危険物乙四
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問95|静電気放電

問題

危険物乙四 | 基礎的な物理学及び基礎的な化学

静電気による放電(火花放電)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正しいのはイです。静電気の放電(火花放電)は、狭い範囲に瞬間的にエネルギーを放出するため、引火性蒸気の点火源になりえます。

  • ア(誤): 静電気放電のエネルギーは最小着火エネルギーを上回ることがある。「下回ることが多い」「引火させられない」は誤り。
  • イ(正): 放電火花のエネルギーが最小着火エネルギーを上回れば点火源になる。正しい。
  • ウ(誤): 放電は電位差が空気の絶縁破壊電圧を超えたときに起こる。「大気圧と等しくなったとき」は意味が異なる。
  • エ(誤): 空気は絶縁体だが絶縁破壊電圧(約3 kV/mm)以上の電位差で放電する。「どれだけ大きくなっても放電しない」は誤り。
  • オ(誤): 放電は空間(蒸気中・空気中)でも起こる。液体表面に限らない。

静電気放電が点火源になる仕組みを理解しておくことが重要です。

静電気放電の物理(確立した物理学):

静電気(帯電)によって電位差が形成され、電位差が空気の絶縁破壊電圧(約3 kV/mm)を超えると空気のイオン化が起こり、放電(火花放電)が発生します。

放電の特徴:

  • 放電経路に沿って気体がイオン化し、狭い範囲に瞬間的にエネルギーが放出される
  • このエネルギーが引火性蒸気の最小着火エネルギー(空気中のアルカン・留出物燃料で0.1〜10mJの範囲)を超えると着火する
  • 最小着火エネルギーはmJ(1000分の1ジュール)単位のごく小さなエネルギーで、静電気放電でも十分に達しうる

各選択肢:

  • ア(誤): 静電気放電のエネルギーが最小着火エネルギーを下回る保証はない。条件によっては十分な放電エネルギーが生じてガソリン等を着火させる。セルフ式ガソリンスタンドでの乗降時の着衣の静電気による火花や、酢酸エチルの小分け作業中の静電気放電による引火など、実際の事故も起きている。
  • イ(正): 放電火花は狭い範囲に瞬間的にエネルギーを放出し、引火性蒸気の着火源になりうる。正しい。
  • ウ(誤): 放電は電位差が絶縁破壊電圧を超えたときに起こる。「大気圧と等しくなったとき」は静電気・電気の文脈として不正確。
  • エ(誤): 空気は絶縁体だが、絶縁破壊電圧(約3 kV/mm)以上の電位差がかかると絶縁破壊して放電する。「どれだけ大きくなっても放電しない」は誤り。
  • オ(誤): 放電は空間(気体中)でも起こる。火花放電は電極(帯電した物体)間の気体(空気・蒸気)を通って起こる現象。

引っかけ: ア(静電気は引火させない)とエ(空気は絶対に絶縁)が定番の誤り。

【理論的背景:絶縁破壊と放電の物理】

空気は通常は絶縁体ですが、電場の強さが絶縁破壊電場(約3 kV/mm ≒ 3×10⁶ V/m)を超えると、空気分子がイオン化されてプラズマ状態になり電流が流れます。これが放電(スパーク・火花放電)です。

放電のプロセス:

1. 帯電体(容器・配管)の電位が上昇

2. 空気の絶縁破壊電場を超える電位差が生じる

3. 放電経路の空気がイオン化→プラズマ(イオン化した気体)の通り道ができる

4. 瞬間的なエネルギー放出(火花)

【最小着火エネルギーと静電気放電の関係】

最小着火エネルギー(MIE: Minimum Ignition Energy)は可燃性の混合気が着火するのに必要な最小エネルギーです。空気中のアルカン(飽和炭化水素)や留出物燃料(石油から蒸留でつくる燃料)では、0.1〜10mJの範囲にあります。

帯電した物体が放電するときのエネルギーは、コンデンサーと同じく W=½CV²(C: 静電容量、V: 電位)で表せます。例えば静電容量100pF(100×10⁻¹²F)の導体が10kVに帯電していれば、

W=½×(100×10⁻¹²)×(10×10³)²=5×10⁻³J=5mJ

となり、上の範囲(0.1〜10mJ)に入ります。電位が2倍になればエネルギーは4倍になるため、帯電電位が高いほど危険が急に大きくなります。つまり静電気放電は第4類危険物の引火に十分な点火源になりえます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア(誤): 静電気放電のエネルギーは条件次第でMIEを上回り着火する。セルフ式ガソリンスタンドでの静電気の火花による発火など、静電気による引火事故は実際に起きている。「下回ることが多い」は根拠なく危険。
  • イ(正): 正しい。放電火花が最小着火エネルギー以上のエネルギーを狭い範囲に供給する。これが静電気対策(アース・ボンディング・流速制限)が必要な理由。
  • ウ(誤): 放電発生の条件は「絶縁破壊電圧(電位差)への到達」であり、大気圧との比較ではない。
  • エ(誤): 空気は絶縁破壊電場(約3 kV/mm)以下では絶縁体だが、それを超えると放電する。稲妻(落雷)も空気の絶縁破壊による放電現象。
  • オ(誤): 放電は空間(気体中)を通して起こる。液体表面のみに限定されない。蒸気(引火性蒸気)が充満した空間での放電が最も危険(燃焼範囲内にある場合)。

【試験での位置づけ】

乙四試験では「静電気放電→点火源」「放電を防ぐためのアース・ボンディング・流速制限」が最重要です。MIEの具体値は暗記不要ですが「静電気放電は引火の点火源になりうる(エネルギーが十分)」の理解が試験の正誤判定で必要です。

【根拠】確立した物理学(絶縁破壊・火花放電・最小着火エネルギー)。

【補足】静電気放電→狭い範囲への瞬間的なエネルギー放出→最小着火エネルギー(0.1〜10mJの範囲)を超えれば引火性蒸気の点火源になる。空気は絶縁破壊電場(約3kV/mm)を超えると放電する。

この問題の根拠根拠: 確立した物理学(放電・着火の原理)。空気は電場の強さが約300万V/m(約3kV/mm)を超えると絶縁破壊して放電する。静電気の火花放電は、放電エネルギーが引火性蒸気の最小着火エネルギー(空気中のアルカン・留出物燃料で0.1〜10mJの範囲)を上回ると点火源となる。可燃性蒸気を扱う場所での火花放電は、引火による爆発・火災の原因になる。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学(放電・着火の原理)。空気は電場の強さが約300万V/m(約3kV/mm)を超えると絶縁破壊して放電する。静電気の火花放電は、放電エネルギーが引火性蒸気の最小着火エネルギー(空気中のアルカン・留出物燃料で0.1〜10mJの範囲)を上回ると点火源となる。可燃性蒸気を扱う場所での火花放電は、引火による爆発・火災の原因になる。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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  • 静電気放電(火花放電
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