登録販売者 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 問26:医薬品に共通する特性と基本的な知識(薬害再発防止・PMDA・市販後調査)
薬害の再発防止制度および市販後の安全対策に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、医薬品の副作用による健康被害の救済業務のみを行う機関であり、市販後の安全対策や審査業務は厚生労働省が直接担っている。
- イ製造販売業者は、医薬品を市場に流通させた後も、副作用情報の収集・評価・行政への報告を行う義務(GVP: Good Vigilance Practice)を負っている。正答
- ウ市販後に重篤な副作用が判明した場合、製造販売業者が自主的に措置を講じることはなく、必ず行政庁の命令を受けてから添付文書の改訂や回収が行われる。
- エ薬害被害者の救済は民事訴訟のみによって行われ、医薬品副作用被害救済制度による給付を受けることはできない。
- オ医薬品の製造販売後調査(GPSP)は、製造販売業者が承認取得後の医薬品の品質について、製造工程の観点からのみ調査を行う制度である。
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正答はイです。
製造販売業者は医薬品を市場に出した後も、副作用情報を収集・評価し、必要に応じて行政に報告する義務を負っています。この仕組みは「GVP(Good Vigilance Practice: 製造販売後安全管理基準)」と呼ばれ、製造販売後の安全管理の根幹をなします。
他の選択肢の誤りを簡単に整理します。PMDAは審査・安全対策・被害救済の三業務を担っています(ア誤)。市販後に問題が判明した場合、行政命令を待たずに製造販売業者が自主回収・添付文書改訂を行う場合もあります(ウ誤)。医薬品副作用被害救済制度はPMDAが窓口となり、訴訟を経ずに給付を受けられる制度です(エ誤)。GPSPは品質だけでなく有効性・安全性の調査を行います(オ誤)。
市販後安全対策の主要制度の比較:
| 制度 | 英語略称 | 担当主体 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 製造販売後安全管理基準 | GVP | 製造販売業者 | 副作用収集・評価・報告義務 |
| 製造販売後調査等の基準 | GPSP | 製造販売業者 | 市販後の有効性・安全性調査 |
| 医薬品副作用被害救済制度 | — | PMDA | 副作用被害者への給付 |
| イエローレター・ブルーレター | — | 厚生労働省/PMDA | 緊急安全性情報の配布 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): PMDAは「審査」「安全対策」「健康被害救済」の三業務を担います。審査業務(医薬品の承認審査)も行っており、「救済業務のみ」は誤りです。
- イ(正): GVP(製造販売後安全管理基準)に基づき、製造販売業者には市販後の副作用情報収集・評価・行政報告の義務があります。医療機関・患者からの副作用報告を収集し、因果関係を評価し、規定の期限内に厚生労働大臣(実務はPMDA)へ報告します。
- ウ(誤): 製造販売業者は行政命令を待たずに、自発的に添付文書の改訂・回収・使用上の注意喚起等の安全対策措置を講じることができます(自主回収・自主改訂)。むしろ迅速な自主対応が求められます。
- エ(誤): 医薬品副作用被害救済制度(PMDAが窓口)は、訴訟を経ずに医療費・医療手当・障害年金・遺族年金等の給付を受けられる行政的な救済制度です。民事訴訟と並行または代替として利用できます。
- オ(誤): GPSP(製造販売後調査等の基準)は医薬品の市販後における「有効性・安全性(副作用を含む)」の調査を対象とする制度です。製造工程の品質管理はGQP(製造販売後品質管理基準)が担当します。
【薬害再発防止制度の歴史的変遷と現代の安全対策体系】
薬害が安全対策制度を変えた歴史:
日本で発生した主な薬害と、それを契機とした制度整備の対応関係:
| 薬害 | 発生時期 | 主な被害 | 制度への反映 |
|---|---|---|---|
| サリドマイド | 1950〜60年代 | 先天性四肢奇形 | 副作用の情報収集・国際共有体制の整備 |
| スモン(キノホルム) | 1960〜70年代 | 末梢神経障害・視力障害 | 1979年薬事法改正・市販後調査義務化の出発点 |
| HIV感染(血液製剤) | 1980〜90年代 | 血液製剤によるHIV感染 | PMDAの前身・救済制度の拡充 |
| CJD感染(脳硬膜) | 1980〜90年代 | 非加熱硬膜移植によるCJD感染 | 生物由来製品規制の強化 |
| C型肝炎(フィブリノゲン) | 1980〜90年代 | 血液製剤によるC型肝炎感染 | 2008年特別措置法・情報開示制度の強化 |
これらの薬害の多くに共通する問題は「副作用情報が医療機関・製造業者・行政の間で共有されず、被害が拡大した」という点です。GVP・GPSPはこの教訓から生まれた制度です。
PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の三業務:
PMDAは2004年に設立(前身は医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構〔旧財団〕と国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センターを統合)。
1. 審査業務: 医薬品・医療機器・再生医療等製品の承認審査。厚生労働大臣の審査権限の一部を受託
2. 安全対策業務: 市販後の副作用・不具合情報の収集・評価・提供。厚生労働省と連携し措置を実施
3. 健康被害救済業務: 医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の運営
副作用報告制度の体系(現在):
医薬品の副作用に関する報告は複数の主体から成り立ちます:
| 報告主体 | 根拠 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 製造販売業者 | 薬機法第68条の10第1項 | 重篤副作用・感染症症例の定期・随時報告(GVP) |
| 医師・歯科医師・薬剤師等 | 薬機法第68条の10第2項 | 副作用を疑った場合の自発報告(任意・努力義務) |
| 登録販売者 | 同上 | 同様に副作用疑い症例を報告する努力義務 |
製造販売業者の報告期限は重篤度・既知/未知・因果関係により区分され、最も緊急性が高いもの(死亡・未知の重篤症例等)は15日以内、その他は30日以内等と定められています(薬機法施行規則)。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 副作用報告期限は15日報告/30日報告の区分が薬機法施行規則で規定。本問の正答イ(GVPに基づく製造販売業者の副作用収集・評価・報告義務)は一意で適切。ア(PMDAは審査・安全対策・救済の三業務)・ウ(自主回収あり)・エ(救済制度で訴訟不要の給付可)・オ(GPSPは有効性・安全性調査)の誤りも正確。ch5系の問と日数を整合させること -->
GVPとGPSPの違いの整理:
| 観点 | GVP | GPSP |
|---|---|---|
| 対象 | 安全管理(副作用収集・評価・報告) | 製造販売後調査(有効性・安全性の再確認) |
| 主な業務 | 副作用情報の収集・評価・報告・措置 | 使用成績調査・特別調査・市販後臨床試験 |
| タイミング | 承認後・市販中ずっと継続 | 承認条件として再審査期間(4〜10年)内に実施 |
| 義務の根拠 | 省令(GVP省令) | 省令(GPSP省令) |
自主回収(リコール)の実際の流れ:
1. 製造販売業者または医療機関から副作用情報・品質情報が集積
2. 製造販売業者が自主的にリスク評価・対策を検討
3. 行政(厚生労働省・PMDA)へ事前連絡・協議
4. 自主回収(クラスI〜III)を実施 → PMDAウェブサイトで公表
5. 必要に応じてイエローレター(緊急安全性情報)・ブルーレター(安全性速報)を配布
6. 添付文書の改訂申請
「行政命令を待ってから対応」ではなく、製造販売業者が主体的・自発的に対応することが現在の制度の前提であり、これが選択肢ウの誤りの本質です。登録販売者もPMDAのウェブサイト(医薬品安全性情報・回収情報等)を定期的に確認し、取り扱う製品の最新安全情報を把握することが求められます。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第1章 第5節「医薬品の安全対策」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。