問題
遺言の方式に関する次のア〜オの記述のうち、現行民法の規定に照らして誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
遺言の証人として立ち会うことができない者(欠格者)は民法974条に列挙されています。未成年者(1号)・推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族(2号)のほか、「公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人」(3号)も欠格者です。よってオの「公証人の配偶者はこの規定に含まれない」は誤りです。アは正しく(民法968条2項・財産目録は自書不要)、イは正しく(民法969条1項・2項)、ウは正しく(民法970条・全文の自書は不要)、エは正しく(民法1004条2項・公正証書遺言は検認不要)です。
正答はオです。民法974条は遺言の証人・立会人となれない者として、1号:未成年者、2号:推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族、3号:公証人の配偶者・四親等内の親族・書記及び使用人を規定しています。したがって公証人の配偶者は証人となれず、「含まれない」とするオは誤りです。
各選択肢を確認します。ア(正):民法968条2項は、自筆証書と一体のものとして相続財産の目録を添付する場合には、その目録については「自書することを要しない」と規定しています(パソコン作成や通帳の写し等が可能)。ただし、遺言者は目録の毎葉(両面に自書によらない記載がある場合は両面)に署名し、印を押さなければなりません。イ(正):民法969条1項は、公正証書遺言の方式として「証人二人以上の立会いがあること」「遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること」を定め、同条2項は「前項の公正証書は、公証人法…の定めるところにより作成するものとする」と規定しています。イはこの条文どおりです。ウ(正):秘密証書遺言(民法970条)は、遺言者が証書に署名・押印し、封印した封書を公証人1人及び証人2人以上の前に提出して、自己の遺言書である旨並びに「その筆者の氏名及び住所」を申述する方式です。全文の自書は要件とされておらず、パソコン入力した遺言書でも利用できます。エ(正):民法1004条1項は遺言書の保管者に家庭裁判所での検認の請求を義務づけますが、同条2項は「前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない」と規定しています。
【理論的背景】
遺言の方式は、遺言者の真意を確保し、死後の法律関係を明確にするために厳格に定められています(要式行為)。民法960条は「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」と規定しています。普通方式として自筆証書(968条)・公正証書(969条)・秘密証書(970条)の3種があり、それぞれ「誰が書くか」「誰が関与するか」「検認が必要か」が異なります。
自筆証書遺言は手軽な反面、偽造・変造や紛失のおそれがあるため、相続開始後に家庭裁判所の検認(1004条1項)を経る必要があります。これに対し公正証書遺言は、公証人が関与し公証人法の定めるところにより作成されるため、1004条2項により検認が不要とされています。
【実務・条文構造】
各方式の要件と特徴を整理します。
- 民法968条(自筆証書遺言):1項で全文・日付・氏名の自書+押印。2項で、一体のものとして添付する相続財産の目録は自書不要(ただし毎葉に署名押印)。3項で、加除その他の変更は場所を指示し、変更した旨を付記して署名し、変更の場所に押印しなければ効力を生じない。
- 民法969条(公正証書遺言):1項で①証人二人以上の立会い、②遺言者による遺言の趣旨の口授。2項で、その公正証書は公証人法の定めるところにより作成する。3項で、1項1号の証人は公証人法30条に規定する証人とみなして同法の規定(同法35条3項を除く)を適用する。
- 民法970条(秘密証書遺言):①遺言者が証書に署名・押印、②証書を封じ、証書に用いた印章で封印、③公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出し、自己の遺言書である旨並びに筆者の氏名及び住所を申述、④公証人が提出の日付と申述を封紙に記載し、遺言者・証人とともに署名・押印。全文の自書は要件ではない。
- 民法974条(証人及び立会人の欠格事由):未成年者(1号)、推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族(2号)、公証人の配偶者・四親等内の親族・書記・使用人(3号)。
- 民法1004条(遺言書の検認):1項で保管者等に検認請求を義務づけ、2項で公正証書による遺言には適用しない。3項で封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人又はその代理人の立会いがなければ開封できない。
【試験での位置づけ】
行政書士試験では遺言方式の問題は各方式の要件・違いを正確に問うものが中心です。頻出の引っかけは、(1)「自筆証書遺言は財産目録も含めて全文自書が必要」→目録は自書不要(968条2項)、(2)「公正証書遺言も検認が必要」→不要(1004条2項)、(3)「公証人の配偶者は証人になれる」→なれない(974条3号)、(4)「秘密証書遺言は全文の自書が必要」→不要(970条)です。条文に書かれた要件をそのまま覚えることが得点に直結します。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 正しい。民法968条2項。財産目録はパソコン作成・通帳の写し等でよいが、遺言者は目録の毎葉(両面に記載がある場合は両面)に署名押印しなければならない。
- イ: 正しい。民法969条1項(証人二人以上の立会い・口授)と2項(公証人法の定めるところにより作成)の文言どおり。
- ウ: 正しい。民法970条は遺言者の署名・押印と封印、公証人・証人の前での申述(筆者の氏名及び住所を含む)を要求するが、全文の自書は要求していない。
- エ: 正しい。民法1004条2項は「前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない」と定める。自筆証書遺言・秘密証書遺言は同条1項により検認が必要。
- オ: 誤り(正答)。民法974条3号は公証人の配偶者・四親等内の親族・書記及び使用人を証人欠格者として明記しており、「含まれない」とする本肢は明確に誤り。公正証書遺言に関係が深い公証人の身内が証人になることを防ぐための規定。
【根拠条文】
民法 第960条(遺言の方式)、第968条(自筆証書遺言)、第969条(公正証書遺言)、第970条(秘密証書遺言)、第974条(証人及び立会人の欠格事由)、第1004条(遺言書の検認)
【補足】
民法974条の証人欠格者の列挙(特に3号の公証人の配偶者・四親等内親族)と、1004条2項(公正証書遺言は検認不要)、969条の現行の文言(証人二人以上の立会い・口授・公証人法による作成)を条文どおりに押さえること。
- 民法第974条・第968条・第969条・第970条・第1004条・第960条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第968条・第969条・第970条・第974条・第1004条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

