基礎的な物理学及び基礎的な化学94静電気

危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問94:静電気

静電気の帯電に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 二種類の物質を摩擦すると、帯電列で正側(プラス側)にある物質は正(+)に、負側(マイナス側)にある物質は負(−)に帯電しやすい。
  • 電気の良導体(金属等)は、帯電した電荷がすぐに移動・散逸するため静電気を蓄積しにくい。
  • 石油類(第4類危険物)は電気不良導体であるため、流動・ろ過・充填時に静電気が発生・蓄積しやすい。
  • 湿度が高い環境では、空気・物体表面の水分が電荷を逃がしやすくするため、静電気の蓄積が少なくなる。
  • 静電気が蓄積した容器や配管はアースに接続しても帯電した電荷を除去できない。正答
正答:静電気が蓄積した容器や配管はアースに接続しても帯電した電荷を除去できない。

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誤っているのはオです。アース(接地)は帯電した電荷を大地(Earth)に逃がすことで電荷を除去できる有効な静電気防止策です。「除去できない」は誤りです。

  • ア(正): 帯電列の原則(正側→+に帯電・負側→−に帯電)。正しい。
  • イ(正): 良導体は電荷がすぐ逃げる→静電気蓄積しにくい。正しい。
  • ウ(正): 第4類は不良導体→静電気蓄積しやすい。正しい。
  • エ(正): 高湿度→水分が電荷を逃がす→帯電少ない。正しい。
  • オ(誤): アースは帯電電荷を大地に放出して除去できる。有効な防止策。

「アース(接地)・加湿・流速制限」が静電気対策の三本柱です。アースは最も確実な方法の一つです。

標準試験対策の基準レベル

帯電列とアースの効果(確立した物理学):

帯電列(triboelectric series)とは、2つの物質を摩擦したときにどちらが正・負に帯電するかの順位表です。一般的な帯電列(正側から負側方向)の例: ガラス → ナイロン → 絹 → 紙 → 木 → ゴム → プラスチック → テフロン(ポリテトラフルオロエチレン)

リストの上側(正側)にある物質は正(+)に、下側(負側)にある物質は負(−)に帯電しやすい。

各選択肢:

  • ア(正): 帯電列の基本原則。摩擦した2物質のうち正側が+・負側が−に帯電。
  • イ(正): 金属(良導体)は電荷がすぐに移動するため帯電しにくい。静電気対策にアースが有効な根拠でもある(アースで電荷を逃がせる)。
  • ウ(正): 石油類(有機液体・電気不良導体)は流動摩擦で電荷が発生・蓄積する。アースや流速制限が必要。
  • エ(正): 湿度が高いと空気および物体表面に水膜(水分)が形成され、電荷が逃げやすくなる。湿度50〜70%以上で静電気帯電が著しく減少するとされる。
  • オ(誤): アース(接地)は帯電した電荷を大地(Earth=電気的無限大容量)に逃がすことで電荷を除去する。不良導体には直接アースを取りにくい場合(配管内液体等)もあるが、配管・容器をアースに接続することで電荷の移動経路を確保し帯電を防止できる。「除去できない」は誤り。

引っかけ: オ(アースで電荷除去できない)は事実と逆。アースは静電気対策の最重要手段。

上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景:帯電列の物理的根拠】

帯電列(トリボエレクトリック系列)は、物質の電子親和力・仕事関数の差に基づく経験則です。2つの物質が接触・摩擦すると、接触界面で電子が移動し、電子を放出した側が正(+)、受け取った側が負(−)に帯電します。帯電列での順位の差が大きいほど帯電量が多くなります。

【不良導体への帯電のメカニズム】

金属(良導体)では電荷はすぐに分散・移動するため、局所的な帯電は起こりません(アースすれば完全に中和)。しかし有機液体(不良導体)では:

1. 流動・ろ過・充填で管壁との摩擦により電荷が発生

2. 液体中の電荷が移動しにくく(不良導体)蓄積する

3. 電位が上昇し、空気の絶縁破壊電圧(約3 kV/mm)に達すると放電(火花)

4. 放電火花が引火性蒸気に着火→火災・爆発

【アースとボンディングの違い】

  • アース(接地・Earthing): 機器・配管を大地(Earth)に導線で接続。大地は電気的無限大容量の放電先として機能し、帯電電荷を吸収。
  • ボンディング(Bonding): 2つの金属(容器・配管等)を導線で接続して同電位にする。電位差をなくして放電(スパーク)を防ぐ。アースとセットで用いることが多い。

第4類危険物の充填(例: タンクローリーから地下タンクへの移液)では、アースとボンディングの両方を実施してから充填を開始します(危規則・危険物安全大会のガイドライン)。

【各選択肢の発展補足】

  • ア(正): 帯電列の原則。実際の作業(充填・移液)でどの材料の組み合わせが帯電しやすいかを予測するための基礎。
  • イ(正): 金属(導体)の静電気対策はアースで完結する。有機液体(不良導体)のアース取りは液体直接ではなく、容器・配管のアースを通じて行う。
  • ウ(正): 石油類(有機液体)の不良導体性が静電気蓄積の根本原因。流速を1m/s以下に制限(配管径・流速基準)することで発生量を減らせる。
  • エ(正): 高湿度(50〜70%以上)で帯電が低下するのは実験的にも確認されている。危険物倉庫での加湿管理の根拠。ただし高湿度は腐食・結露のリスクもある。
  • オ(誤): アースは静電気対策の最重要手段の一つ。大地への電荷放出で帯電電荷を除去できる。「除去できない」という記述は全く逆で、事故防止の観点から危険な誤り。

【試験での位置づけ】

乙四試験では静電気の発生・蓄積(不良導体の特性)と防止策(アース・ボンディング・流速制限・加湿)が頻出です。帯電列の名称は暗記必須ではありませんが、「2物質を摩擦すると帯電する」「不良導体は帯電しやすい」「アースで除去できる」が核心知識です。

【根拠】確立した物理学(帯電列・アース・静電気対策)。

【補足】帯電列:2物質摩擦で一方が+・他方が−に帯電。不良導体(有機液体)は帯電しやすい。アース(接地)で電荷を大地に逃がして除去できる。

<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 帯電列の原則・良導体は散逸しやすい・石油類(不良導体)は帯電しやすい・高湿度で帯電低下、すべて正確。アース/ボンディングの区別も正確。正答オ(アースで除去できないは逆)で一意。空気絶縁破壊約3kV/mmも妥当。確定。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学(静電気の帯電と放電・アースの効果)。アース(接地)は帯電した電荷を大地に逃がすことで電荷を除去・中和する有効な防止策である。オは逆の記述。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

関連論点

帯電列と帯電のしやすさ・摩擦部位の識別頻出度A

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