行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 民法 問71|遺言の効力・遺贈

問題

行政書士 | 民法

遺贈に関する次のア〜オの記述のうち、現行民法の規定に照らして正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

包括遺贈を受けた受遺者は、相続人と同一の権利義務を有すると定められており(民法990条)、遺産分割協議に参加する必要があります。これがイの根拠で正答です。アは誤りで、特定遺贈の放棄は遡及効を持ちます(民法986条2項・遺言者の死亡時に遡る)。ウは誤りで、受遺者が遺言者より先に死亡した場合、遺贈は効力を生じません(民法994条1項・受遺者が受けるべきであったものは原則として相続人に帰属=995条)。エは誤りで、遺言で廃除の取消しをすることも可能です(民法894条2項・893条準用)。オは誤りで、遺言者は生前いつでも遺言の全部または一部を撤回できます(民法1022条)。

正答はイです。民法990条は「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」と規定します。これにより、包括受遺者は遺産分割協議に参加し、相続人と同様に相続財産の持分を主張する立場となります。

各選択肢を確認します。ア(誤):民法986条1項は「受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる」とし、同条2項は「遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる」と規定しています。遡及効を持たないとする点が誤りです。なお、遺贈義務者その他の利害関係人は、受遺者に対し相当の期間を定めて承認又は放棄の催告ができ、期間内に意思表示がないときは遺贈を承認したものとみなされます(民法987条)。ウ(誤):民法994条1項は「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない」と規定します。遺贈は受遺者の相続人には承継されず、受遺者が受けるべきであったものは、遺言者が別段の意思を表示していない限り、相続人に帰属します(民法995条)。エ(誤):民法893条は遺言による推定相続人の廃除を認めており、民法894条2項は「前条の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する」と規定しているため、廃除の取消しも遺言でできます。オ(誤):民法1022条は「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる」と規定し、生前いつでも撤回できます。

【理論的背景】

遺贈とは、遺言による財産の無償の処分です。特定の財産を特定して与える「特定遺贈」と、相続財産の全部または一定割合を与える「包括遺贈」があります。包括遺贈では受遺者が相続人に準じた立場となるため、遺産分割協議への参加義務が生じます。遺言の撤回自由の原則(民法1022条)は、遺言者の最終意思を尊重するための重要な原則です。被相続人の生前の意思はいつでも変更できなければ、遺言作成の自由が事実上制約されることになるためです。

【実務・条文構造】

遺贈に関する主要条文を整理します。民法986条:受遺者は遺言者の死亡後いつでも遺贈の放棄ができ(1項)、放棄は遺言者の死亡の時にさかのぼって効力を生ずる(2項)。民法987条:遺贈義務者その他の利害関係人は、受遺者に対し相当の期間を定めて承認又は放棄の催告ができ、期間内に意思表示がなければ承認したものとみなす。民法988条:受遺者が承認又は放棄をしないで死亡したときは、その相続人が自己の相続権の範囲内で承認又は放棄をすることができる。民法989条:遺贈の承認及び放棄は撤回することができない。民法990条:包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有する(遺産分割協議に参加する立場)。民法994条1項:受遺者が遺言者より先に死亡した場合は遺贈の効力不発生(失効)。民法994条2項:停止条件付きの遺贈で条件成就前に受遺者が死亡した場合は遺贈失効。民法1022条:遺言の撤回自由(方式に従って)。民法1025条:遺言の撤回の撤回(再撤回による元の遺言の効力回復なし)。

【試験での位置づけ】

行政書士試験では、特定遺贈と包括遺贈の違い(放棄方法・受遺者の義務)、受遺者が先に死亡した場合の処理(失効・受遺者が受けるべきであったものは相続人に帰属)、遺言の撤回の自由(民法1022条)が問われます。「遺言は一度作ったら撤回できない」(オ)や「受遺者が先死した場合に相続人が承継する」(ウ)は典型的な誤りの引っかけです。包括受遺者が相続人と同一の権利義務を有し遺産分割協議に参加する立場にある(イ)ことは、実務上も重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。遺贈の放棄は遡及効を持ちます(民法986条2項)。遡及効がないとする点が誤り。なお、遺贈義務者その他の利害関係人は期間を定めて催告でき(民法987条)、期間内に意思表示がない場合は承認したものとみなされる。
  • イ: 正しい(正答)。民法990条は「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」と規定する。相続人と同じ立場で遺産分割協議に参加する。
  • ウ: 誤り。民法994条1項が根拠。受遺者の先死による遺贈失効は法律上明確に規定される。遺言者は「補充遺贈」(受遺者の先死に備えて代替の受遺者を指定すること)を設けることで対応できる。
  • エ: 誤り。民法893条は「遺言で廃除の意思を表示したとき」に推定相続人の廃除請求ができると規定する。民法894条2項は「廃除の取消しの遺言」についても規定しており、取消しも遺言で可能。
  • オ: 誤り。民法1022条が明確に「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる」と規定する。前の遺言と後の遺言が抵触する場合や、遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合は撤回したものとみなされ(民法1023条)、遺言者が故意に遺言書や遺贈の目的物を破棄した場合も同様(民法1024条)。生前撤回の自由は遺言制度の根幹。

【根拠条文】

民法 第986条(遺贈の放棄)、第987条(受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告)、第989条(遺贈の承認及び放棄の撤回及び取消し)、第990条(包括受遺者の権利義務)、第994条(受遺者の死亡による遺贈の失効)、第995条(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)、第1022条(遺言の撤回)

【補足】

「包括受遺者は遺産分割協議に参加しなければならない」(民法990条)は実務上のトラブルにも直結する最重要論点。遺贈の失効(民法994条)と補充遺贈の関係も押さえておくこと。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第986条・第987条・第990条・第994条・第1022条・第1025条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。