危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問83:重油(第三石油類・非水溶性)
重油の性状と火災危険に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア重油は第二石油類の非水溶性液体に分類され、引火点は45℃以上である。
- イ重油に棒状の水を放射すると、加熱された重油と水の急激な水蒸気化により、燃える油が飛散・噴出するボイルオーバーが発生するおそれがある。正答
- ウ重油の引火点は常温(約20℃)以下であり、常温で直接引火する危険がある。
- エ重油は水に任意の割合で混ざる水溶性であるため、消火には耐アルコール泡を用いる。
- オ重油は1種・2種・3種の別にかかわらず、引火点はすべて同一の値(60℃)である。
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正しいのはイです。重油(第三石油類)に棒状注水するとボイルオーバー(水蒸気爆発による燃える油の飛散)が起きる危険があります。
- ア(誤): 重油は第三石油類(第二石油類ではない)。引火点60℃以上。
- イ(正): 棒状注水→ボイルオーバー→燃える油が飛散。正しい。
- ウ(誤): 引火点は60℃以上(常温20℃より高い)。常温では直接引火しない。
- エ(誤): 非水溶性→通常の泡消火剤でよい(耐アルコール泡は不要)。
- オ(誤): 種別(1種・2種・3種)で引火点の範囲が異なる(60〜150℃の幅)。
「重油=第三石油類・非水溶性・引火点60℃以上・ボイルオーバーに注意」を押さえます。
重油の性状と火災危険:
重油は原油の蒸留残留物や残渣を主体とする燃料油で、ボイラー・発電・船舶燃料等に使われます。
- ア(誤): 重油は第三石油類・非水溶性(2,000L)。「第二石油類(21〜70℃)」とするのは引火点の区分誤り。重油の引火点は60℃以上で第三石油類の範囲(70〜200℃)に入る(種別によって60〜150℃の幅がある)。
- イ(正): ボイルオーバー(boilover): 重油タンクの火災時に消火のため棒状の水を放射すると、高温の重油層(100℃超)に水が入り込んで急激に水蒸気に変わる。この急膨張(体積1,700倍)で燃える重油が爆発的に飛散・噴出する現象。消火員・施設に甚大な被害。正しい。
- ウ(誤): 重油の引火点は60℃以上(種別で異なるが常温20℃より大幅に高い)。常温では直接引火はしないが、引火点を超える温度(加熱・夏の高温時等)では危険になる。
- エ(誤): 重油は非水溶性。消火には通常の泡消火剤(窒息消火)が使用できる。耐アルコール泡は水溶性液体に使うもの。
- オ(誤): 重油は1種(A重油)・2種(B重油)・3種(C重油)で引火点の範囲が異なる。「すべて60℃一定」は誤り。
引っかけパターント: 第二石油類とする(ア)、常温で引火するとする(ウ)、水溶性とする(エ)、引火点が一定とする(オ)。
【理論的背景】
重油は第三石油類・非水溶性として、引火点(60℃以上)が高く常温では直接の引火危険は低いです。しかし、高温状態での取扱い・火災発生時の消火法(特にボイルオーバー)で独特の危険があります。乙4試験では「重油=第三石油類・引火点60℃以上・ボイルオーバーの危険」という論点で出題されます。
【重油の詳細性状(種別)】
| 種別 | 通称 | 引火点 | 粘度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 1種 | A重油 | 60〜90℃ | 比較的低 | 工業炉・小型ボイラー |
| 2種 | B重油 | 90〜120℃ | 中程度 | 工場・船舶 |
| 3種 | C重油 | 120〜150℃ | 高(粘稠) | 大型発電・船舶 |
設計書§1-2の「引火点60〜150℃(1種/2種/3種で別)」と一致。
【ボイルオーバーの詳細メカニズム】
ボイルオーバーは高粘度・高引火点の油タンク火災で特に問題になります。
1. 油タンク火災が継続→表面付近の油温が100℃を超える高温層(ヒートウェーブ)が形成される
2. ヒートウェーブが徐々にタンク底部へ降下する
3. タンク底部に水分(蓄積した水層・消火用水)がある
4. ヒートウェーブが水層に達すると急激に水蒸気化(体積約1,700倍に膨張)
5. 膨張した水蒸気が燃える油を爆発的に飛散・噴出(ボイルオーバー発生)
棒状注水は水をタンク内に送り込みボイルオーバーを誘発するため特に危険です。消火は泡消火剤(液面を覆う)を遠方から放射するフォームモニターが基本です。
【試験での位置づけ】
重油の出題核心は(1)第三石油類・非水溶性(2,000L)(第二石油類との混同)、(2)引火点60℃以上(種別で幅あり・常温では直接引火しない)、(3)ボイルオーバー(棒状注水→急激な水蒸気化→燃える油の飛散)、(4)非水溶性→通常泡でよいです。引っかけは第二石油類とする(ア)、常温で引火するとする(ウ)、水溶性とする(エ)、引火点が全種同一とする(オ)です。「重油は引火点が高く常温では比較的安全だが、加熱状態での棒状注水はボイルオーバーで最も危険」と整理します。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 第三石油類・非水溶性(引火点60℃以上は70〜200℃の第三石油類区分に該当)。第二石油類は21〜70℃で誤り(重油の引火点は60℃以上で主に70℃超)。
- イ(正): ボイルオーバー:タンク内の高温重油に水が入り急激な水蒸気化→燃える油が飛散。棒状注水は特に危険。
- ウ(誤): 引火点60℃以上(常温20℃より高い)。常温では直接引火なし。
- エ(誤): 非水溶性→通常泡でよい(耐アルコール泡は水溶性液体用)。
- オ(誤): 種別(1種60〜90℃・2種90〜120℃・3種120〜150℃)で引火点は異なる。
【根拠】確立した教科書値・設計書§1-2・§2-3(S5)。
【補足】重油:第三石油類・非水溶性2,000L・引火点60℃以上(1種60〜90・2種90〜120・3種120〜150℃)・ボイルオーバー(棒状注水→水蒸気化→燃える油の飛散)・通常泡でよい。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 重油=第三石油類・非水溶性・引火点60℃以上(1種60〜90/2種90〜120/3種120〜150℃と種別で幅)は設計書§1-2および標準教科書値と整合。ボイルオーバー(高温油層に水が入り急激水蒸気化→燃える油の飛散)の記述も妥当。正答イ一意(ア=第二石油類は誤/ウ=常温引火は誤/エ=水溶性は誤/オ=種別で引火点同一は誤、いずれも誤でイのみ正)。物性是正なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した教科書値・設計書§1-2・§2-3(S5)。重油は**第三石油類・非水溶性**(指定数量2,000L)。引火点は1種60〜90℃・2種90〜120℃・3種120〜150℃(**いずれも60℃以上**)と種別で幅あり(「すべて60℃一定」は誤り)。**ボイルオーバー**: 加熱された重油タンクに水が入ると急激に水蒸気が発生し燃える油を飛散させる現象。**非水溶性**→通常泡でよい。棒状注水はボイルオーバー誘発の危険があり特に不適。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。