危険物乙四
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問99|メタノールの引火点と発火点・アルコール類の引火危険性

問題

危険物乙四 | 基礎的な物理学及び基礎的な化学

メタノール(CH3OH)の引火点および発火点に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ

タップするとすぐ答え合わせ

答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)

解説

正しいのはウです。メタノールの引火点は12℃で、常温(20℃)より低い温度です。20℃では液面付近の蒸気濃度が燃焼下限値を超えているため、点火源(火花・炎等)があれば引火します。

  • ア(誤): 引火点は12℃で、40℃よりずっと低い。常温でも引火の危険がある。
  • イ(誤): 発火点はメタノール464℃、エタノール363℃で、メタノールの方が高い。
  • ウ(正): 引火点<常温→燃焼下限値以上の蒸気が発生→点火源に注意。
  • エ(誤): 引火点と発火点は連動しない。メタノールの発火点(464℃)はジエチルエーテル(175℃)より高い。
  • オ(誤): メタノール・エタノールはいずれも水によく溶ける(水溶性)。

「メタノールは引火点が常温より低い→常温で引火の危険あり」を押さえてください。

メタノールとエタノールの物性(職場のあんぜんサイト GHSモデルSDS):

項目メタノールエタノール
引火点12℃13℃
発火点(自然発火温度)464℃363℃
燃焼範囲6.0〜36.5vol%3.3〜19vol%
液比重0.790.79
蒸気比重1.111.59
水への溶解よく溶ける(水溶性)水と混和(水溶性)

各選択肢:

  • ア(誤): 引火点12℃は常温(20℃)より低い。「40℃以上」「比較的安全」は誤り。
  • イ(誤): 発火点はメタノール464℃>エタノール363℃。「メタノールの方が低い」は逆。
  • ウ(正): 20℃のメタノールの蒸気圧は95.2mmHg。液面付近の蒸気濃度は 95.2÷760×100≒12.5vol% で、燃焼下限値6.0vol%を上回るため、点火源があれば引火する。
  • エ(誤): 引火点と発火点は別の現象で決まり、連動しない。ジエチルエーテルは引火点−45℃・発火点175℃、メタノールは引火点12℃・発火点464℃で、発火点はメタノールの方が高い。
  • オ(誤): メタノール・エタノールはいずれも水溶性。「水不溶性」は誤り。安全データシートでは、消火剤として水噴霧・対アルコール性泡消火剤などが挙げられ、棒状放水は使ってはならないとされている。

引っかけ: ア(メタノールの引火点を灯油と混同)、イ(発火点の大小を逆にする)、エ(引火点が低ければ発火点も低いと考える)、オ(アルコール類を水不溶性とする)。

【理論的背景:引火点の意味と常温比較】

引火点とは「可燃性蒸気が空気との混合気体を形成し、外部点火源(小火花等)で引火するのに十分な濃度(燃焼下限値)が液面上に生じる最低液体温度」です。

引火点と常温の関係:

  • 引火点 < 常温(20℃): 常温で燃焼下限値以上の蒸気が発生→点火源があれば引火可能
  • 引火点 ≥ 常温: 常温では通常は引火しない(加熱等で引火点を超えると危険)

メタノールの引火点12℃は常温(20℃)より低いため、夏季(30℃超)はもちろん、通常の室内温度でも常に引火の危険があります。ガソリンなどと同じく、常温で引火の危険がある物質です。

数値で確かめると、20℃のメタノールの蒸気圧は95.2mmHgです。液面付近の空気が蒸気で飽和しているとき、蒸気の体積分率は「蒸気圧÷大気圧」なので、95.2÷760×100≒12.5vol%。これは燃焼下限値6.0vol%の約2倍で、燃焼範囲(6.0〜36.5vol%)の中に入っています。

【引火点と発火点の独立性】

引火点と発火点は全く別の概念・測定方法で決まります:

  • 引火点: 液体から蒸発した気体の濃度が燃焼下限値に達する温度(液体の温度)
  • 発火点: 可燃性物質が加熱されたとき、外部点火源なしに自然発火する最低温度

「引火点が低い物質は発火点も低い」という法則はありません。例(職場のあんぜんサイト GHSモデルSDSの値):

  • ジエチルエーテル: 引火点 −45℃(低)・発火点 175℃(低)
  • メタノール: 引火点 12℃(中)・発火点 464℃(高)
  • 灯油: 引火点 37〜65℃(高)・発火点 220℃(中)

ジエチルエーテルは引火点が低いうえに発火点も低い(175℃)ため、点火源がなくても高温の加熱器具等に触れると発火しやすいという固有の危険性があります。

【メタノールとエタノールの発火点】

安全データシートでは、発火点(自然発火温度)はメタノール464℃、エタノール363℃で、メタノールの方が約100℃高くなっています。一方、引火点はメタノール12℃・エタノール13℃でほとんど差がありません。引火点がほぼ同じでも発火点は大きく異なる——ここでも引火点と発火点が連動しないことがわかります。

【各選択肢の発展補足】

  • ア(誤): 引火点12℃は常温より低く、常温での取扱いは特に注意が必要。「比較的安全」という評価は誤り。
  • イ(誤): 発火点はメタノール464℃、エタノール363℃。メタノールの方が高いので「低い」は誤り。
  • ウ(正): 引火点12℃ < 常温(20℃)。20℃の飽和蒸気濃度約12.5vol%は燃焼下限値6.0vol%を上回る→点火源があれば引火する。
  • エ(誤): 引火点と発火点は独立。ジエチルエーテル(発火点175℃)よりメタノール(464℃)の方が発火点は高い。
  • オ(誤): メタノール(水溶解度1.00×10⁶mg/L)・エタノール(水と混和)はいずれも水溶性。「水不溶性」は誤り。水溶性液体の火災には対アルコール性泡消火剤などを使い、棒状放水は使わない。

【試験での位置づけ】

メタノール(引火点12℃)・エタノール(13℃)はどちらも引火点が常温より低く、「常温で引火の危険がある」と覚えます。引火点が常温より高い灯油(37〜65℃)との対比で覚えると定着します。発火点は「メタノール>エタノール」、引火点と発火点は連動しない、の2点もあわせて押さえます。

【根拠】職場のあんぜんサイト GHSモデルSDS(メタノール: 引火点12℃・自然発火温度464℃・爆発範囲6.0〜36.5vol%・蒸気圧95.2mmHg(20℃)/エタノール: 引火点13℃・自然発火温度363℃/ジエチルエーテル: 引火点−45℃・自然発火温度175℃/灯油: 引火点37〜65℃・自然発火温度220℃)。

【補足】メタノール引火点12℃(常温より低い→常温で引火の危険あり)。発火点はメタノール464℃>エタノール363℃。アルコール類は水溶性。

この問題の根拠根拠: 職場のあんぜんサイト GHSモデルSDS。メタノール: 引火点12℃・自然発火温度(発火点)464℃・爆発範囲6.0〜36.5vol%・蒸気圧95.2mmHg(20℃)・水溶解度1.00×10⁶mg/L。エタノール: 引火点13℃・自然発火温度363℃・水と混和。ジエチルエーテル: 引火点−45℃・自然発火温度175℃。20℃のメタノールの飽和蒸気濃度は 95.2÷760×100≒12.5vol% で、燃焼下限値6.0vol%を上回る。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 職場のあんぜんサイト GHSモデルSDS。メタノール: 引火点12℃・自然発火温度(発火点)464℃・爆発範囲6.0〜36.5vol%・蒸気圧95.2mmHg(20℃)・水溶解度1.00×10⁶mg/L。エタノール: 引火点13℃・自然発火温度363℃・水と混和。ジエチルエーテル: 引火点−45℃・自然発火温度175℃。20℃のメタノールの飽和蒸気濃度は 95.2÷760×100≒12.5vol% で、燃焼下限値6.0vol%を上回る。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。