危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問66:第4類の共通性状
第4類危険物の蒸気比重に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア第4類危険物の蒸気はすべて空気より軽く、蒸気比重は1未満である。
- イ蒸気比重は(蒸気の分子量)÷29 で近似でき、第4類危険物の分子量は29より大きいものがほとんどのため蒸気比重は1より大きい。正答
- ウメタノールの蒸気比重は約3〜4で、ガソリンと同程度の重さである。
- エ蒸気比重が大きい物質ほど引火点が低く、より危険な危険物と判断できる。
- オ蒸気比重が1より大きい場合、蒸気は天井付近に集まるため高所に換気口を設けるだけで十分である。
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正しいのはイです。蒸気比重は分子量÷29で近似でき、第4類の多くは分子量>29なので蒸気比重>1(空気より重い)です。
- ア(誤): 第4類の蒸気比重は1より大きく、低所に滞留する。1未満ではない。
- イ(正): 蒸気比重≒分子量/29。第4類の分子量は29超なので蒸気比重>1。
- ウ(誤): メタノールの蒸気比重は約1.1(32/29≒1.1)。3〜4はガソリンの値。
- エ(誤): 蒸気比重と引火点に直接の相関はない。
- オ(誤): 蒸気比重>1の物質は低所に滞留。低所換気が必要(高所換気だけでは不十分)。
「蒸気比重=分子量/29・第4類は>1・低所換気」を押さえます。
蒸気比重の計算と第4類への適用:
- ア(誤): 第4類危険物の蒸気は空気より重く(蒸気比重>1)、低所に滞留します。水素(蒸気比重0.07)やメタン(蒸気比重0.55)など空気より軽いガスとは異なります。「1未満」は誤りです。
- イ(正): 蒸気比重は (蒸気の分子量)÷29(空気の平均分子量は約29)で近似できます。第4類の代表物質の分子量はメタノール32・エタノール46・ジエチルエーテル74・二硫化炭素76・ガソリン(混合物・平均概算)100以上等、いずれも29より大きいため蒸気比重>1になります。正しい。
- ウ(誤): メタノールの蒸気比重は約1.1(分子量32÷29≒1.1)。ガソリンの蒸気比重は3〜4(分子量86〜114以上の混合物)。全く異なります。「メタノールが3〜4」は誤り。
- エ(誤): 蒸気比重(空気との密度比)と引火点(引火する最低温度)は別の物性で、直接の相関はありません。引火点が低い=危険ですが、蒸気比重が大きい=引火点が低いとは言えません(例: メタノールは蒸気比重1.1だが引火点11℃、ガソリンは蒸気比重3〜4だが引火点−40℃以下)。
- オ(誤): 蒸気比重>1の物質は低所(床面・地下・くぼみ)に滞留します。低所換気(低い位置に換気口を設ける)が必要です。高所に換気口を設けるだけでは蒸気を掃き出せません。
引っかけパターン: 蒸気比重<1とする(ア)、メタノールの蒸気比重を大きくする(ウ)、蒸気比重と引火点を相関させる(エ)、高所換気で十分とする(オ)。
【理論的背景】
蒸気比重は蒸気の密度/空気の密度であり、密度は質量/体積なので同温・同圧下では分子量に比例します。空気の平均分子量は約29(N₂の分子量28が約78%・O₂の分子量32が約21%の混合物なので平均的に29程度)です。したがって、蒸気比重≒蒸気の分子量/29という近似式が成り立ちます。第4類危険物の分子量はほとんどが29を超えているため、蒸気比重>1(空気より重い)になり低所に滞留します。
【主要物質の蒸気比重の計算例】
- メタノール(CH₃OH): 分子量32/29≒1.1
- エタノール(C₂H₅OH): 分子量46/29≒1.59
- 二硫化炭素(CS₂): 分子量76/29≒2.6
- ジエチルエーテル((C₂H₅)₂O): 分子量74/29≒2.55
- ガソリン(混合物): 平均分子量86〜114程度/29≒3〜4(概算)
- 灯油・軽油: ガソリンより炭素数が多く分子量大→蒸気比重4.5前後
これらを比較すると、炭素数が多いほど分子量が大きく蒸気比重も大きくなる傾向があります(ただし構造によって異なる)。第4類では最も分子量が小さいメタノール(32)でも蒸気比重1.1で空気より重い。
【蒸気比重>1の安全対策への影響】
蒸気比重>1(低所滞留)の特性から、安全対策では以下が重要です。
- 換気: 低所換気(床面近くに換気口・排気口)で蒸気を効果的に掃き出す。高所換気だけでは床面の蒸気が残る。
- 点火源の配置: 床面に近い電気スイッチ・機器の防爆化。
- 溜まりやすい場所の管理: 地下室・ピット・側溝・くぼみは特に蒸気が溜まりやすいため重点点検。
- 避難方向: 高所に逃げると酸素豊富で有利(蒸気は低所に多い)。
【蒸気比重と他の物性との独立性】
蒸気比重は引火点・発火点・燃焼範囲等の危険性指標とは独立した物性です。
- 蒸気比重大=引火点が低い: 成り立たない(例: メタノール蒸気比重1.1・引火点11℃ vs ガソリン蒸気比重3〜4・引火点−40℃)
- 蒸気比重は危険性の一指標: 蒸気比重が大きいほど低所滞留しやすく火災予防の観点で注意が必要ですが、引火点の低さとは別軸の危険性です。
【試験での位置づけ】
蒸気比重の計算と第4類への適用は物理化学・性質科目で頻出(頻出度A)です。核心は、(1)蒸気比重≒分子量/29(検算可能)、(2)第4類はすべて蒸気比重>1(低所滞留)、(3)メタノール蒸気比重≒1.1(3〜4ではない)、(4)蒸気比重と引火点は別物、(5)低所換気が必要(高所換気だけでは不十分)です。引っかけは蒸気比重<1とする(ア)、メタノールを大きくする(ウ)、蒸気比重と引火点を相関させる(エ)、高所換気で十分とする(オ)です。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 第4類の蒸気比重は>1(低所滞留)。1未満は誤り。
- イ(正): 蒸気比重≒分子量/29。第4類の分子量は29超なので>1。正しい。
- ウ(誤): メタノールの蒸気比重は約1.1(3〜4はガソリンの値)。
- エ(誤): 蒸気比重と引火点は独立した物性。直接の相関はない。
- オ(誤): 蒸気比重>1は低所滞留→低所換気が必要。高所換気だけでは不十分。
【根拠】確立した物理学・設計書§1-2。
【補足】蒸気比重≒分子量/29。第4類は>1(低所滞留)。メタノール32/29≒1.1・エタノール46/29≒1.59・CS₂76/29≒2.6・ガソリン3〜4。低所換気必要。蒸気比重と引火点は別物性。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 蒸気比重≒分子量/29。メタノール1.1・エタノール1.59・CS₂2.6・ガソリン3〜4(§1-2)一致。物化52/66と科目間整合。蒸気比重と引火点は独立も正。低所換気が必要も正。正答イ一意。OK -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学・設計書§1-2。蒸気比重=分子量/29(空気の平均分子量)。第4類危険物の多くは分子量29超(メタノール32・エタノール46・ジエチルエーテル74・ガソリン混合物86以上等)なので蒸気比重>1で低所に滞留する。メタノールの蒸気比重は約1.1(3〜4ではない)。蒸気比重と引火点に直接の相関はない。蒸気比重>1の物質は低所に滞留するため低所換気が必要。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。