ITパスポート 令和8年度 問30:business_strategyに関する問題
事業部制組織の事例はどれか。
- aAさんはX事業を実施している部門の購買組織に所属している。Y事業の購買はY事業を実施している部門の購買組織が担当している。正答
- bBさんは複数の事業の人事機能を担当する組織に所属している。開発、生産、販売機能も同様に、それぞれ専門の組織が担当している。
- cCさんはM地域での製品Xの販売を担当しており、地域Mの販売に責任をもつ上司と製品Xの販売に責任をもつ上司の2人の上司の指示を受けている。
- dDさんは新規事業の企画開発を目的として関係部署から横断的に人材を集めた組織に所属している。この組織は企画開発が終わり次第解散する。
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答えは a です。
事業部制組織とは、会社を「事業(商品やサービス)ごとのチーム」に分けて、それぞれのチームが自分たちで購買も生産も販売も持つ仕組みです。X事業チームには専用の購買係、Y事業チームにも別の購買係——というように、事業ごとに丸ごと一式そろっているのが特徴です。
👉 覚え方:事業部制=「事業ごとに小さな会社が並んでいる」。
ほかの選択肢:b 仕事の種類で分ける機能別組織、c 2人の上司がいるマトリックス組織、d 終わったら解散するプロジェクト組織なので×。
なぜこれが正解か
正解は a。事業部制組織は、製品・地域・顧客などの事業単位ごとに区分し、各事業部が購買・生産・販売などの機能を自己完結的に持つ。aは「X事業部門が独自の購買組織を持ち、Y事業はY事業部門の購買組織が担当する」とあり、事業ごとに機能を抱える事業部制の典型例。
各選択肢の解説
- b:人事・開発・生産・販売を専門組織が横断的に担当→職能別(機能別)組織。
- c:地域と製品の2人の上司から指示を受ける→マトリックス組織(命令系統が複数)。
- d:横断的に人材を集め、終了後に解散→プロジェクト組織。
覚え方・ひっかけ注意
「事業ごとに機能一式」=事業部制、「機能ごとにまとめる」=機能別、「上司2人」=マトリックス、「期限付き解散」=プロジェクト。各事業部に権限委譲され意思決定が速い反面、機能の重複(各事業部に購買部門が並ぶ)でコスト増になりやすい点も頻出。
理論的背景
事業部制組織(Divisional Organization Structure)はアルフレッド・スローンがGM(ゼネラルモーターズ)会長時代(1920年代)に確立した組織形態で、「製品・地域・顧客セグメント等を軸として自律的な事業単位(事業部)を構成し、各事業部が開発・生産・販売・購買等の機能を内包する」組織設計である。対比概念は機能別組織(Functional Organization)で、こちらは「全社で同一機能(購買・製造・営業・人事等)を統合した専門部門を持つ」組織形態。事業部制の最大の特徴は「各事業部が独立した損益責任(P&L責任)を持ち、SBU(Strategic Business Unit:戦略的事業単位)として経営判断を自律的に行える」点にある。本問の選択肢aは事業部制の典型例:「X事業の購買はX事業部の購買組織が担当、Y事業の購買はY事業部の購買組織が担当」→機能が事業部内で内包されている。
実務での使われ方
日本の大企業の多くはコングロマリット型の事業部制組織を採用しており、トヨタ自動車(車種別事業部)・ソニー(エレクトロニクス・映画・音楽等の事業別組織)・日立製作所(社会インフラ・ITシステム等の事業部制)が代表例。事業部制の経営管理ではROIC(投下資本利益率:事業部別の資本効率)・EVA(経済付加価値)が事業部評価指標として用いられる。問題点としては「事業部間の機能重複(購買部門が各事業部に存在し規模の経済が失われる)」「事業部間の協調・シナジー発揮の困難さ」「コーポレートリソース(共通インフラ・人事等)との二重コスト」が挙げられ、これを解消するためにSSC(Shared Service Center:共通業務の集約センター)の設置・コーポレートファンクションとの分担が実務上重要な設計課題となっている。
試験での位置づけ
組織形態の分類はITパスポートのストラテジ系・企業経営カテゴリで頻出テーマ。本問は事業部制・機能別組織・マトリクス組織・プロジェクト型組織(タスクフォース)という四形態を正確に区別する必要がある。選択肢aが事業部制、選択肢bが機能別組織(購買・開発・生産・販売という機能別に専門部門が存在)、選択肢cがマトリクス組織(地域軸と製品軸の二重指揮系統→2人の上司)、選択肢dがプロジェクト型組織(タスクフォース:横断的・期限付き)の説明。誤答パターンはマトリクス組織cとの混同が最多で「事業部制も複数の観点があるのでマトリクスでは?」という誤解が生じる。事業部制の本質は「自律的なP&L単位」、マトリクスの本質は「二重指揮系統(2人の上司)」という区別が決め手。
選択肢の発展補足
選択肢bの機能別組織はHR・Finance・Marketing・OperationsというCorporate Function単位で専門化が進むため、同一機能のプロフェッショナルが一部署に集まる「スケールメリット・専門性の集中」という利点がある。大企業での限界は「縦割り・サイロ化・顧客への対応速度の低下」。選択肢cのマトリクス組織(Matrix Organization)はプロジェクト型企業(コンサルティングファーム・広告代理店)や多国籍企業でよく採用される。「機能軸(専門知識)×プロジェクト/製品軸」「地域軸×製品軸」のような二次元の管理構造で、報告ラインの複雑さ・意思決定の曖昧さというデメリットがある。選択肢dのタスクフォース型組織はスタートアップのアジャイルチーム・デジタル庁のプロジェクトチームのように「期間限定・課題解決特化」の形態で、現代的なフラット組織・ホラクラシー(Holacracy)の要素とも関連する。組織形態の選択は「事業の多様性・変化速度・規模・ガバナンス優先度」によって決まり、単一の最適解はない。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度 問30/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。