危険物乙四 危険物に関する法令 問127:許可・承認・届出
製造所等に対する保安検査に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア保安検査は、消防法上のすべての製造所等(製造所・貯蔵所・取扱所の全12区分)が毎年定期的に受けなければならない検査である。
- イ保安検査を受けなければならない製造所等には、政令で定める規模の屋外タンク貯蔵所(特定屋外タンク貯蔵所)および移送取扱所が含まれる。正答
- ウ保安検査は、製造所等の設置工事完了後に一度だけ受ければ足りる検査であり、継続的な受検義務はない。
- エ保安検査は市町村長等ではなく、国(総務大臣)のみが実施権限を持ち、都道府県・市町村には権限がない。
- オ保安検査に合格しなかった施設は、直ちに施設が廃止されるが、改善措置後に再設置の申請を行うことができる。
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正しいのはイです。保安検査は、すべての製造所等が対象ではなく、政令で定める規模の特定屋外タンク貯蔵所と移送取扱所(パイプライン)だけが受けなければならない特別な検査です。
- ア(誤): すべての製造所等ではなく、特定の施設のみが対象。
- イ(正): 特定屋外タンク貯蔵所・移送取扱所が対象(消防法第14条の3)。
- ウ(誤): 設置後一度きりではなく、定期的に継続して受ける義務がある。
- エ(誤): 市町村長等にも実施・関与する権限がある。
- オ(誤): 不合格で直ちに廃止とはならない。
「保安検査=特定屋外タンク貯蔵所・移送取扱所が対象の定期的な特別検査」と押さえます。
保安検査の制度(消防法第14条の3・危政令第8条の4):
保安検査は、危険物の取扱量が特に大きく、万一の事故時の影響が甚大な施設を対象とした定期的な検査制度です。
- ア(誤): 保安検査はすべての製造所等が対象ではありません。対象施設は政令で定める特定屋外タンク貯蔵所と移送取扱所に限定されます(消防法第14条の3・危政令第8条の4)。
- イ(正): 政令で定める規模の特定屋外タンク貯蔵所(液体危険物タンクの容量が一定規模以上)および移送取扱所(配管・ポンプ等によって危険物を移送する取扱所)が対象です。これらは大量の危険物を貯蔵・移送する施設であり、構造・設備の健全性を継続的に確認する必要があります(消防法第14条の3)。
- ウ(誤): 保安検査は設置後一度だけでなく、定期的(継続的)に受ける義務があります。完成検査が新設・変更後に一度受けるものであるのに対し、保安検査は継続運用中の安全確認のために定期的に実施されます。
- エ(誤): 保安検査の実施権限者は市町村長等です(消防法第14条の3第1項)。「市町村長等」とは消防法第11条第1項各号の区分に応じた市町村長・都道府県知事・総務大臣を包括する概念で、国(総務大臣)のみが行うわけではありません。
- オ(誤): 保安検査で問題が確認された場合は、改善命令・措置命令等が行われますが、直ちに施設廃止とはなりません。
引っかけパターン: 「全施設が対象」(ア)・「一度きり」(ウ・完成検査との混同)が定番誤り。
【理論的背景】
危険物施設の検査制度には、大きく分けて次の3種類があります。
1. 完成検査(消防法第11条第5項): 製造所等の設置・変更工事完了後、技術基準への適合を確認して完成検査済証を交付する。以後危険物の貯蔵・取扱いが可能になる一回限りの検査。
2. 完成検査前検査(消防法第11条の2): 完成検査前の段階(工事中)に液体危険物タンクの水張試験・水圧試験・基礎地盤検査等を行う中間的な検査。
3. 保安検査(消防法第14条の3): 継続運用中の特定施設に対して定期的に行われる検査。完成検査とは別に、運用中の構造・設備の健全性を継続的に確認する制度。
保安検査が特定屋外タンク貯蔵所・移送取扱所に限定される理由は、これらが特に大量の危険物を長期継続的に取り扱う施設であり、タンクや配管の劣化・腐食が重大事故につながるリスクが他の施設より高いためです。1970年代の大規模石油タンク火災事故(新潟・多摩川等)を教訓に強化された制度です。
【実務・条文構造】
保安検査の主要規制(消防法第14条の3・危政令第8条の4):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象施設 | 特定屋外タンク貯蔵所(液体危険物の最大数量1万kL以上)・移送取扱所(配管延長15km超等の政令規模・パイプライン)(危政令第8条の4) |
| 検査頻度 | 定期的(継続的)に受ける義務あり。特定屋外タンク貯蔵所は原則8年ごと(保安措置の実施で10年・13年に延長可)、移送取扱所は原則1年ごと(危政令第8条の4) |
| 実施権限 | 市町村長等(消防法第14条の3第1項。第11条第1項各号に応じ市町村長/都道府県知事/総務大臣を包括する概念) |
| 完成検査との違い | 完成検査は新設・変更時一回限り。保安検査は継続運用中の定期的検査 |
| 不合格時 | 直ちに廃止ではなく、改善命令・措置命令等の行政処分による対応 |
特定屋外タンク貯蔵所とは、液体危険物タンクの容量が政令で定める規模(一定量以上)の屋外タンク貯蔵所をいいます。この施設は通常の屋外タンク貯蔵所よりも高い安全基準(耐震設計・防油堤・保安距離等)が課せられるほか、保安検査の対象となっています。
移送取扱所(パイプライン)は、配管およびポンプ等によって危険物を移送する取扱所で、長大な配管が地下・地上に敷設されることが多く、腐食・劣化の管理が重要です。
【試験での位置づけ】
保安検査は法令B頻出です。(1)保安検査の対象は全施設ではなく、特定屋外タンク貯蔵所・移送取扱所に限定される、(2)継続運用中に定期的に受ける検査(完成検査の一回限りと区別)、(3)完成検査・完成検査前検査との3段階の検査制度の区別、が核心です。引っかけは「全製造所等が対象」(ア)・「設置後一度きり」(ウ=完成検査との混同)・「国のみに実施権限」(エ)・「不合格で即廃止」(オ)です。乙4試験では各種検査制度(完成検査・完成検査前検査・保安検査・定期点検)の違いと対象施設を整理しておくことが重要です。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 全製造所等12区分ではなく、特定屋外タンク貯蔵所・移送取扱所のみが対象(消防法第14条の3・危政令第8条の4)。
- イ(正): 政令で定める規模の特定屋外タンク貯蔵所と移送取扱所が対象(消防法第14条の3)。
- ウ(誤): 保安検査は定期的・継続的な義務。完成検査(新設・変更後一回)と混同しない。
- エ(誤): 保安検査の実施権限者は市町村長等(消防法第14条の3第1項)。「市町村長等」は市町村長/都道府県知事/総務大臣を包括する概念であり、国(総務大臣)のみではない。
- オ(誤): 不合格時は改善命令・措置命令等。直ちに廃止とはならない。
【根拠法令】消防法 第14条の3(保安検査)、危険物の規制に関する政令 第8条の4(保安検査を受けるべき製造所等の範囲)。
【補足】保安検査=特定屋外タンク貯蔵所・移送取扱所が対象の定期的・継続的な検査。全施設が対象ではない。完成検査(一回)・完成検査前検査(工事中)とは別制度。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 一次条文(e-Gov)突合済。保安検査の根拠=消防法第14条の3(実施権限者=市町村長等)、対象施設=危政令第8条の4で(1)特定屋外タンク貯蔵所のうち液体危険物の最大数量1万kL以上、(2)移送取扱所のうち配管延長15km超等の政令規模、に限定。検査時期=特定屋外タンク貯蔵所は原則8年ごと(保安措置で10年/13年に延長)、移送取扱所は原則1年ごと。完成検査(法第11条第5項・一回限り)・完成検査前検査(法第11条の2・工事中)との3段階区別も正確。選択肢イ(特定屋外タンク貯蔵所・移送取扱所が含まれる)が唯一正で一意(ア=全施設対象は誤/ウ=一度きりは完成検査との混同で誤/エ=総務大臣のみは誤/オ=即廃止は誤)。二重正答なし。修正点=「市町村長等」を「市町村長等(または都道府県知事)/消防機関も関与」と併記していた箇所が、都道府県知事を市町村長等の外に置く誤読を招くため、「市町村長等=消防法第11条第1項各号に応じ市町村長/都道府県知事/総務大臣を包括する概念」と正確化。あわせてadvancedの表に対象規模(1万kL等)・検査時期(8年/1年)を一次条文値で補足。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 消防法第14条の3(保安検査)、危険物の規制に関する政令 第8条の4(保安検査を受けるべき製造所等)。保安検査を受けるべき施設は、液体危険物タンクの容量が政令で定める規模以上の屋外タンク貯蔵所(特定屋外タンク貯蔵所)および移送取扱所(パイプライン)に限定される(全製造所等が対象ではない)。保安検査は定期的に継続して受けるものであり(一度きりではない)、実施権限は市町村長等も持つ(国のみではない)。合格しなかった場合は廃止ではなく改善命令等が行われる。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。