ITパスポート 令和3年度 問23:経営戦略に関する問題
プロダクトポートフォリオマネジメントは,企業の経営資源を最適配分するために使用する手法であり,製品やサービスの市場成長率と市場におけるシェアから,その戦略的な位置付けを四つの領域に分類する。市場シェアは低いが急成長市場にあり,将来の成長のために多くの資金投入が必要となる領域はどれか。
- a金のなる木
- b花形
- c負け犬
- d問題児正答
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答えは d「問題児」 です。
PPMは、商品を「これからどれだけ伸びる市場か(成長率)」と「その市場でどれだけ強いか(シェア)」の2つで4つに分ける考え方です。
「問題児」は、市場はぐんぐん伸びているのに、自分はまだ弱い(シェアが低い)状態。だから「化けるかも!」と期待してお金をたくさん注ぎ込む必要があります。
👉 覚え方:伸びる市場+まだ弱い=育てるために金がかかる「問題児」。
ほかの選択肢:a 金のなる木=もう伸びないけど稼げる安定もの/b 花形=伸びる市場で強い人気者/c 負け犬=伸びないし弱い、撤退候補。
なぜこれが正解か
正解は d。PPMは市場成長率(縦軸)と市場シェア(横軸)で事業・製品を4象限に分類する。市場成長率が高く(急成長市場)市場シェアが低い領域が「問題児」で、将来の花形候補だが、シェア拡大のため多額の投資が必要になる。
各選択肢の解説
- a 金のなる木:成長率は低いがシェアが高い → 投資少なく安定的に資金を生む。
- b 花形:成長率もシェアも高い → 有望だが成長維持に投資も必要。
- c 負け犬:成長率もシェアも低い → 撤退・縮小の検討対象。
覚え方・ひっかけ注意
縦=成長率、横=シェアで4象限を描き、「成長率高×シェア低=問題児」と位置で覚える。問題児に投資して花形へ、花形がやがて金のなる木へ移行する流れ(資金は金のなる木→問題児へ回す)も併せて押さえると応用が利く。
理論的背景
PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)はボストンコンサルティンググループ(BCG)が1960年代後半〜1970年代に開発したフレームワークで、ブルース・ヘンダーソンによる経験曲線理論(累積生産量の増加とともにコストが一定率で低下する)と市場成長率の組み合わせが理論的基盤。縦軸の市場成長率は「資金の流出(投資の必要度)の代理指標」、横軸の相対的市場シェア(対最大競合比)は「資金の流入(収益力=経験曲線コスト優位)の代理指標」として機能する。4象限の命名はBCGが原典で、日本語訳では問題児(Question Mark/Problem Child)・花形(Star)・金のなる木(Cash Cow)・負け犬(Dog)となっている。理想的な資金循環は「金のなる木→問題児への投資→花形→金のなる木」であり、問題児の全てを花形に育てられるわけではないため「問題児の中からどれに集中投資するか」の選択と集中が経営の核心的判断となる。
実務での使われ方
多角化企業の事業ポートフォリオ評価に使われるが、現代では批判的な見方もある。批判点:①2軸で事業の魅力度を単純化しすぎる(競合構造・顧客価値・技術優位性等が無視される)、②事業間シナジーを考慮しない(負け犬でも花形事業の補完的役割を持つ場合がある)、③動的変化に弱い(市場成長率は変動し、今日の負け犬が明日の花形になり得る)。これを補う枠組みとしてGEの9象限(市場魅力度×競争力)や、Ansoffの成長マトリクス(既存/新規の製品×市場の4象限)、Three Horizons(マッキンゼー)等が併用される。
上位資格への接続
基本情報技術者ではPPMの4象限名称と「成長率×シェア」の軸対応・各象限の投資戦略(投資・維持・縮小・撤退)・SWOT分析・3C分析・5フォースとの組み合わせ問題が出題される。応用情報以上では事業戦略立案の文脈でPPMを用いた経営判断シナリオ問題や、BCG理論の限界と代替手法の理解が求められる場合がある。
選択肢の発展補足
花形(選択肢b)は成長率・シェアともに高く理想的に見えるが、高成長市場の維持には設備投資・マーケティング費用・人材採用等の大きな資金流出が必要で、実際には必ずしもキャッシュフロープラスとは限らない。花形から金のなる木への移行は市場が成熟化(成長率低下)して投資需要が減ることで起きる。負け犬(選択肢c)は撤退・売却が定石だが、ニッチ市場で安定したキャッシュを生んでいる場合や、他の事業とのシナジーがある場合は維持が合理的な選択になりうる——この「原則の例外」を理解することが実践的な戦略判断力の証明となる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問23/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。