第2章 人体の働きと医薬品17人体の構造と働き(運動器・筋組織)

登録販売者 第2章 人体の働きと医薬品 問17:人体の構造と働き(運動器・筋組織)

骨・関節・筋組織の構造と機能に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 骨格筋は横紋筋であり、意識的に収縮・弛緩をコントロールできる随意筋であるが、腱によって皮膚と連結して皮膚を動かす機能を持つ。
  • 平滑筋は横紋を持つ随意筋であり、意識的に収縮・弛緩をコントロールでき、腸・胃・血管等の運動を自分の意思で自由に調節できる。
  • 心筋は横紋筋の一種であるが、不随意筋であり、自律神経とホルモンによって調節されるが、自動能(自律的な拍動リズム)を持たないため、外部からの電気刺激がないと収縮できない。
  • 関節軟骨はコラーゲン線維・プロテオグリカン・水分からなる弾性のある組織で、関節面に存在して荷重分散・衝撃吸収を行い、血管・神経がないため自己修復能力が低い。正答
  • 骨芽細胞と破骨細胞は骨リモデリング(骨代謝回転)を担うが、骨芽細胞は骨を吸収(溶解)し、破骨細胞は新しい骨を形成する役割を持つ。
正答:関節軟骨はコラーゲン線維・プロテオグリカン・水分からなる弾性のある組織で、関節面に存在して荷重分散・衝撃吸収を行い、血管・神経がないため自己修復能力が低い。

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正答はエです。

関節軟骨はコラーゲン(主にⅡ型)とプロテオグリカン(アグリカン等)と水分の複合体で、軟骨細胞が産生します。血管・神経が存在しないため、損傷を受けても自己修復が非常に困難です。この特性が変形性関節症の進行を不可逆的にする理由の一つです。

誤りを整理します。アの「腱によって皮膚と連結」は誤りで、骨格筋は腱によって「骨」と連結します。イの「平滑筋は横紋を持つ随意筋」は誤りで、平滑筋は横紋を持たない不随意筋(自律神経支配)です。ウの「自動能を持たない」は誤りで、心筋(洞房結節等の特殊心筋)は自動能(ペースメーカー機能)を持ちます。オは骨芽細胞と破骨細胞の役割が逆です(骨芽細胞=骨形成、破骨細胞=骨吸収)。

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各選択肢の詳細解説:

  • ア(誤): 骨格筋は腱(tendon)によって「骨」に付着します。「皮膚と連結」は誤りです(ただし表情筋の一部は皮膚にも付着しますが、一般的な骨格筋の説明として「骨」が正確)。骨格筋の収縮→腱を引っ張る→骨を動かす(関節運動)という機序です。
  • イ(誤): 平滑筋は横紋構造を持たない「不随意筋」(自律神経支配)です。「横紋を持つ随意筋で意思で自由に調節できる」は誤りです。消化管(蠕動運動・分節運動)・血管(血管抵抗・血圧調節)・気管支(気道径調節)・膀胱(排尿)・子宮(分娩時収縮)等に広く存在し、交感・副交感神経の双方によって不随意に調節されます。
  • ウ(誤): 心筋は横紋筋(アクチン・ミオシンによる横紋構造あり)ですが、心臓の「特殊伝導系(洞房結節→房室結節→ヒス束→プルキンエ線維)」は自動能(autonomicity)を持ち、外部刺激なしに自発的に電気信号を発します。「自動能を持たない」は誤りです。
  • エ(正): 関節軟骨の特徴: ①コラーゲン(主にⅡ型)の網目構造がプロテオグリカンを保持、②プロテオグリカンの強い陰性電荷が水分を吸引・保持→弾性・衝撃吸収、③無血管・無神経(関節面の痛みは関節包・滑膜由来)、④自己修復能力が低い。変形性関節症では軟骨の摩耗・変性が進行し不可逆的な関節変形につながります。
  • オ(誤): 骨リモデリングは骨芽細胞(osteoblast)による骨形成と破骨細胞(osteoclast)による骨吸収のバランスで成立します。「骨芽(作る)=形成」「破骨(壊す)=吸収」と覚えます。選択肢オは両者の役割が完全に逆になっています。

筋組織の3種類まとめ:

| 筋種 | 横紋の有無 | 随意/不随意 | 主な場所 | 自動能 |

|---|---|---|---|---|

| 骨格筋 | あり(横紋筋) | 随意(体性神経) | 四肢・体幹等 | なし |

| 平滑筋 | なし | 不随意(自律神経) | 内臓・血管壁 | 一部あり |

| 心筋 | あり(横紋筋) | 不随意(自律神経) | 心臓壁 | あり(特殊心筋) |

上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【骨格筋の収縮機序(滑走説)と疲労・攣縮の仕組み】

骨格筋の収縮メカニズム(Sliding Filament Theory: Huxley, 1954):

1. 運動神経→神経筋接合部(NMJ)でアセチルコリン(ACh)放出

2. ACh→筋細胞膜のニコチン性受容体→脱分極→活動電位

3. 活動電位→T管(横行小管)→筋小胞体のリアノジン受容体活性化

4. Ca²⁺放出(筋小胞体から細胞質へ)

5. Ca²⁺がトロポニンCに結合→トロポミオシンのコンフォメーション変化

6. アクチン上のミオシン結合部位が露出

7. ミオシン頭部がATPを加水分解→アクチンに結合→首振り(パワーストローク)→アクチンフィラメントの滑走

8. Ca²⁺が筋小胞体に回収→弛緩

骨格筋疲労の化学的機序:

  • 無酸素性解糖→乳酸蓄積(乳酸自体よりH⁺の蓄積がpH低下の原因)
  • pH低下→ミオシンATPアーゼ活性低下→Ca²⁺取り込み(SERCA)速度低下→弛緩遅延
  • ATP枯渇→リゴルモーティス(死後硬直)と同じ機序でミオシン-アクチン結合が永続

筋肉攣縮(こむら返り)の機序:

  • 過換気・脱水・Mg²⁺欠乏等→神経筋興奮性の過剰→不随意・持続的筋収縮
  • OTC薬として芍薬甘草湯(漢方)は筋肉攣縮に効果があるとされる(芍薬: 平滑筋・骨格筋弛緩)

【骨リモデリングとカルシウム代謝:骨粗鬆症の病態基盤】

骨リモデリングの調節因子:

| 因子 | 産生部位 | 骨芽細胞への作用 | 破骨細胞への作用 | 正味の影響 |

|---|---|---|---|---|

| 副甲状腺ホルモン(PTH) | 副甲状腺 | 間接的に破骨細胞活性化 | 活性化(OPG/RANKL系を介して) | 血中Ca上昇(骨吸収促進) |

| ビタミンD₃(活性型)| 腎臓(1α-水酸化) | 骨芽細胞を活性化 | 骨芽細胞経由で間接活性化 | 腸管Ca吸収促進・骨形成 |

| カルシトニン | 甲状腺C細胞 | − | 抑制 | 血中Ca低下(骨吸収抑制) |

| エストロゲン | 卵巣 | 骨芽細胞保護 | 抑制 | 閉経後欠乏→破骨細胞活性化→骨粗鬆症 |

RANKL/OPG/RANKシステム(現代的な骨代謝制御の鍵):

  • RANKL(骨芽細胞・T細胞等が産生)→破骨細胞前駆体のRANK受容体に結合→破骨細胞分化・活性化
  • OPG(オステオプロテゲリン・骨芽細胞産生)→RANKLのデコイ受容体として破骨細胞活性化を抑制
  • エストロゲン低下→RANKL増加・OPG低下→破骨細胞優位→閉経後骨粗鬆症

OTC薬・サプリとの関連:

  • カルシウム補給(乳酸カルシウム・炭酸カルシウム等): 骨量維持に必要だが、それだけでは不十分
  • ビタミンD補充: カルシウムの腸管吸収を促進(ビタミンD含有サプリ)
  • 骨粗鬆症の治療薬(ビスホスホネート等)は処方薬→登録販売者は「骨が痩せている・骨折した」という高齢者に受診勧奨

【関節軟骨の保護とグルコサミン・コンドロイチンの科学的評価】

関節軟骨の主要成分:

| 成分 | 機能 | 軟骨における割合 |

|---|---|---|

| コラーゲン(Ⅱ型) | 引張強度・骨格形成 | 乾燥重量の50〜60% |

| プロテオグリカン(アグリカン) | 水分保持・圧縮強度 | 乾燥重量の25〜35% |

| 水分 | 衝撃吸収・栄養輸送 | 湿重量の60〜80% |

グルコサミン・コンドロイチンへの科学的評価:

  • グルコサミン: プロテオグリカン合成の基質(前駆体)
  • コンドロイチン硫酸: プロテオグリカンの構成成分
  • 大規模臨床試験(GAIT試験・米国): 変形性膝関節症患者に対してグルコサミン・コンドロイチン単独・組み合わせの効果を検証→「全体的には統計的に有意な差なし」(一部の重症サブグループでは有意差あり)との結果
  • 結論: エビデンスは現時点では限定的だが、副作用が少ないため使用を禁じる理由もない

登録販売者として、「膝が痛い・グルコサミンを飲みたい」という顧客に対して:

1. 変形性関節症の程度・進行を医師に確認することを勧める

2. グルコサミン・コンドロイチン系サプリの現時点でのエビデンスを分かりやすく伝える

3. 軟骨保護・関節の炎症緩和に関する薬(NSAIDs含有OTC薬)と適切に使い分けるよう情報提供する

運動器(骨・関節・筋肉)の知識は、第3章「解熱鎮痛薬・外皮用薬(湿布・消炎薬)」「痔疾用薬」「漢方(芍薬甘草湯等)」の理解の基盤となります。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 【二重正答を修正】当初は正答エ(関節軟骨=無血管無神経・自己修復能低い)と選択肢イ(平滑筋=不随意筋)が両方とも正しく、「正しいものを1つ選ぶ」設問で二重正答だった。選択肢イを「平滑筋は横紋を持つ随意筋」と誤りに変更して誤肢化し、正答をエに一意化(解説beginner/standardも整合修正)。骨格筋=腱で骨に付着、心筋=自動能あり、骨芽細胞=形成/破骨細胞=吸収、の記述は手引き整合。グルコサミン等のエビデンス記述は手引き範囲外だが非断定で許容。段差性維持。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章 第6節「運動器官」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

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