第二種電工 電気機器・配線器具・配線 問75:電気機器・配線器具・配線
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
三相誘導電動機の始動において,全電圧 始動(じか入れ始動)と比較して,スター デルタ始動の特徴として,正しいものは。
- ア始動時間が短くなる。
- イ始動電流が小さくなる。正答
- ウ始動トルクが大きくなる。
- エ薄鋼電線管を切断する作業とプリカナイフ
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正答はイ「始動電流が小さくなる」です。
スターデルタ(Y-Δ)始動は、三相誘導電動機を始動するときに最初はスター(Y)接続で起動し、その後デルタ(Δ)接続に切り替える方式です。スター接続では各巻線にかかる電圧がデルタ接続の時の1/√3倍になるため、始動電流がじか入れの1/3に減少します。これが最大のメリットです。始動トルクも1/3に減少するため(選択肢ウが誤り)、大きな始動トルクが必要な負荷には使えません。選択肢アの「始動時間が短くなる」も誤りで、始動電流が抑制されるため始動はむしろゆっくりになります。エはOCR混入です。
正答はイ「始動電流が小さくなる」です。
各選択肢を詳しく分析します。
ア(誤):始動時間が短くなる
Y-Δ始動では電圧が1/√3倍に下がるためトルクも1/3に減少します。始動トルクが小さいと電動機が定格速度に達するまでの時間が長くなります(始動時間はむしろ長くなる傾向)。よって「始動時間が短くなる」は誤りです。
イ(正解):始動電流が小さくなる
Y(スター)接続での各巻線電圧 = V/√3(Vは線間電圧)となります。電流∝電圧なので、始動電流はY接続時:Δ接続時 = 1:3となり、じか入れと比較してY-Δ始動の始動電流は1/3に減少します。電源設備への衝撃(電圧降下)を大幅に抑えられるため、15〜37kW級の誘導電動機で広く採用されています。
ウ(誤):始動トルクが大きくなる
トルク∝電圧²(T∝V²)の関係から、電圧が1/√3倍になるとトルクは(1/√3)² = 1/3倍になります。「大きくなる」は完全に誤りです。
エ(OCR混入):「薄鋼電線管を切断する作業とプリカナイフ」は別問題からのOCR混入です。本問の正答はイです。
Y-Δ始動の整理
じか入れと比較して:始動電流 = 1/3 ↓、始動トルク = 1/3 ↓、始動時間 = 長め
正答はイ「始動電流が小さくなる」です。Y-Δ始動ではじか入れ比で始動電流・始動トルクともに1/3になります。
Y-Δ始動の電気的解析
三相誘導電動機の巻線をスター(Y)接続した場合、各巻線に印加される電圧(相電圧Vφ)は線間電圧VLを用いて:
Vφ(Y) = VL / √3
デルタ(Δ)接続の場合:
Vφ(Δ) = VL
よって Y時の相電圧 = Δ時の1/√3倍
始動電流は巻線のインピーダンスZに比例し、Is ∝ Vφ/Zなので:
Is(Y) = Is(Δ) / 3 = じか入れ始動電流の1/3
発生トルクは T ∝ Vφ²なので:
T(Y) = T(Δ) × (1/√3)² = T(Δ)/ 3 = じか入れトルクの1/3
Y-Δ始動の適用条件と制約
Y-Δ始動を採用するには巻線の6端子(U1・V1・W1・U2・V2・W2)が全てターミナルボックスに引き出されていることが必要です(デルタ接続に切り替えるため)。また始動完了後にYからΔへ切り替える際に一瞬電流が遮断されるため、慣性の大きい負荷では切り替え時に電動機が減速し、Δ接続時に大電流が再度流れる「切り替えサージ」が問題になる場合があります。
各始動方式の比較
| 始動方式 | 始動電流 | 始動トルク | 特徴 |
|---------|---------|----------|------|
| じか入れ | In×5〜7 | 最大 | 構造簡単・小容量 |
| Y-Δ始動 | 1/3 | 1/3 | 15kW以上・6端子必要 |
| リアクトル始動 | V比の二乗分 | V比の二乗分 | 連続調整可能 |
| 自動変圧器始動 | タップ比の二乗分 | タップ比の二乗分 | 精度高・コスト高 |
| インバータ始動 | ほぼIn以下 | 設定可能 | 省エネ・精密制御 |
第一種電気工事士・電験三種への展開
電験三種「機械」科目では三相誘導電動機の等価回路・すべり-トルク特性・各始動方式の定量計算が重点出題分野です。比例推移(回転子抵抗変化時のトルク特性変化)・最大トルク(停動トルク)の計算も求められます。また近年は大容量電動機のインバータ化が加速しており、Y-Δ始動の採用が減少しつつありますが、設備の改修・保守の場面では従来の始動回路の知識が必要です。インバータ特有の課題(高調波・EMI・軸電流腐食)への対策知識も実務では重要です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:令和4年度上期(午後) 第二種電気工事士 学科試験 問14(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。