危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問72:物質の三態・状態変化
蒸発と沸騰に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア蒸発は液体表面のみで起こり、沸騰は液体内部(全体)からも気泡が発生する。正答
- イ沸点とは液体を加熱したときに最初に気泡が発生する温度をいう。
- ウ沸騰は液体の内部圧力が大気圧を超えたときに起こる。
- エ引火性液体の蒸発は沸点以上の温度でしか起こらない。
- オ沸点の低い液体は蒸気圧が低く、常温での蒸発量が少ない。
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正しいのはアです。蒸発は液体の表面だけで起こり、沸騰は液体の内部からも気泡が発生します。
- ア(正): 蒸発=表面のみ・沸騰=内部(全体)からも気泡発生。
- イ(誤): 沸点は「蒸気圧が大気圧と等しくなる温度」。最初の気泡発生温度とは言わない。
- ウ(誤): 液体の蒸気圧が大気圧と等しくなったとき沸騰する(内部圧力が大気圧を超えるのではない)。
- エ(誤): 蒸発は沸点より低い温度でも液体表面から起こる。
- オ(誤): 沸点の低い液体は蒸気圧が高く、常温での蒸発量が多い(逆)。
引火性液体は沸点以下でも蒸発するため、常温で引火性蒸気が発生し危険です。
蒸発と沸騰の違い・沸点の定義(確立した物理学):
- 蒸発: 液体表面の分子が気体になる現象。温度にかかわらず(沸点以下でも)常時起こる。速度は温度・表面積・周囲の気流(換気)に依存。
- 沸騰: 液体の蒸気圧が外圧(大気圧)と等しくなった時点で、液体内部全体から気泡(蒸気)が発生する現象。
- 沸点: 蒸気圧 = 大気圧 となる温度(1気圧での沸点が標準沸点)。
各選択肢:
- ア(正): 蒸発は表面、沸騰は内部(全体)から。正しい。
- イ(誤): 沸点=蒸気圧=大気圧となる温度であり、「最初の気泡発生温度」という定義は不正確。
- ウ(誤): 蒸気圧が大気圧に等しくなったとき沸騰。内部圧力が大気圧を「超える」ではなく「等しくなる」が正確。
- エ(誤): 蒸発は沸点以下でも起こる。第4類危険物(例: ガソリン・引火点−40℃以下)は常温で大量に蒸発し危険。
- オ(誤): 沸点が低い→蒸気圧が高い→常温での蒸発量が多い。逆の記述。
第4類との関係: 引火点の低い危険物ほど常温での蒸発量が多く、引火性蒸気が滞留しやすい。換気・密閉管理が重要。
【理論的背景:蒸気圧と沸点の関係】
液体の蒸気圧(飽和蒸気圧)とは、密閉容器中で液体と気体が平衡状態にあるときの蒸気の圧力です。温度が上がると液体分子の熱運動が活発になり、気体(蒸気)になろうとする分子が増えるため蒸気圧も上昇します。沸騰とは「液体の蒸気圧が外圧(大気圧)と等しくなった温度」で起こります。これが沸点の定義です。標高の高い場所では大気圧が低いため、沸点が下がります(富士山頂では約87℃で水が沸騰)。
【蒸発と引火点の関係】
蒸発は液体表面から、温度に関係なく(沸点以下でも)連続的に起こります。第4類危険物の危険性はまさにこの「常温での蒸発」にあります。引火点とは「蒸気が空気との混合気体を形成し、点火源により引火するのに十分な濃度(燃焼下限値)に達する最低液体温度」と定義されます。沸点が低いほど引火点も低くなる傾向があります(例: ジエチルエーテル沸点34.6℃・引火点−45℃、ガソリン沸点40〜220℃・引火点−40℃以下、灯油沸点170〜250℃・引火点40℃以上)。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 蒸発は液体表面(常温でも連続)、沸騰は蒸気圧=外圧で液体全体から気泡。これが物理学的に正確な区別。
- イ(誤): 「最初の気泡が発生する温度」は加熱速度や溶存ガスにも依存し、沸点の定義としては不正確。沸点は蒸気圧=外圧となる温度が正しい。
- ウ(誤): 「液体の内部圧力が大気圧を超えたとき」は不正確。正確には蒸気圧=大気圧で沸騰。「超える」と「等しくなる」の違いが試験頻出。
- エ(誤): 蒸発は沸点以下でも起こる。ガソリンは引火点−40℃以下であり、真冬でも蒸発して引火性蒸気が発生する。
- オ(誤): 沸点が低い物質は蒸気圧が高く、常温での蒸発が盛んで引火性蒸気を多量に発生する。危険性が高い。
【試験での位置づけ】
乙四試験では「蒸発は常温でも起こる」「引火点は蒸発量(蒸気圧)に依存する」の関係が頻出です。また、沸点と蒸気圧の関係(高温=高蒸気圧)、引火点の低い物質ほど常温での蒸発量が多く危険という原則は、物理化学と性質科目をつなぐ重要な概念です。
【根拠】確立した物理学(蒸発・沸騰・沸点・蒸気圧の定義)。
【補足】蒸発は常温でも液体表面から起こる→引火性蒸気の発生源。沸点の低い物質は蒸気圧が高く危険性大。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 蒸発(表面のみ)/沸騰(内部全体から気泡)/沸点(蒸気圧=外圧)/蒸気圧と温度の関係すべて正確。正答ア一意(イ〜オはすべて定義誤り)。富士山頂沸点約87℃も妥当。確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学(蒸発・沸騰・沸点・蒸気圧の定義)。蒸発は液体表面から常温でも起こる。沸騰は蒸気圧が外圧(大気圧)に等しくなった温度(沸点)で液体内部全体から気泡が発生する現象。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。