に定めを置くことで、相続等の一般承継により譲渡制限株式を取得した相続人等に対して会社が売渡請求できる制度を設けています(閉鎖会社での株主の固定化を維持するため)。売渡請求はその都度、株主総会の特別決議(会社法175条・176条・309条2項3号)により請求株式数等を定めて行い、会社が相続その他の一般承継を知った日から1年以内に行使する必要があります(176条1項)。

【理論的背景】

株式の共有に関する会社法106条の規律は、会社の事務負担の軽減(複数の共有者がそれぞれ異なる意見で権利行使を求めると会社が対応困難になる)と株主権の単一性(1株1議決権という原則を維持するために、共有株式の分割行使を防ぐ)という2つの要請から設けられています。相続による共有(遺産共有)は、相続人が遺産分割をするまでの間、暫定的に発生するものであり、長期化した場合の会社の運営に支障をきたすことがあります。このため、相続人等への売渡請求制度(174条〜)が設けられており、閉鎖会社が「会社に無関係な相続人が株主となること」を防ぐための手段として機能します。売渡請求は相続その他の一般承継を知った日から1年以内に行使しなければならず(会社法176条1項)、その都度株主総会の特別決議(309条2項3号)を要します。共有者全員の同意による個別行使の問題は、106条ただし書が会社の同意を例外の要件としているため、ウのように会社の同意なしに認められるとする記述が誤りの核心です。

【条文構造】

会社法106条1項「株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない」。同条ただし書「ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない」(会社の同意が例外の要件であり、共有者全員の同意だけで個別行使が認められるという意味ではない)。会社法174条「株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる」。176条(売渡しの請求)は株主総会の特別決議(309条2項3号)を要件とし、会社が相続その他の一般承継を知った日から1年以内という請求期間の制限があります。

【試験での位置づけ】

行政書士試験での株式の共有・相続の問われ方は、①権利行使者の指定義務(106条・1名・通知要件)、②相続による共有と遺産分割の関係、③相続人等への売渡請求(定款の定め必要・会社法174条〜)、④106条ただし書の「会社の同意」の意味の4点が典型です。本問ウは106条ただし書の解釈の精確さを問うものです。「共有者全員の同意があれば会社の同意なしに個別行使できる」ではなく「会社が同意した場合に限り例外」という点が問われています。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。106条1項本文(権利行使者1名の指定・通知義務)の趣旨に正確に対応している。
  • イ: 正しい。106条1項(権利行使者の指定・通知がない場合、会社は権利行使を拒絶できる)。会社には通知のない共有者による権利行使に応ずる義務はない。
  • ウ: 誤り。会社法106条ただし書は「株式会社が…同意した場合は、この限りでない」と規定しており、「会社の同意」が要件。共有者全員の同意があっても、会社の同意がなければ各共有者が個別に議決権を行使することはできない。
  • エ: 正しい。相続による遺産共有の場合、遺産分割まで共有状態が続き、106条1項の権利行使者指定義務が適用される。複数相続人が共有する株式は1名を指定して権利行使する。
  • オ: 正しい。会社法174条により、定款の定めを設けることで、相続等の一般承継で譲渡制限株式を取得した者に対して会社が売渡請求できる(閉鎖会社の株主固定化手段)。請求は株主総会の特別決議(309条2項3号)を要件とし、相続その他の一般承継を知った日から1年以内に行使する必要がある(176条1項)。

【根拠条文】

会社法 第106条第1項・ただし書(株式の共有・権利行使者の指定・会社の同意)

会社法 第174条(相続人等への売渡請求の定款の定め)

会社法 第175条・第176条第1項(売渡しの請求・株主総会特別決議・知った日から1年以内)

会社法 第309条第2項第3号(売渡請求の特別決議要件)

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第106条(株式の共有・権利行使者の指定)、会社法第174条〜177条(相続人等に対する売渡し請求) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。