危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問89:火災予防(S9・静電気対策)
第4類危険物の取扱いにおける静電気対策に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア石油類を金属管でポンプ移送する際、流速を上げるほど静電気の発生量が減少するため、高流速での移送が推奨される。
- イタンクローリーからタンクに石油類を移送する際は、タンクローリーとタンクをボンディング(接続)してから移送を開始することで、静電気放電を防ぐことができる。正答
- ウ湿度が低い(乾燥した)環境は、空気中の水分が静電気の逃げ道になるため、帯電しにくくなる。
- エ石油類は電気の良導体であるため、移動・ろ過・注入作業中に発生した静電気はただちに逃げる。
- オ接地(アース)を施しても、石油類の帯電を完全には防げないため、静電気対策として意味がない。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠も明記。
正しいのはイです。ボンディング(タンクローリーとタンクを導線で接続)は電位差をなくして静電気放電を防ぐ有効な対策です。
- ア(誤): 高流速は静電気の発生が増える(流速制限が正しい対策)。
- イ(正): ボンディングで電位差を均一化→放電防止。正しい。
- ウ(誤): 低湿度(乾燥)は帯電しやすい(高湿度が帯電しにくい)。逆。
- エ(誤): 石油類は電気不良導体(良導体ではない)→静電気が蓄積する。
- オ(誤): 接地(アース)は静電気対策として有効。
「静電気対策=接地・ボンディング・流速制限・加湿」が四本柱。
第4類危険物の静電気対策(具体手段の正誤):
- ア(誤): 流速を上げると液体と管壁の接触・分離が増えて静電気の発生量が増大する。静電気対策の一つは流速を制限(低流速での移送)すること。「高流速が推奨される」は誤り。
- イ(正): ボンディング(接地接続): タンクローリー(移送元)とタンク(移送先)を導線で相互接続することで、両者の電位差を均一化します。電位差がゼロになれば放電火花が発生しません。ボンディング+接地(大地への電荷逃がし)が一般的なセット対策。正しい。
- ウ(誤): 湿度が高いほど帯電しにくい(空気中の水分が物体表面に薄い水膜を形成し電荷が逃げやすくなる)。低湿度(乾燥)の環境は電荷が逃げにくく帯電しやすい。「低湿度=安全」は誤り。
- エ(誤): 石油類(ガソリン・灯油・軽油等の炭化水素系液体)は電気不良導体(絶縁体)。電気をほとんど流さないため発生した静電気が液体内に蓄積して逃げない。「電気の良導体でただちに逃げる」は誤り。
- オ(誤): 接地(アース)は静電気対策として有効。タンク・配管・容器・車体等を導線で大地に接続することで蓄積電荷を大地に逃がすことができる。「意味がない」は誤り。
引っかけパターント: 流速上げで帯電低下とする(ア)、低湿度=安全とする(ウ)、良導体とする(エ)、接地無効とする(オ)。
【理論的背景】
静電気対策は「帯電させない(発生防止)」と「帯電電荷を逃がす(蓄積防止)」の二本柱で考えます。第4類危険物(特に石油類)は電気不良導体なので発生した電荷が逃げず蓄積しやすいため、後者(蓄積防止)が特に重要です。
【静電気の発生メカニズムと対策の対応関係】
| 対策の種類 | 具体手段 | 目的 |
|---|---|---|
| 帯電源の除去 | 流速制限(低流速移送) | 液-管界面の接触・分離を減らす |
| 電荷の逃がし(接地) | 接地(アース)・ボンディング | 蓄積電荷を大地に逃がす・電位差均一化 |
| 空気の導電性向上 | 加湿(湿度管理) | 表面の水膜で電荷が逃げやすくなる |
| 帯電防止剤 | 液体への添加 | 液体の導電性を高めて電荷を逃がす |
| 人体の帯電防止 | 帯電防止服・靴 | 人体の帯電を防ぎ放電火花を防ぐ |
【ボンディングと接地の違い】
- 接地(アース): タンク・配管・車体等を導線で大地(アース棒)に接続し、蓄積電荷を大地に逃がす。電位をゼロ(アース電位)に固定する。
- ボンディング: 移送元(タンクローリー)と移送先(タンク)を導線で相互接続し、両者の電位差をゼロにする。電位差がゼロ=放電火花が発生しない。
- 実際の移送手順: ①ボンディング接続→②移送開始→③移送終了→④ボンディング解除、の順。
【流速と静電気の関係(詳細)】
液体と管壁の接触・分離の回数は単位時間あたりの流体の量(流速×断面積)に比例します。流速を上げると:
1. 単位時間あたりに液が管壁と接触・分離する回数が増える
2. 帯電する電荷量が増大する(帯電率は流速の約2乗に比例するという実験結果がある)
このため、危険物施設の技術基準では配管内の流速の上限を設ける場合があります(例:ポンプの吐出配管で1m/s以下等)。流速制限は帯電を減らすための実務的な対策です。
【試験での位置づけ】
静電気対策は性質科目・物理化学科目共通で頻出(頻出度A)です。核心は(1)流速上げ→帯電増大(流速制限が正しい対策)、(2)ボンディング・接地は有効な対策、(3)低湿度(乾燥)は帯電しやすい(高湿度が帯電しにくい)、(4)石油類は電気不良導体(良導体ではない)です。引っかけは流速上げで帯電低下(ア)、低湿度=安全(ウ)、良導体(エ)、接地無効(オ)です。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 高流速→帯電増大(流速制限が正しい対策)。
- イ(正): ボンディング=電位差均一化→放電防止。有効な静電気対策。
- ウ(誤): 低湿度(乾燥)→帯電しやすい。高湿度が帯電しにくい(逆)。
- エ(誤): 電気不良導体(良導体ではない)→静電気が逃げず蓄積する。
- オ(誤): 接地(アース)は蓄積電荷を大地に逃がす有効な手段。意味がないは誤り。
【根拠】確立した物理学・設計書§1-3。
【補足】静電気対策:接地(アース)・ボンディング(有効)・流速制限(高流速は帯電増大)・加湿(高湿度は帯電しにくい)。石油類=電気不良導体→静電気蓄積しやすい。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 静電気対策(接地・ボンディング有効/流速制限/加湿で帯電しにくい)は確立事実。石油類=電気不良導体で蓄積しやすい点も正しい。正答イ一意(ア=高流速で減少は誤/ウ=低湿度で帯電しにくいは誤/エ=良導体は誤/オ=接地無意味は誤、いずれも誤でイ=ボンディングが有効のみ正)。物性是正なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学・設計書§1-3。第4類は電気**不良導体**→静電気蓄積しやすい。流速を上げると帯電増大(高流速は不適)。**ボンディング**(タンク間の導線接続)は電位差を均一化して放電火花を防ぐ有効な手段。湿度が**高い**ほど帯電しにくい(低湿度=帯電しやすい)。石油類は不良導体(良導体ではない)。接地(アース)・ボンディングは静電気対策として**有効**。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。