第2章 人体の働きと医薬品40人体の働きと医薬品(膵臓・内分泌)

登録販売者 第2章 人体の働きと医薬品 問40:人体の働きと医薬品(膵臓・内分泌)

膵臓の機能に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 膵臓の外分泌機能として、膵液(アミラーゼ・リパーゼ・トリプシン等の消化酵素を含む)が膵管を通じて十二指腸に分泌される。
  • 膵臓の内分泌機能を担うランゲルハンス島には複数の細胞が存在し、β(ベータ)細胞がインスリンを、α(アルファ)細胞がグルカゴンを分泌する。
  • インスリンは血糖値(血中グルコース濃度)が上昇したときに膵臓から分泌され、細胞へのグルコース取り込みを促進して血糖値を下げる。
  • グルカゴンは血糖値が低下したときに分泌され、肝臓でのグリコーゲン分解・グルコース新生を促進して血糖値を上昇させる。したがって、インスリンとグルカゴンは血糖調節において同じ方向に作用する。正答
  • 1型糖尿病は膵臓のβ細胞が破壊されてインスリンが分泌されなくなる疾患であり、インスリン注射が不可欠である。
正答:グルカゴンは血糖値が低下したときに分泌され、肝臓でのグリコーゲン分解・グルコース新生を促進して血糖値を上昇させる。したがって、インスリンとグルカゴンは血糖調節において同じ方向に作用する。

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正答はエです。

インスリンは血糖値を「下げる」ホルモン、グルカゴンは血糖値を「上げる」ホルモンです。この2つは「拮抗(反対方向)」の作用を持っており、「同じ方向に作用する」というエは明らかな誤りです。

血糖値が上がる(食後)→インスリンが分泌→細胞がグルコースを取り込む→血糖値が下がる。血糖値が下がりすぎる(空腹時)→グルカゴンが分泌→肝臓でグリコーゲンをグルコースに分解→血糖値が上がる。この拮抗関係が血糖の恒常性(正常範囲での維持)を保っています。

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膵臓の外分泌と内分泌:

| 機能 | 器官 | 分泌物 | 行先 |

|---|---|---|---|

| 外分泌 | 腺房細胞(膵腺房) | 膵液(消化酵素): アミラーゼ(糖質)・リパーゼ(脂質)・トリプシノゲン(タンパク前駆体)等 | 膵管→十二指腸 |

| 内分泌 | ランゲルハンス島 | インスリン(β細胞)・グルカゴン(α細胞)・ソマトスタチン(δ細胞) | 血液 |

インスリン・グルカゴンの拮抗関係(エの誤りの根拠):

| ホルモン | 分泌刺激 | 主な作用 | 血糖への影響 |

|---|---|---|---|

| インスリン(β細胞) | 血糖値上昇・消化管ホルモン(GIP・GLP-1)等 | 細胞へのグルコース取り込み促進・グリコーゲン合成↑・糖新生抑制・脂肪合成↑ | 低下(↓) |

| グルカゴン(α細胞) | 血糖値低下・アミノ酸・交感神経刺激 | 肝グリコーゲン分解→グルコース放出・糖新生促進・脂肪分解↑ | 上昇(↑) |

膵消化酵素の活性化(重要):

トリプシンは膵臓内では前駆体(トリプシノゲン)として分泌され、十二指腸に入ってから腸管のエンテロキナーゼによって活性化されます(膵臓内での自己消化を防ぐ安全機構)。急性膵炎ではこの機構が破綻し、膵臓内でトリプシンが活性化されて自己消化が起こります。

各選択肢の解説:

  • ア(正): 膵液の消化酵素(アミラーゼ・リパーゼ・トリプシノゲン)と膵管→十二指腸への分泌は正しい。
  • イ(正): ランゲルハンス島の細胞分類(β→インスリン・α→グルカゴン)は正しい。
  • ウ(正): 食後血糖上昇→インスリン分泌→グルコース取り込み→血糖低下は正しい。
  • エ(誤・正答): インスリンとグルカゴンは「拮抗(逆方向)」作用を持つ。「同じ方向」は誤り。
  • オ(正): 1型糖尿病のβ細胞破壊(主に自己免疫)・インスリン注射の必要性は正しい。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【膵臓の複雑な機能:ホルモン調節・消化酵素分泌と糖尿病・膵疾患との関係】

ランゲルハンス島の詳細(全4種類の細胞):

| 細胞種 | 割合 | 産生ホルモン | 主な機能 |

|---|---|---|---|

| β(B)細胞 | 約70% | インスリン・C-ペプチド・アミリン | 血糖低下・グリコーゲン合成・脂肪合成 |

| α(A)細胞 | 約20% | グルカゴン | 血糖上昇・肝糖放出・脂肪分解 |

| δ(D)細胞 | 約5〜10% | ソマトスタチン | インスリン・グルカゴン両方の分泌抑制(傍分泌的調節) |

| PP細胞(F細胞) | 約1〜2% | 膵ポリペプチド(PP) | 膵外分泌・胆嚢収縮の調節 |

インスリンの分子生物学的作用メカニズム(深掘り):

インスリン(51アミノ酸のポリペプチド)は標的細胞(筋肉・脂肪・肝臓等)の膜上のインスリン受容体(チロシンキナーゼ型受容体)に結合:

1. 受容体の自己リン酸化→IRS(インスリン受容体基質)リン酸化

2. PI3K(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ)の活性化→Akt(PKB)活性化

3. GLUT4(グルコーストランスポーター4)の細胞膜への移行: 筋肉・脂肪細胞では通常GLUT4は細胞内小胞に貯蔵されており、インスリンシグナルによって細胞膜に移行してグルコースを取り込む。これが「インスリン依存性のグルコース取り込み」の分子機構。

グルカゴンの作用詳細:

グルカゴンは肝細胞のグルカゴン受容体(Gs共役GPCR)に結合→アデニル酸シクラーゼ活性化→cAMP上昇→プロテインキナーゼA(PKA)活性化:

1. ホスホリラーゼ活性化→グリコーゲン分解→グルコース放出(肝グリコーゲン分解)

2. ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)等の糖新生酵素の発現誘導→糖新生促進

3. 脂肪細胞でのトリグリセリド分解(脂肪分解)→遊離脂肪酸・グリセロール放出→肝臓でのエネルギー産生

低血糖時の危機的対応としてのグルカゴン:

インスリン過剰投与等による低血糖(血糖値<70 mg/dL)の際に、グルカゴン製剤(処方薬・緊急用)が使われることがあります。OTCには存在しませんが、糖尿病患者が低血糖発作を起こした際に登録販売者として「砂糖・ブドウ糖の経口投与(意識がある場合)→それでも回復しない場合は救急車」という対応を知っておくことは実務上重要です。

糖尿病の類型と膵臓病態:

| 型 | 膵臓病態 | 主な原因 | 治療 |

|---|---|---|---|

| 1型糖尿病 | β細胞の自己免疫的破壊(ほぼ完全消失) | HLA関連遺伝的素因+環境因子 | インスリン注射(必須) |

| 2型糖尿病 | β細胞機能の相対的低下+インスリン抵抗性 | 生活習慣(肥満・過食・運動不足)+遺伝的素因 | 生活習慣改善・経口血糖降下薬・インスリン(重症時) |

| 膵性糖尿病 | 慢性膵炎・膵癌等による膵組織破壊 | 飲酒・胆石・膵癌等 | インスリン(外分泌不全も伴う) |

OTC医薬品と血糖調節の注意点:

1. 風邪薬・鼻炎薬(エフェドリン・プソイドエフェドリン含有): アドレナリン様作用→グルカゴン分泌促進・インスリン分泌抑制→血糖上昇。糖尿病患者は「相談すること」成分として記載される場合がある。

2. OTCステロイド内服(存在しないが一般理解として): グルコルチコイドは肝臓での糖新生促進・インスリン抵抗性増大→血糖上昇(ステロイド糖尿病)。

3. 甘味のある液剤・シロップ: 含まれる糖分が血糖に影響することがあり、糖尿病患者では成分だけでなく剤形の確認も必要。

登録販売者として: 「糖尿病があるが風邪薬を買いたい」という購入者には、アドレナリン作動成分(エフェドリン・プソイドエフェドリン・メチルエフェドリン等)を含まない製品を選ぶ提案が有用です。「相談すること」記載がある場合はかかりつけ医への確認を勧めることが原則です。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 設問・正答エ(インスリンは血糖低下・グルカゴンは血糖上昇で「拮抗」作用。設問の「同じ方向に作用」は明確な誤り)は一意性・事実ともOK。膵臓の外分泌(膵液=アミラーゼ/リパーゼ/トリプシノゲン)・内分泌(β=インスリン/α=グルカゴン/δ=ソマトスタチン)、1型糖尿病のβ細胞破壊とインスリン必須、アドレナリン作動成分による血糖上昇(糖尿病で相談すること)等のYMYL記述も正確。修正不要。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章 第1節「消化器系・膵臓」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

膵臓の外分泌・内分泌と血糖調節(インスリン・グルカゴン・消化酵素頻出度B

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