ITパスポート 令和3年度 問40:プロジェクトマネジメントに関する問題
同一難易度の複数のプログラムから成るソフトウェアのテスト工程での品質管理において,各プログラムの単位ステップ数当たりのバグ数をグラフ化し,上限・下限の限界線を超えるものを異常なプログラムとして検出したい。作成する図として,最も適切なものはどれか。
- a管理図正答
- b特性要因図
- cパレート図
- dレーダチャート
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答えは a「管理図」 です。
この問題は「いつもの範囲からハミ出した"あやしいプログラム"を見つけたい」という話。
管理図は、グラフに"ここまではセーフ"という上の線と下の線(上限・下限)を引いておき、その線を超えた点を「異常!」と見つける図です。
👉 覚え方:管理図=「セーフの線を引いて、ハミ出しを見つける」。
ほかの選択肢:b 特性要因図=原因を魚の骨みたいに整理する図/c パレート図=多い順に棒を並べて"重点"を見る図/d レーダチャート=項目ごとのバランスをクモの巣状に見る図。
なぜこれが正解か
正解は a。管理図は、データを時系列等でプロットし、中心線とともに上方管理限界線(UCL)・下方管理限界線(LCL)を引いて、限界線を超える点や異常な傾向を「異常(要因あり)」として検出する図。本問の「上限・下限の限界線を超えるものを異常なプログラムとして検出」という記述にそのまま一致する。
各選択肢の解説
- b 特性要因図(フィッシュボーン):結果(特性)に対する原因(要因)を魚の骨状に整理する図。原因分析向け。
- c パレート図:項目を出現頻度の多い順に棒グラフで並べ累積比率を折れ線で示す。重点管理(80:20)に使う。
- d レーダチャート:複数項目の値を放射状の軸にプロットしバランスを比較する図。
覚え方・ひっかけ注意
QC七つ道具のうち「限界線で異常を見つける=管理図」が定番フレーズ。原因を探る=特性要因図、重点を絞る=パレート図、と用途で区別する。「上限・下限を超えたら異常」というキーワードが出たら迷わず管理図。
理論的背景:統計的工程管理(SPC)
管理図はW.A.シューハート(ベル研究所)が1924年に考案した統計的工程管理(SPC:Statistical Process Control)の基本ツール。中心的な考え方は「プロセスのばらつきを偶然原因(Chance Cause:制御内の自然なランダムばらつき)」と「異常原因(Assignable Cause:取り除くべき特別な原因)」に峻別すること。管理限界線は通常中心線の上下±3σ(標準偏差の3倍)に設定され、正規分布の前提のもと99.73%の点が限界内に収まることを期待する。限界線外の点のほかに「ランの法則」(同側への連続8点・上昇/下降6点連続・上昇下降交互等)もプロセス異常の判断基準として使われる。本問の「単位プログラムのステップ数当たりのバグ数」という計量値の管理には、比率(不良率)を扱うp管理図、欠点数を扱うc管理図、単位当たり欠点数を扱うu管理図が理論上適する。
QC七つ道具の体系と役割分担
QC七つ道具(チェックシート・ヒストグラム・パレート図・散布図・特性要因図・グラフ・管理図)は製造業の現場改善(TQC/TQM)のために体系化された実践的分析手法群。各道具の用途を整理すると:チェックシート(データ収集・整理)→ヒストグラム(ばらつき分布の可視化)→パレート図(重要少数問題の特定)→特性要因図(原因仮説の整理)→散布図(2変数間の相関確認)→グラフ(傾向の可視化)→管理図(プロセスの安定状態の監視・異常検知)というデータ活用の流れを形成する。
ソフトウェア品質管理での応用
ソフトウェア品質管理では「バグ密度(KStep当たり欠陥数)」「単体テストパス率」「コードカバレッジ」等を管理図で経時監視し、品質安定化を確認した上でリリース判断する「品質基準達成モデル」が使われる。また信頼度成長曲線(ゴンペルツ曲線・デューエンモデル等)でバグの累積検出数から残存バグ数を推定し、品質の収束を予測する手法もSWET(Software Testing)の実務で使われる。本問のように「ある閾値を超えたモジュールを異常として重点レビュー対象にする」という活用は品質ゲートとして機能する。
上位資格への接続
基本情報技術者ではQC七つ道具・新QC七つ道具(親和図・連関図・系統図・マトリクス図・アロー図・PDPC・マトリクスデータ解析)の用途識別・PDCA(Plan-Do-Check-Act)との接続・品質コスト(予防コスト・評価コスト・失敗コスト)が問われる。応用情報以上ではSPC・シックスシグマ(DMAIC法)・品質機能展開(QFD)・ISO 9001(品質マネジメントシステム)との体系的な理解が出題される。
選択肢の発展補足
特性要因図(選択肢b)はイシカワ図・フィッシュボーン図とも呼ばれ、石川馨(東大教授)が考案。大骨(主要要因:Man・Machine・Method・Material・Environment等の4M1E)から小骨(詳細要因)を展開する。管理図との典型的な使い分けは「管理図で異常を検知→特性要因図でなぜ異常が起きたか原因分析」という直列利用。パレート図(選択肢c)はヴィルフレド・パレートの名を冠し、不良件数や欠陥種類を頻度の多い順に並べた棒グラフ+累積折れ線で「重要少数(Vital Few)」を特定し、対策の優先順位付けに使う。レーダチャート(選択肢d)は多次元評価の比較(個人のスキル評価・製品の多軸比較)に適するが、時系列の異常検知という本問の用途には不適切。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問40/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。