危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問23:燃焼の三要素・燃焼形態
化学反応の速さおよび触媒に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア一般に、温度を下げるほど化学反応は速く進む。
- イ触媒は、それ自身は反応の前後で変化せず、反応の速さを変える物質である。正答
- ウ触媒は、反応によって生成する物質の量(収量)を増やすために加える。
- エ固体の反応物は、塊のまま用いるほうが粉末にするより反応が速い。
- オ反応物の濃度を高くすると、一般に反応の速さは遅くなる。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠も明記。
正しいのはイです。触媒は、自分は変化しないのに反応を速く(または遅く)する物質です。
- ア(誤): 温度を上げるほど反応は速くなる(下げると遅い)。
- イ(正): 触媒は反応前後で自身が変化せず、反応速度を変える。
- ウ(誤): 触媒は速さを変えるだけで、生成物の量(収量)は増やさない。
- エ(誤): 固体は粉末にして表面積を増やすほど反応が速い。
- オ(誤): 濃度を高くすると反応は速くなる(遅くなるは逆)。
「温度↑・濃度↑・表面積↑で速い/触媒は自身不変・速さを変える」を押さえます。
反応速度を変える要因:
化学反応の速さは、次の要因で変わります。
- 温度: 高いほど速い(分子の運動が激しくなり衝突が増える)(ア=誤:下げると速いは逆)。
- 濃度: 高いほど速い(衝突回数が増える)(オ=誤:遅くなるは逆)。
- 接触面積(固体): 粉末など表面積が大きいほど速い(エ=誤:塊のほうが速いは逆)。
- 触媒: 反応速度を変える(イ=正)。
触媒の性質:
- 反応の前後でそれ自身は変化しない(消費されない)。
- 活性化エネルギー(反応に必要なエネルギーの山)を下げて、反応を速くする(正触媒)。
- 生成物の量(収量・平衡の位置)は変えない。あくまで速さを変えるだけ(ウ=誤)。
引っかけパターン:
- 温度・濃度・表面積の効果を逆にする(ア・エ・オ)
- 触媒が「収量を増やす」とする誤り(ウ。速さだけ)
「温度・濃度・表面積で速さが変わる/触媒は自身不変・収量は変えない」を固定します。
【理論的背景】
化学反応は、反応物の分子が衝突し、ある一定以上のエネルギー(活性化エネルギー)を持って正しい向きでぶつかったときに進みます。反応速度は「有効な衝突がどれだけ頻繁に起こるか」で決まり、(1)温度が高いほど分子が速く動いて衝突が増え、活性化エネルギーを超える分子の割合も増えるため速くなる、(2)濃度が高いほど分子が密集して衝突回数が増えるため速くなる、(3)固体反応物を粉末にして表面積を増やすと接触点が増えて速くなる、という関係があります。
【触媒の働き】
触媒は、反応の活性化エネルギーを下げる「別の道(反応経路)」を提供することで反応を速めます。重要な性質は次の2点です。
1. 反応の前後で自身は変化しない(消費されず、繰り返し働く)。
2. 平衡の位置・最終的な生成物の量は変えない。触媒は反応を速く(または遅く=負触媒)するだけで、どこまで反応が進むか(平衡)には影響しません。
「触媒を入れれば収量が増える」という選択肢は、この性質に反する典型的な誤りです。触媒は速さの問題(時間あたりどれだけ反応するか)に効き、量の問題(最終的にどれだけできるか)には効きません。
【危険物との接続】
- 燃焼と抑制消火(負触媒効果): 燃焼は連鎖的な酸化反応で、反応を担う活性な分子(ラジカル)が次々と反応を広げます。ハロゲン化物消火剤・粉末消火剤は、この連鎖反応に割り込んでラジカルを捕まえ、反応を抑える抑制(負触媒)作用で消火します。これは「反応速度を遅くする触媒(負触媒)」の応用です。燃焼の四要素(可燃物・酸素・点火源+連鎖反応)のうち、連鎖反応を断つ消火法に対応します。
- 酸化熱と自然発火: 動植物油(乾性油)の自然発火は、空気中の酸素との酸化反応が進み、その反応熱が蓄積して温度が上がる現象です。温度が上がると反応がさらに速くなる(温度の効果)ため、加速度的に発熱して発火に至ります。反応速度と温度の関係は、自然発火の理解にも直結します。
【試験での位置づけ】
反応速度・触媒は、(1)温度・濃度・表面積が大きいほど速い、(2)触媒は自身が変化せず速さを変える、(3)触媒は収量(平衡)を変えない、の各点が問われます。誤答は温度・濃度・表面積の効果を逆にする、触媒が収量を増やすとするなどで作られます。「速さを上げる三要素(温度・濃度・表面積)」と「触媒は速さ専門・量には不関与・自身不変」をセットで覚えれば確実です。抑制消火(負触媒)との接続を押さえると、性質・消火科目とも横断的に理解できます。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 温度を上げるほど反応は速い。下げると遅くなる。
- イ(正): 触媒は反応前後で自身が変化せず、反応速度を変える。
- ウ(誤): 触媒は速さを変えるだけで生成物の量(収量)は増やさない。
- エ(誤): 固体は粉末にして表面積を増やすほど反応が速い。
- オ(誤): 濃度を高くすると反応は速くなる。遅くなるは逆。
【根拠】反応速度(温度・濃度・表面積)と触媒・活性化エネルギー(確立した化学)。
【補足】温度・濃度・表面積↑で反応↑。触媒は自身不変・速さを変える・収量は不変。抑制消火(負触媒)・自然発火の理解の基礎。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 反応速度の確立した化学。反応速度は一般に温度が高いほど・濃度が高いほど・接触面積が大きい(粉末等)ほど速い。触媒は反応の前後で自身は変化せず、活性化エネルギーを下げて反応速度を変える(生成物の量=平衡位置は変えない)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。