危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問100:消火方法(S10・消火剤選択の総まとめ)
次の第4類危険物の火災と消火剤の組合せのうち、**最も適切なもの**はどれか。
- アガソリン(第一石油類・非水溶性)の火災→耐アルコール泡(水溶性液体用泡)を使用する。
- イメタノール(アルコール類・水溶性)の火災→通常の泡消火剤を使用する。
- ウ重油(第三石油類・非水溶性)の火災→通常の泡消火剤を使用する。正答
- エアセトン(第一石油類・水溶性)の火災→棒状の水を大量に放射して冷却消火する。
- オグリセリン(第三石油類・水溶性)の火災→通常の泡消火剤を使用する。
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正しいのはウです。重油は非水溶性なので通常の泡消火剤(窒息消火)が適切です。
- ア(誤): ガソリン(非水溶性)には通常の泡でよい(耐アルコール泡は不要)。
- イ(誤): メタノール(水溶性)には通常泡は消泡して不適→耐アルコール泡が必要。
- ウ(正): 重油(非水溶性)→通常の泡消火剤が適切。正しい。
- エ(誤): アセトン(水溶性)に棒状注水は不適(液面拡大・水溶性でも棒状注水は基本不適)。
- オ(誤): グリセリン(水溶性)には通常泡は消泡→耐アルコール泡が必要。
「非水溶性→通常泡、水溶性→耐アルコール泡、棒状注水は原則不適」を全体で押さえます。
第4類危険物の消火剤選択(水溶性・非水溶性別)の総まとめ:
消火剤選択の基本原則: 「水溶性→耐アルコール泡、非水溶性→通常泡でよい、棒状注水は原則不適」
- ア(誤): ガソリンは第一石油類・非水溶性。非水溶性の油火災には通常の泡消火剤(水成膜泡・タンパク質泡等)が有効(泡が液面に維持できる)。耐アルコール泡は水溶性液体用であり、ガソリンに使う必要はない(使っても間違いではないが「最も適切」ではない)。
- イ(誤): メタノールはアルコール類・水溶性。水溶性液体に通常の泡消火剤を使うと、泡がメタノールに溶けて消泡してしまい液面を覆えない。耐アルコール泡(水溶性液体用泡)が必要。
- ウ(正): 重油は第三石油類・非水溶性。非水溶性の油火災には通常の泡消火剤(窒息消火)が有効。また重油火災での棒状注水はボイルオーバーの危険があるため特に避ける。泡による液面覆い(窒息消火)が最も適切。正しい。
- エ(誤): アセトンは第一石油類・水溶性。棒状注水は(1)液面を広げて延焼拡大(原則不適)、(2)水溶性でも大量注水は液面飛散の危険がある。アセトンの消火には耐アルコール泡が必要。「棒状注水で冷却消火」は誤り。
- オ(誤): グリセリンは第三石油類・水溶性(4,000L)。水溶性液体なので通常泡は消泡して液面を覆えない。耐アルコール泡が必要。引火点が高く(約160℃)常温での直接引火は少ないが、消火の際の泡の選択は水溶性の原則による。
消火剤選択の決定フロー:
1. 第4類危険物 → 窒息消火が基本(棒状注水は原則不適)
2. 水溶性か非水溶性か?
- 非水溶性 → 通常の泡消火剤でよい
- 水溶性 → 耐アルコール泡が必要
【理論的背景】
第4類危険物の消火剤選択は、「水溶性か非水溶性か」という一点が最大の判断軸です。この軸が決まれば泡消火剤の種類が決まります。加えて「棒状注水は原則不適(液面拡大・ボイルオーバー等)」というルールも全第4類に共通です。本問は一問で複数の論点(5物質の水溶性・非水溶性・泡の種類・棒状注水の適否)を総復習する形式です。
【水溶性と非水溶性の消火剤決定の根拠】
| 物質の特性 | なぜ? | 泡の種類 |
|---|---|---|
| 非水溶性 | 通常泡の水分が油面に溶けない→泡膜が維持→酸素遮断(窒息)できる | 通常の泡消火剤でよい |
| 水溶性 | 通常泡(水ベース)が水溶性液体に溶けて消泡→泡膜が維持できない→効果なし | 耐アルコール泡が必要(水溶性に溶けない特殊ゲル型の泡) |
【五物質の水溶性・非水溶性の確認】
| 物質 | 区分 | 水溶性/非水溶性 | 適切な泡 |
|---|---|---|---|
| ガソリン | 第一石油類 | 非水溶性 | 通常泡 |
| メタノール | アルコール類 | 水溶性 | 耐アルコール泡 |
| 重油 | 第三石油類 | 非水溶性 | 通常泡 |
| アセトン | 第一石油類 | 水溶性 | 耐アルコール泡 |
| グリセリン | 第三石油類 | 水溶性 | 耐アルコール泡 |
重油(非水溶性)に通常泡が適切というウが唯一の正答です。
【重油火災での泡消火の実務的注意(スロップオーバー)】
重油など高引火点・高粘性の油のタンク火災では、泡消火剤の水分が高温の油面に触れて急激に水蒸気化し、油を飛散させる「スロップオーバー」が起きることがあります。これを防ぐには:
- 泡を穏やかに(直接液面に当てず)放射する(落とし放射)
- フォームモニターを使って油面から距離をとる
- 段階的に泡膜を形成する
通常泡が非水溶性(重油)の消火に適切であることは正しいですが、実務では泡の放射方法にも注意が必要です。
【アセトンへの棒状注水が特に不適な理由】
アセトンへの棒状注水が不適な理由は二重です:
1. 液面拡大(第4類共通): 棒状水流が液面を乱して延焼拡大
2. 水溶性ゆえの問題: 大量の水でアセトンが希釈されると濃度が燃焼範囲内に入る可能性がある(高濃度アセトン蒸気に大量注水して希釈が進む→一時的に燃焼範囲内になる→より危険な状態になる可能性)
アセトンには耐アルコール泡による窒息消火が正しい対応です。
【試験での位置づけ】
消火剤選択の総まとめ問題は性質科目で頻出(頻出度A)です。核心は(1)「水溶性か非水溶性か」が泡の種類を決める一点の判断軸、(2)各物質の水溶性・非水溶性の確認(ガソリン・重油・アニリン・クレオソート油=非水溶性、メタノール・エタノール・アセトン・グリセリン・エチレングリコール=水溶性)、(3)棒状注水は原則不適(全第4類)、(4)重油(非水溶性)に通常泡が適切(ウ)です。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): ガソリン(非水溶性)→通常泡でよい(耐アルコール泡は不要)。
- イ(誤): メタノール(水溶性)→通常泡は消泡→耐アルコール泡が必要。
- ウ(正): 重油(非水溶性)→通常の泡消火剤が適切(窒息消火)。棒状注水はボイルオーバー誘発で特に危険。
- エ(誤): アセトン(水溶性)に棒状注水→液面拡大+希釈で危険増大→耐アルコール泡が必要。
- オ(誤): グリセリン(水溶性)→通常泡は消泡→耐アルコール泡が必要。
【根拠】確立した消火理論・設計書§1-3・§2-3(S10)。
【補足】消火剤選択:非水溶性(ガソリン・重油・灯油等)→通常泡。水溶性(メタノール・エタノール・アセトン・グリセリン等)→耐アルコール泡。棒状注水は第4類全般に原則不適。重油は非水溶性→通常泡が適切。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 消火剤選択の判断軸(非水溶性→通常泡/水溶性→耐アルコール泡/棒状注水は第4類全般で原則不適)は確立事実と整合。5物質の区分(ガソリン・重油=非水溶性、メタノール・アセトン・グリセリン=水溶性)も設計書/Wave2突合と一致。正答ウ一意(重油=非水溶性に通常泡が適切のみ正。ア=ガソリンに耐アルコール泡は不適切/イ=メタノールに通常泡は不適/エ=アセトンに棒状注水は不適/オ=グリセリンに通常泡は不適、いずれも誤)。物性是正なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した消火理論・設計書§1-3・§2-3(S10)。ガソリン(非水溶性)→通常泡でよい(耐アルコール泡は不要・ア誤)。メタノール(水溶性)→耐アルコール泡が必要(通常泡は消泡・イ誤)。重油(非水溶性)→**通常の泡消火剤**が適切(ウ正)。アセトン(水溶性)→棒状注水は液面拡大で不適かつ耐アルコール泡が必要(エ誤)。グリセリン(水溶性)→耐アルコール泡が必要(通常泡は消泡・オ誤)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。