ITパスポート 令和3年度 問22:システム戦略に関する問題
業務パッケージを活用したシステム化を検討している。情報システムのライフサイクルを,システム化計画プロセス,要件定義プロセス,開発プロセス,保守プロセスに分けたとき,システム化計画プロセスで実施する作業として,最も適切なものはどれか。
- a機能,性能,価格などの観点から業務パッケージを評価する。正答
- b業務パッケージの標準機能だけでは実現できないので,追加開発が必要なシステム機能の範囲を決定する。
- cシステム運用において発生した障害に関する分析,対応を行う。
- dシステム機能を実現するために必要なパラメタを業務パッケージに設定する。
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答えは a です。
システムを作るときは、料理と同じで「まず計画→何を作るか決める→作る→直しながら使う」という順番で進みます。
一番最初の「計画」の段階では、「どんな完成品(業務パッケージ=市販のシステム)を買ってこようか?」を、機能・性能・値段で見比べて決めます(a)。これが計画の作業です。
👉 覚え方:計画=「まず何を選ぶか・どう進めるか決める」最初の段取り。
ほかの選択肢:b は「ここまで追加で作ろう」と細かく決める(要件定義の作業)/d はパッケージに設定を入れる(開発の作業)/c は使い始めてから不具合を直す(保守の作業)。どれも計画より後の段階です。
なぜこれが正解か
正解は a。システム化計画プロセスは、システム化の方針・実現方法・全体像を決める上流工程。業務パッケージ活用なら、どのパッケージを採用するかを機能・性能・価格などの観点から評価・選定するのが計画段階の作業に該当する。
各選択肢の解説
- b:標準機能で不足する追加開発機能の範囲決定 → 何をどう作るかを具体化する要件定義プロセス。
- d:パッケージへのパラメタ設定(システム機能の実現) → 開発プロセス。
- c:運用中に発生した障害の分析・対応 → 稼働後の保守プロセス。
覚え方・ひっかけ注意
ライフサイクルは計画→要件定義→開発→保守の順。計画は「やるかどうか・何を採用するか」を大きく決める段階、要件定義は「具体的に何を満たすか」を決める段階。本問は『評価・選定(a)=計画』『範囲決定(b)=要件定義』の切り分けがポイント。
ソフトウェアライフサイクルと計画プロセスの位置づけ
情報システムのライフサイクルは共通フレーム(SLCP-JCF:Software Life Cycle Process-Japan Common Frame)(IPA策定・ISO/IEC 12207をベースに日本の実務に合わせたもの)で体系化される。ライフサイクルのプロセスは大きく企画プロセス→システム化計画プロセス→要件定義プロセス→開発プロセス→運用プロセス→保守プロセスに分類される。本問のシステム化計画プロセスは「システム化の目的・対象業務の範囲・実現方式(自社開発か業務パッケージか等)・概算費用・全体スケジュール・体制」を決定する工程。パッケージ採用の場合はRFI(Request for Information:情報提供依頼)・RFP(Request for Proposal:提案依頼書)を発行し、複数ベンダーの提案を機能適合率・カスタマイズ必要度・価格・保守体制・ベンダー信頼性等のクライテリアで評価・選定するのが計画段階の中核作業。
フィット&ギャップ分析との関係
パッケージ採用後、標準機能(Fit)と業務要件のギャップ(Gap)を洗い出すフィット&ギャップ分析は要件定義工程で行う。Gapに対しては①パッケージのアドオン(追加開発)、②業務プロセスの変更(ERP導入でよくある)、③別システムとの連携のいずれかで対処する。選択肢bの「追加開発機能の範囲決定」はこのフィット&ギャップ分析の結果を受けて行う要件定義フェーズの作業で、計画と要件定義の境界線にある典型的なひっかけ。
保守の種類と実務
選択肢cの「障害の分析・対応」は是正保守(Corrective Maintenance)に当たる。保守は①是正保守(バグ修正)、②適応保守(OS/法改正等の環境変化への対応)、③完全化保守(性能向上・機能追加)、④予防保守(潜在問題の予防的修正)の4種類に分類される。実務では保守コストが開発コストの2〜4倍に達することも多く、ライフサイクルコスト全体で考えた意思決定が重要。
上位資格への接続
基本情報技術者では共通フレームの各プロセスの作業内容識別・RFP/RFI/RFQの違い・保守の4分類・TCO(総保有コスト)の概念が問われる。応用情報以上ではITガバナンス・調達マネジメント(公共調達・下請法・情報システム調達ガイドライン)との接続、SLA(サービスレベル合意)設計が出題される。
選択肢の発展補足
選択肢dのパラメタ設定はパッケージソフトの「カスタマイズ」の中でも最も軽微な「設定変更(コード変更なし)」で、開発フェーズの作業に分類される。パッケージ固有のパラメタは会計コード・組織コード・承認フロー等で、誤設定はシステム全体に影響するため、設定テスト(パラメタ確認テスト)が重要。選択肢cの保守における「障害の分析」はインシデント管理・問題管理(ITIL)の観点からは根本原因分析(RCA)に相当し、再発防止策の策定まで含む活動となる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問22/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。