問題
鼻腔・副鼻腔の構造および鼻炎の機序に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はアです。
点鼻薬に含まれる血管収縮成分(ナファゾリン・オキシメタゾリン等のアドレナリン作動成分)を長期にわたって使い続けると、薬が切れたあとに反動で鼻の血管が広がり(リバウンド充血)、かえって鼻づまりが悪化することがあります。これを薬剤性鼻炎ともいいます。手引きでも、アドレナリン作動成分が配合された点鼻薬は、過度に使用されると二次充血を招き、鼻づまりがひどくなりやすいとされています。
オは誤りで、副鼻腔はいずれも鼻腔と細い管でつながっており、鼻腔粘膜が腫れると副鼻腔の開口部がふさがりやすくなり、副鼻腔に炎症を生じることがあります。イは誤りで、副鼻腔に入った埃等の粒子は、粘液に捉えられて線毛の働きによって鼻腔内へ排出されます。ウは誤りで、においは鼻腔上部の粘膜にある嗅細胞で感知されます。エも誤りで、鼻づまりは血管「拡張」で起こります。
鼻腔・副鼻腔の構造:
| 副鼻腔 | 位置 | 鼻腔との開口部 |
|---|---|---|
| 上顎洞 | 頬(上顎骨内) | 中鼻道(中甲介下方) |
| 篩骨洞 | 眼球と鼻の間(篩骨内) | 中鼻道・上鼻道 |
| 前頭洞 | 額(前頭骨内) | 中鼻道 |
| 蝶形骨洞 | 頭部中央深部(蝶形骨内) | 上鼻道 |
副鼻腔は全て鼻腔に開口しており、オは誤りです(副鼻腔炎「蓄膿症」は副鼻腔が鼻腔に続くことで発症)。
副鼻腔の粘膜と線毛の働き(イの誤りの根拠):
手引きは「副鼻腔も、鼻腔と同様、線毛を有する細胞と粘液を分泌する細胞でできた粘膜で覆われている。副鼻腔に入った埃等の粒子は、粘液に捉えられて線毛の働きによって鼻腔内へ排出される」としています。粒子は副鼻腔の奥へ送られて蓄積されるのではなく、鼻腔内へ排出されるため、イは誤りです。ただし鼻腔と連絡する管は非常に狭いため、鼻腔粘膜が腫れると副鼻腔の開口部がふさがりやすくなり、副鼻腔に炎症を生じることがあります。
鼻づまりのメカニズム(エの誤りの根拠):
アレルギー性鼻炎では:
- アレルゲン→IgE→マスト細胞脱顆粒→ヒスタミン・ロイコトリエン放出
- 血管拡張・血管透過性亢進→粘膜の浮腫・腫脹→鼻腔が狭くなる→鼻閉
- 鼻水(水様性鼻汁)・くしゃみも同時に生じる
「血管収縮→鼻閉」は誤りです(正しくは拡張)。
リバウンド充血(アが正しい理由):
点鼻血管収縮薬を連用すると:
1. α₁受容体の過剰刺激が続く
2. 受容体のダウンレギュレーション(感受性低下)
3. 薬効が切れると反動で血管が拡張(リバウンド)→鼻づまり悪化
4. 悪化→さらに薬を使う→悪化の連鎖(薬剤性鼻炎の成立)
各選択肢の解説:
- オ(誤): 副鼻腔は鼻腔と開口してつながっており、炎症が波及して副鼻腔炎になる。
- イ(誤): 副鼻腔に入った埃等の粒子は、粘液に捉えられて線毛の働きによって鼻腔内へ排出される。
- ウ(誤): においは鼻腔上部の粘膜にある特殊な神経細胞(嗅細胞)で感知される。全域ではない。
- エ(誤): 鼻閉は血管「拡張・浮腫」で起こる。収縮ではない。
- ア(正): 血管収縮薬の長期連用によるリバウンド充血は正しい。
【鼻腔・副鼻腔の詳細生理学とアレルギー性鼻炎・点鼻薬の薬理学的理解】
鼻腔の防御機構の多層性:
鼻腔は単なる「空気の通り道」ではなく、外気中の異物・病原体から下気道を守る精密なフィルタリングシステムです。
1. 鼻毛(鼻腔前部): 大きな異物・粉塵を機械的に捕捉。
2. 粘液(鼻汁): IgA・リゾチーム・ラクトフェリン含有の抗菌液で異物・微生物を捕捉・不活化。
3. 線毛(繊毛)上皮: 粘液ごと異物を咽頭へ移送→飲み込んで胃酸で除菌。副鼻腔も線毛を有する細胞と粘液を分泌する細胞でできた粘膜で覆われ、入った埃等の粒子は線毛の働きによって鼻腔内へ排出される(イの誤りはこの点)。
4. 嗅上皮(嗅粘膜): 鼻腔上部(上鼻甲介付近)に局在。嗅細胞(双極性ニューロン)の嗅覚受容体がにおい分子を感知→嗅神経→嗅球→大脳辺縁系(扁桃体・海馬)へ投射(嗅覚記憶・感情との強い連携の理由)。
5. 鼻咽腔リンパ組織(アデノイド): 細菌・ウイルスに対するリンパ組織免疫応答。
アレルギー性鼻炎の2相反応(即時相・遅延相):
1. 即時相(early-phase reaction: 0〜1時間):
- アレルゲン→IgE架橋→マスト細胞脱顆粒→ヒスタミン・トリプターゼ・PGD₂放出
- くしゃみ(反射)・水様性鼻汁(腺分泌亢進)・鼻閉(血管拡張・浮腫)が即座に発現
2. 遅延相(late-phase reaction: 4〜12時間後):
- IL-4・IL-5・IL-13(Th2サイトカイン)→好酸球・好塩基球・T細胞の鼻粘膜への浸潤
- 粘膜の慢性炎症・過敏性亢進→鼻閉の持続・再暴露で容易に反応(プライミング効果)
アレルギー性鼻炎が慢性化・難治化するのは遅延相の慢性炎症が主因です。
鼻炎薬の成分と作用機序:
| 成分分類 | 代表成分 | 主な作用 |
|---|---|---|
| 抗ヒスタミン薬(内服) | クロルフェニラミン・フェキソフェナジン | H1受容体遮断→くしゃみ・鼻水に有効(鼻閉への効果は限定的) |
| 鼻腔血管収縮薬(点鼻) | ナファゾリン・オキシメタゾリン・フェニレフリン | α₁受容体刺激→鼻粘膜血管収縮→腫脹軽減→鼻閉に速効(短期使用厳守) |
| 抗コリン薬(内服・点鼻) | イプラトロピウム(処方)等 | 鼻腺のムスカリン受容体遮断→鼻汁分泌減少 |
| ステロイド(点鼻・処方が主体) | フルチカゾン等 | 局所抗炎症→慢性アレルギー鼻炎の第一選択(処方薬が主体) |
リバウンド充血の薬理学的詳細(アの根拠):
ナファゾリン・オキシメタゾリン等はα₁・α₂アドレナリン受容体に作用します。連用による受容体ダウンレギュレーションのメカニズム:
- 長期刺激→受容体が細胞内に取り込まれる(インターナリゼーション)→受容体数の減少(ダウンレギュレーション)
- 薬が効いている間: α受容体刺激→血管収縮→鼻閉改善
- 薬が切れると: 受容体が減っているため正常なアドレナリン(内因性)でも血管が収縮しきれない→反動性血管拡張(リバウンド充血)→鼻閉悪化
治療: 連用をやめて自然回復を待つ(1〜2週間かかる場合もあり)。重症は医療機関で局所ステロイド点鼻薬を使って離脱する。
副鼻腔炎の病態(蓄膿症)と登録販売者の対応:
急性上気道炎(風邪)→鼻腔粘膜の炎症→副鼻腔開口部が腫れて閉塞→副鼻腔内に液体が貯留→細菌の二次感染→急性副鼻腔炎。慢性化(慢性副鼻腔炎・蓄膿症)では鼻ポリープ形成・嗅覚障害が生じます。
OTC鼻炎薬(抗ヒスタミン薬・血管収縮薬含有)は症状緩和に有効ですが、「黄色〜緑色の鼻汁・顔面の痛み・発熱・嗅覚障害」が長く続く場合は副鼻腔炎も考えられるため、医療機関受診(抗菌薬治療が必要な場合あり)を勧めることが登録販売者の適切な対応です。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章Ⅰ-2-2)「鼻」・第3章Ⅷ「鼻に用いる薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

