危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問82:個別品名(第三石油類・非水溶性)
アニリンの性状に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アアニリンは第二石油類の水溶性液体に分類され、指定数量は2,000Lである。
- イアニリンの液比重は約1.02で水よりわずかに重く、第三石油類・非水溶性に分類される。正答
- ウアニリンは無臭・無毒の安全な液体であり、皮膚に付着しても問題ない。
- エアニリンは完全水溶性で、消火には耐アルコール泡が必要である。
- オアニリンの引火点は約70℃以下(常温に近い)であり、特殊引火物に分類される。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠も明記。
正しいのはイです。アニリンは液比重が約1.02で水よりわずかに重く、第三石油類・非水溶性(2,000L)に分類されます。
- ア(誤): 第三石油類・非水溶性・2,000L(第二石油類・水溶性ではない)。
- イ(正): 液比重約1.02(水より重い)・第三石油類・非水溶性。正しい。
- ウ(誤): 毒性あり(皮膚・粘膜から吸収されてメトヘモグロビン血症等)。
- エ(誤): 非水溶性(完全水溶性ではない)。通常の泡消火剤が使える。
- オ(誤): 引火点約70〜76℃で特殊引火物の定義を満たさない(第三石油類)。
「アニリン=第三石油類・非水溶性・2,000L・液比重>1・毒性あり」を押さえます。
アニリン(C₆H₅NH₂)の性状:
アニリンはベンゼン環にアミノ基(-NH₂)を持つ芳香族アミン化合物です。
- ア(誤): アニリンは第三石油類・非水溶性(2,000L)。引火点約70〜76℃は70〜200℃→第三石油類。「第二石油類・水溶性・2,000L」は第三石油類・非水溶性の指定数量と同じ2,000Lですが、品名区分が誤り。
- イ(正): 液比重約1.02(水よりわずかに重い)・第三石油類・非水溶性(2,000L)。第4類の非水溶性液体として液比重>1は珍しい例外(二硫化炭素・酢酸・グリセリン等と並ぶ)。引火点約70〜76℃(第三石油類下限付近)。正しい。
- ウ(誤): アニリンは毒性が強い(特に皮膚・粘膜からの吸収が危険)。吸収されると血中ヘモグロビンをメトヘモグロビンに変えてチアノーゼ・呼吸困難を引き起こす(メトヘモグロビン血症)。また発がん性(膀胱がん)のリスクがある。「無臭・無毒・安全」は全て誤り(特有の不快な臭いもある)。
- エ(誤): アニリンは非水溶性(水にわずかに溶けるが非水溶性扱い)。消火には通常の泡消火剤が使える(耐アルコール泡は不要)。
- オ(誤): 引火点約70〜76℃で、特殊引火物の定義(発火点100℃以下、または引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下)を満たさない。第三石油類(引火点70〜200℃)に分類。
【理論的背景】
アニリン(アミノベンゼン・フェニルアミン・C₆H₅NH₂・分子量93)は芳香族アミンで、染料・医薬品・農薬・ゴム薬品等の合成に使われます。引火点が約70〜76℃と第三石油類の引火点下限(70℃)付近にあり、「境界値付近の品名区分」として出題されることがあります。また「毒性が強い・液比重>1・非水溶性」という組み合わせが試験のポイントです。
【アニリンの詳細性状】
- 区分: 第三石油類・非水溶性(指定数量2,000L)
- 引火点: 約70〜76℃(第三石油類の下限付近)
- 発火点: 約538℃
- 液比重: 約1.02(水よりわずかに重い)
- 蒸気比重: 93÷29≒3.2(空気より重い)
- 燃焼範囲: 約1.3〜11 vol%
- 水溶性: 非水溶性(水にわずかに溶けるが非水溶性分類)
- 外観: 無色〜淡黄色(空気中で茶褐色に変色)・特有の不快な臭い
【毒性の具体的機序】
アニリンの最大の危険性は皮膚・粘膜・肺からの吸収によるメトヘモグロビン血症です。
1. アニリンが体内に吸収されると、血中のヘモグロビン(酸素運搬)をメトヘモグロビン(酸素運搬不能)に変える。
2. 酸素運搬能が低下→チアノーゼ(皮膚・粘膜の青紫色)・頭痛・めまい・呼吸困難。
3. 高濃度暴露では意識障害・死亡のリスク。
4. 長期暴露では膀胱がんのリスク(IARC Group 1)。
アニリンは皮膚からも吸収されるため、液体が皮膚に付着するだけで危険です。「無毒・安全」という認識は事故につながります。
【液比重>1の第三石油類という特異性】
第4類危険物で液比重>1(水より重い)のものは少数ですが、アニリンの液比重約1.02は水とほぼ同程度でわずかに重いです。同じく液比重>1の第三石油類としてはニトロベンゼン(液比重1.2前後)があります。非水溶性で液比重>1の場合、水をかけると液が水の下に沈む可能性があり、通常の泡消火剤で液面を覆うことに注意が必要です(実際には引火点が高いため棒状注水の危険は相対的に低いですが、原則として棒状注水は不適)。
【試験での位置づけ】
アニリンの出題核心は(1)第三石油類・非水溶性(2,000L)(第二石油類・水溶性との混同)、(2)引火点約70〜76℃(第三石油類の下限付近)、(3)液比重約1.02(水より重い)(第4類の非水溶性で珍しい例外)、(4)毒性あり(メトヘモグロビン血症・発がん性)です。引っかけは第二石油類・水溶性とする(ア)、無毒・安全とする(ウ)、耐アルコール泡が必要とする(エ)です。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 第三石油類・非水溶性・2,000L(第二石油類・水溶性ではない。引火点70〜76℃→第三石油類)。
- イ(正): 液比重約1.02(水より重い)・第三石油類・非水溶性(2,000L)。確定値。
- ウ(誤): 毒性強(メトヘモグロビン血症・発がん性)。皮膚吸収・吸入ともに危険。
- エ(誤): 非水溶性→通常泡でよい(耐アルコール泡は水溶性液体用)。
- オ(誤): 引火点約70〜76℃→第三石油類(特殊引火物の定義を満たさない)。
【根拠】確立した教科書値・設計書§1-1・§2-3(S2)。
【補足】アニリン:第三石油類・非水溶性2,000L・引火点約70〜76℃・液比重約1.02(水より重い)・蒸気比重約3.2・毒性(メトヘモグロビン血症・発がん性)・通常泡でよい。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 一次/準一次ソース突合済。アニリン=第三石油類・非水溶性(kikenbutu-web/nekonikoban確認)。引火点約70〜76℃(第三石油類下限70℃に整合)・液比重約1.02(非水溶性で>1の例外)・蒸気比重93/29≒3.2・指定数量2,000L 一致。メトヘモグロビン血症・発がん性の毒性も妥当(職場のあんぜんサイト/有害性評価書)。正答イ一意(ア=第二石油類水溶性は誤/ウ=無毒は誤/エ=完全水溶性は誤/オ=特殊引火物は誤、いずれも誤)。物性是正なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した教科書値・設計書§1-1・§2-3(S2)。アニリン(C₆H₅NH₂・アミノベンゼン・分子量93)は**第三石油類・非水溶性**(指定数量2,000L)。引火点**約70〜76℃**(70℃以上200℃未満→第三石油類)。液比重**約1.02**(水よりわずかに重い)。蒸気比重93÷29≒3.2。**非水溶性(水に少し溶けるが非水溶性扱い)**。**毒性あり**(皮膚・粘膜吸収でメトヘモグロビン血症・発がん性)。特有の不快な臭い。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。