問題
株券および株式の電子化に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
会社法214条は、株式会社は株券を発行する旨を定款で定めることができるとしています。つまり、定款に定めがなければ株券は発行しないのが原則です(ア・イ誤り)。株券発行会社は株式を発行した日以後遅滞なく株券を発行しなければならず(215条1項)、株主の請求がある時まで発行しないことができるのは公開会社でない株券発行会社だけです(215条4項、ウ誤り)。株券発行会社の株式の譲渡は株券の交付で効力を生じ(128条1項)、会社への対抗には株主名簿の名義書換が必要です(130条、エ正しい)。株券発行前の譲渡は会社に対して効力を生じません(128条2項、オ誤り)。
条文で整理します。株券不発行が原則(214条):「株式会社は、その株式…に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる」。株券を発行するのは定款に定めを置いた株券発行会社だけであり、定款の定めがなければ株券は発行しません。したがって、定款の定めにかかわらず発行義務があるとするアは誤り、発行が原則で不発行には定款の定めが要るとするイも誤りです。株券発行会社の発行義務(215条):1項は「株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない」と定め、4項は「公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは」株券を発行しないことができると定めます。公開会社である株券発行会社にはこの扱いがないため、ウは誤りです。譲渡の効力と対抗要件:128条1項は株券発行会社の株式の譲渡は「株券を交付しなければ、その効力を生じない」と定め(自己株式の処分による譲渡は除く)、130条1項・2項により、株券発行会社では株主名簿の記載・記録が株式会社に対する対抗要件となります(エ正しい)。株券発行前の譲渡:128条2項は「株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない」と定めるため、オは誤りです。
【理論的背景】
株券は株式を表章する有価証券であり、株券を発行すれば株式の譲渡は株券の交付という目に見える形で行われます。その反面、株券の紛失・盗難のリスクや、発行・保管・交付の手間がかかります。会社法は、株券を発行するかどうかを会社の選択に委ね、定款に定めを置いた会社だけが株券を発行する仕組みを採っています(214条)。株券を発行しない会社では、株式の譲渡を株式会社その他の第三者に対抗するための要件は株主名簿の記載・記録となります(130条1項)。一方、株券発行会社では、株券の交付が譲渡の効力要件となり(128条1項)、株主名簿の記載・記録は株式会社に対する対抗要件に位置付けられます(130条2項)。株券発行会社では、会社との関係は株主名簿で画一的に処理されるという役割分担です。また、株券発行会社であっても、公開会社でない会社に限っては、株主から請求がある時まで株券を発行しないことが認められています(215条4項)。
【条文構造】
会社法214条「株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる」。215条1項「株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない」。同条2項・3項は株式の併合・分割をした場合の発行義務、4項は「前三項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる」。128条1項「株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない」。128条2項「株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない」。130条1項「株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない」、2項は株券発行会社について「株式会社その他の第三者」を「株式会社」と読み替えています。
【試験での位置づけ】
行政書士試験での株券の問われ方は、①株券不発行が原則で、発行には定款の定めが必要であること(214条)、②株券発行会社の発行義務と、公開会社でない株券発行会社の例外(215条1項・4項)、③株券発行会社での譲渡の効力要件(株券の交付)と対抗要件(株主名簿)の区別(128条1項・130条)、④株券発行前の譲渡の効力(128条2項)が典型です。「発行が原則」「公開会社でも請求まで発行しなくてよい」「発行前の譲渡も会社に効力を生ずる」といった原則と例外を逆にした記述が引っかけになります。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 誤り。214条により、株券の発行は定款で定めた場合に限られる。定款の定めにかかわらず株券を発行する義務を負うことはない。
- イ: 誤り。214条は「株券を発行する旨を定款で定めることができる」と定めており、原則と例外が逆である。定款で定めを置くのは株券を発行する場合であり、株券を発行しないために定款の定めは要らない。
- ウ: 誤り。215条4項の例外は「公開会社でない株券発行会社」に限られる。公開会社である株券発行会社は、215条1項により株式を発行した日以後遅滞なく株券を発行しなければならない。
- エ: 正しい。128条1項により株券の交付が譲渡の効力要件であり、130条1項・2項により株券発行会社では株主名簿の記載・記録が株式会社に対する対抗要件となる。
- オ: 誤り。128条2項により、株券の発行前にした譲渡は株券発行会社に対し効力を生じない。
【根拠条文】
会社法 第214条(株券を発行する旨の定款の定め)
会社法 第215条第1項・第4項(株券の発行・公開会社でない株券発行会社の例外)
会社法 第128条第1項・第2項(株券発行会社の株式の譲渡)
会社法 第130条第1項・第2項(株式の譲渡の対抗要件)
- 会社法第214条・第215条・第128条・第130条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第214条(株券を発行する旨の定款の定め)、会社法第215条第1項・第4項(株券の発行)、会社法第128条(株券発行会社の株式の譲渡)、会社法第130条(株式の譲渡の対抗要件) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

