商法・会社法23株券・振替株式・株式の電子化と株券不発行制度

行政書士 商法・会社法 問23:株券・振替株式・株式の電子化と株券不発行制度

株券および株式の電子化に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 株式会社は定款の定めにかかわらず、株券を発行する義務があり、株主は会社に対して株券の発行を請求することができる。
  • 現行法(会社法)では、株券の発行は原則として任意(発行しない制度が原則)であり、定款に株券を発行する旨を定めた株券発行会社のみが株券を発行する。
  • 上場会社の株式は株券を発行することができず、振替口座簿(保管振替機構を通じた電子的管理)によって株式の権利移転が行われる。
  • 株券発行会社において株券が発行されている場合、株式の譲渡は株券の交付によって効力を生じるが、会社に対する対抗要件としては別途株主名簿の名義書換が必要である。正答
  • 振替株式(上場株式等)については、株主名簿の名義書換に代わって振替口座簿への記録が権利移転の要件とされ、振替口座に記録された者が株主として扱われる。
正答:株券発行会社において株券が発行されている場合、株式の譲渡は株券の交付によって効力を生じるが、会社に対する対抗要件としては別途株主名簿の名義書換が必要である。

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株券の発行について、現行法(会社法)では原則として株券不発行が標準です(イ正しい)。定款で「株券を発行する」と定めた会社(株券発行会社)のみ株券を発行します。アの「発行義務あり・請求権あり」は旧法の考え方で現行法では誤りです。上場会社の株式は社債株式等振替法(振替法)により振替口座簿で管理され、株券そのものは廃止されています(ウの「株券を発行することができない」は正確だが「振替口座簿による権利移転」の説明は制度の概要としておおむね正しい)。株券発行会社での株式譲渡(エ正しい):株券発行会社では株式の譲渡は株券の交付によって効力が生じ(当事者間での譲渡効力発生要件)、会社に対する対抗要件は別途株主名簿の名義書換です。これが二段階の要件として機能します。

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株券・振替株式制度を整理します。株券の不発行原則(会社法215条4項):株券発行会社でない株式会社は、株券を発行することができません。現行会社法では株券を発行しない(株券不発行)が原則であり、定款で株券を発行する旨を定めた「株券発行会社」(214条)のみが株券を発行できます(イ正しい、ア誤り:発行義務・請求権はない)。株券発行会社における株式の譲渡(128条1項):株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じません(当事者間の効力発生要件)。さらに会社に対抗するためには株主名簿の名義書換(130条)も必要です(エ正しい:交付で効力発生・名義書換で対抗、という二段階構造)。上場会社と振替制度:上場会社の株式は社債株式等振替法(振替法)の適用を受け、株券の廃止(ペーパーレス化)と振替口座簿による電子的管理が義務付けられています(ウ:「株券を発行することができない」は一部正確だが、振替口座への記録が権利移転要件という説明はやや不正確)。振替株式の権利者(オ):振替口座に記録された者が株主として扱われますが、振替口座への記録が「権利移転の要件」というより「権利者の確定・対抗」の仕組みとして機能するという理解が正確です(オ:概ね正しい方向だが、正答はエ)。

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【理論的背景】

日本の株券制度は、2009年1月の上場株式の株券電子化(ペーパーレス化)により大きく転換しました。それ以前は上場会社も株券(紙の証券)を発行し、株式の譲渡は株券の裏書・交付という証券法的な仕組みで行われていました。電子化の目的は、①株券の紛失・盗難リスクの排除、②決済の迅速化・効率化、③コスト削減(印刷・保管・交付のコスト)にあります。社債株式等振替法(振替法)が電子化の根拠法であり、上場会社の株式は振替機関(株式会社証券保管振替機構・ほふり)が管理する振替口座簿に記録されることで権利の帰属が管理されます。株主名簿との関係では、振替法上の「口座管理機関(証券会社等)が管理する口座」から「株主名簿(会社が管理)」への通知という仕組みが整備されており、株主総会・配当の基準日において振替口座の記録をもとに株主名簿が更新されます。

【条文構造】

会社法214条「株式会社の定款には、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を定めることができる」(任意)。215条4項「株券発行会社でない株式会社は、株券を発行することができない」(非発行会社は発行禁止)。128条1項「株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない」(株券発行会社での効力発生要件:株券の交付)。130条1項(会社に対する対抗要件:株主名簿の名義書換)。振替法(社債株式等振替法)は上場株式等の振替制度を規定し、振替口座簿への記録によって権利の帰属を電子的に管理する仕組みを定めています。振替法の規定は会社法と異なる特別法であり、上場株式には振替法が優先適用されます。

【試験での位置づけ】

行政書士試験での株券の問われ方は、①株券不発行が原則(旧法の原則と逆転:現行法では「発行しない」が標準)、②株券発行会社での譲渡の二段階要件(交付で効力・名義書換で対抗)、③上場会社の振替制度(株券廃止・振替口座管理)の3点が典型です。特に旧法との混同(「発行義務あり」や「全会社が株券発行」等)が引っかけとして頻出です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。現行会社法では株券発行は原則任意(不発行が標準)であり、定款で定めた株券発行会社のみが株券を発行する。株主に株券発行請求権が当然にあるわけでもない(株券発行会社では株主が株券発行を請求できる場合がある:215条等)。
  • イ: 正しい(ただし正答はエ)。会社法215条4項の趣旨に合致。株券発行会社(定款に発行旨の定めあり)のみが株券を発行できる。
  • ウ: 概ね正しいが表現が一部不正確。上場会社の株式は振替法の適用により株券が廃止(発行不可)、振替口座簿による管理が行われるが、「権利移転が振替口座簿で行われる」という言い方は制度の説明として完全ではない。
  • エ: 正しい。株券発行会社における株式の譲渡は①株券の交付(当事者間での効力発生:128条1項)・②株主名簿の名義書換(会社への対抗要件:130条1項)という二段階要件が必要。これが本問の核心。
  • オ: 正しい方向だが誤りが含まれる。振替口座に記録された者が株主として扱われるのは大まかに正しいが、「振替口座への記録が権利移転の要件」という表現は正確ではなく、振替口座の記録は権利者の確定・対抗の仕組みとして機能する(権利移転そのものは別の行為)。

【根拠条文】

会社法 第214条(株券発行会社の定款の定め)

会社法 第215条第4項(株券発行会社でない会社は発行不可)

会社法 第128条第1項(株券発行会社における株式譲渡の効力発生要件・株券の交付)

会社法 第130条第1項(株主名簿の名義書換・会社への対抗要件)

社債株式等振替法(振替株式の電子化制度の根拠法)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第214条〜(株券発行会社)、会社法第215条(株券の発行・不発行の原則)、社債株式等振替法(振替株式の制度) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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