登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第2章 人体の働きと医薬品 問16|鼻・耳の構造・蝸牛前庭耳管と平衡感覚

問題

登録販売者 | 第2章 人体の働きと医薬品 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

鼻および耳の構造・機能に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はオです。「アブミ骨が外耳道に直接接している」は誤りです。

耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)は中耳(鼓室)の中にあります。外耳道に面しているのは鼓膜であり、耳小骨は鼓膜の振動を内耳(卵円窓)に伝える中継器です。外耳道→鼓膜→ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨→卵円窓(前庭窓)→内耳液という順に振動が伝わります。

他の選択肢はすべて正しい記述です。アの嗅細胞・嗅神経・嗅球の経路、イの耳管による気圧調整、ウの蝸牛とコルチ器官による音変換、エの前庭の区分(加速度を感知する耳石器官と、回転や傾きを感知する半規管)はすべて手引きと整合します。

各選択肢の詳細解説:

  • ア(正): 嗅覚は化学感覚の一種です。嗅粘膜(上鼻道)の嗅細胞は双極ニューロンで、嗅毛(繊毛)に嗅覚受容体(OR: Olfactory Receptor)が存在します。嗅神経→嗅球(大脳辺縁系・扁桃体との近接)→嗅覚皮質。嗅覚が記憶・感情と密接に関連する(プルースト現象)のはこの解剖学的つながりが理由です。
  • イ(正): 手引きでは「鼓室は、耳管という管で鼻腔や咽頭と通じている」とされ、急な気圧変化で鼓膜の内外に気圧差が生じても、顎を動かす等の耳抜き動作で耳管を開けると気圧の均衡が戻ります。小さな子供では耳管が太く短くて走行が水平に近いため、鼻腔からウイルスや細菌が侵入し感染が起こりやすいとされます。
  • ウ(正): 手引きでは、蝸牛は渦巻き形をした器官で、内部はリンパ液で満たされ、耳小骨から伝わる振動がリンパ液を震わせ、その振動が聴細胞の小突起(感覚毛)を揺らして聴神経が刺激されるとされています。コルチ器官(螺旋器)はこの聴細胞(有毛細胞)が並ぶ部分の名称です。
  • エ(正): 手引きでは、内耳は聴覚器官である蝸牛と平衡器官である前庭の2つの部分からなり、「前庭は、水平・垂直方向の加速度を感知する部分(耳石器官)と、体の回転や傾きを感知する部分(半規管)に分けられる」とされています。内部はリンパ液で満たされ、リンパ液の動きが平衡感覚として感知されます。
  • オ(誤・正答): 耳小骨はすべて中耳(鼓室)の中にあります。正確な順序: 鼓膜→ツチ骨(鼓膜に付着)→キヌタ骨→アブミ骨(内耳の卵円窓に接続)。アブミ骨が外耳道に接することはありません。

聴覚経路のまとめ:

ステップ構造役割
1外耳(耳介・外耳道)音の集音・伝達
2鼓膜音波→機械的振動に変換
3耳小骨(ツチ→キヌタ→アブミ)振動の増幅・インピーダンス整合
4卵円窓(前庭窓)内耳液への振動伝達
5蝸牛(コルチ器官)機械的振動→電気信号に変換
6聴神経(第Ⅷ脳神経)電気信号を脳幹・聴覚皮質へ

【平衡感覚の詳細機序:耳石器と半規管の感覚トランスダクション】

平衡感覚は内耳の前庭が担い、前庭は耳石器官と半規管に分けられます(手引き):

耳石器官(水平・垂直方向の加速度を感知):

  • 球形嚢(sacculus): 垂直方向の直線加速度・重力感知
  • 卵形嚢(utriculus): 水平方向の直線加速度感知
  • 感覚機構: 有毛細胞上に耳石膜(otolith membrane)+ 耳石(CaCO₃結晶)
    • 重力・加速度→耳石が有毛細胞の毛(不動毛・動毛)を曲げる→K⁺チャネル開口→脱分極→神経伝達物質放出→前庭神経を興奮

半規管(体の回転や傾きを感知):

  • 3本の半規管(水平半規管・前半規管・後半規管)が互いに直交(三次元空間をカバー)
  • 膨大部(ampulla)の内部にクリスタ・アンプラリスとゼラチン状のクプラが存在
  • 頭部回転→内リンパ液の慣性による相対的な流れ→クプラが変形→有毛細胞の刺激

身体の平衡維持の三要素:

1. 内耳の前庭・半規管: 頭部の位置・動きの検知

2. 視覚: 目で空間的な垂直・水平を確認

3. 固有感覚(体性感覚): 筋肉・関節・皮膚の感覚受容器からの位置情報

この三要素が統合されて平衡が維持されます。一つが失われても他の二つで補いますが、二つ以上が失われると平衡失調(めまい・転倒)が生じます。

【乗物酔いと乗物酔い防止薬(手引き第3章)】

乗物酔い(動揺病)は、乗り物に乗っているとき反復される加速度刺激や動揺によって、平衡感覚が混乱して生じる身体の変調です。乗物酔い防止薬の主な成分:

  • 抗めまい成分(ジフェニドール塩酸塩): 内耳にある前庭と脳を結ぶ神経(前庭神経)の調節作用のほか、内耳への血流を改善する作用を示す
  • 抗ヒスタミン成分(ジメンヒドリナート・メクリジン塩酸塩等): 延髄にある嘔吐中枢への刺激や内耳の前庭における自律神経反射を抑える。メクリジン塩酸塩は他の抗ヒスタミン成分と比べて作用が現れるのが遅く持続時間が長い
  • 抗コリン成分(スコポラミン臭化水素酸塩水和物): 中枢に作用して自律神経系の混乱を軽減させるとともに、末梢では消化管の緊張を低下させる。脳内に移行しやすいとされるが、肝臓で速やかに代謝されるため作用の持続時間は短い
  • 抗めまい成分、抗ヒスタミン成分、抗コリン成分及び鎮静成分には、いずれも眠気を促す作用があり、乗物の運転操作をするときは使用を控える必要がある

【嗅覚と薬物吸収:鼻腔粘膜の特殊な解剖学的位置】

嗅神経が篩板を通じて直接大脳(嗅球)に達することの意義:

1. 鼻腔から脳に近い神経経路がある: 嗅粘膜→嗅神経→嗅球という経路は、鼻腔と頭蓋内が解剖学的に近いことを示し、鼻腔の感染症が頭蓋内に波及し得る背景の一つとなる

2. 嗅覚障害と神経変性: アルツハイマー病・パーキンソン病で嗅覚低下が早期症状として現れることがある(嗅球の変性が先行するとされる)

3. 感染症と嗅覚障害: かぜ・副鼻腔炎などの上気道感染では嗅粘膜の炎症により一過性の嗅覚低下が起こり得る

【耳管機能不全と中耳炎:登録販売者が知るべき臨床知識】

小児の中耳炎リスクが高い理由(手引き):

  • 小さな子供では、耳管が太く短くて、走行が水平に近い
  • そのため、鼻腔からウイルスや細菌が侵入し感染が起こりやすい

OTC薬での対応の限界:

  • 小児の発熱・耳痛・耳閉感は中耳炎の疑いが高く、OTC薬での症状緩和だけでなく受診が必要
  • 中耳炎の治療(抗菌薬等)は処方薬が必要
  • 登録販売者: 「耳が痛い・聞こえにくい」という小児患者の保護者には受診勧奨を積極的に行う

耳管機能障害(耳管閉塞・耳管開放症)とOTC点鼻薬:

  • 鼻詰まり(鼻粘膜腫脹)→耳管開口部を圧迫→中耳の気圧調節不良→耳閉感・飛行機耳
  • アドレナリン作動成分が配合された点鼻薬は、鼻粘膜の血管を収縮させて充血や腫れを和らげる
  • ただし過度に使用されると鼻粘膜の血管が反応しなくなり、逆に血管が拡張して二次充血を招き、鼻づまり(鼻閉)がひどくなりやすい(手引き第3章)

鼻・耳の解剖と機能の理解は、第3章の「鼻炎用薬(点鼻薬)・耳鼻科用薬・乗り物酔い防止薬」の薬理作用・注意事項の理解に直結します。

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章Ⅰ-2-2)「鼻」・3)「耳」・第3章Ⅰ-5「鎮暈薬(乗物酔い防止薬)」・第3章Ⅷ「鼻に用いる薬」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章Ⅰ-2-2)「鼻」・3)「耳」・第3章Ⅰ-5「鎮暈薬(乗物酔い防止薬)」・第3章Ⅷ「鼻に用いる薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。