問題
りん酸形燃料電池の発電原理図として,正しいものは。
キーボード:1〜4で選択
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
燃料電池は、水素と酸素を反応させて電気をつくる装置。水素(H₂)は負極(燃料極)に、酸素(O₂、空気)は正極(空気極)に送る。負極で水素が水素イオンと電子に分かれ、電子は外の回路を通って正極へ流れる(これが電流になる)。水素イオンはりん酸の電解液の中を正極へ移動し、正極で酸素・電子と結び付いて水(H₂O)になって出ていく。この流れのとおり「負極にH₂、正極にO₂、正極から水」となっているのはイ。正答はイ。
りん酸形燃料電池の反応と、ガス・生成物の出入りを原理図で判断する問題(正答イ)。
【各電極の反応】
・負極(燃料極):H₂ → 2H⁺ + 2e⁻(水素を供給。水素が水素イオンと電子に分かれる)
・正極(空気極):(1/2)O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ → H₂O(酸素を供給。水ができる)
・全体:H₂ + (1/2)O₂ → H₂O
電子は負極から外部回路を通って正極へ流れるので、電流は正極から負極へ流れ、正極が+、負極が-になる。電解液のりん酸水溶液の中を移動するのは水素イオン(H⁺)で、負極から正極へ向かう。そのため水は正極側でできて排出される。反応しきれなかったガスは未反応ガスとして排出される。
【各図の判定】
・ア:負極に O₂ が入り、正極に H₂O が入って H₂ が出ている。供給と排出がすべて逆で誤り。
・イ:負極に H₂、正極に O₂ が供給され、正極から H₂O が出る。反応式と一致し正しい。
・ウ:負極に O₂、正極に H₂ が供給されている。燃料(H₂)と酸素の極が入れ替わっていて誤り。
・エ:負極に H₂ は正しいが、正極に H₂O が入り O₂ が出ている。正極の出入りが逆で誤り。
「水素は負極(燃料極)、酸素は正極(空気極)、水は正極から出る」の3点を押さえれば判断できる。
【燃料電池の基本】燃料電池は、燃料(水素)と酸化剤(酸素)を外部から連続して供給し、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変える発電装置である。電池という名前だが、蓄電池のように電気をためるものではなく、燃料を供給し続ける限り発電を続ける。燃焼を経ないため発電効率が高く、排出されるのは主に水で、騒音も小さい。水を電気分解すると水素と酸素ができるが、燃料電池はその逆の反応を利用していると考えると分かりやすい。
【理論起電力】水素と酸素の反応による理論上の起電力は1セル当たり約1.23Vで、実際には内部の損失により1V未満になる。必要な電圧を得るため、多数のセルを直列に積み重ねた「セルスタック」として使う。出力は直流なので、交流の負荷や系統に接続する場合はインバータで交流に変換する。
【電解質による分類】燃料電池は使う電解質によって分類され、移動するイオンと運転温度が異なる。
・りん酸形(PAFC):電解質はりん酸水溶液、移動するイオンは水素イオン(H⁺)、運転温度は約200℃。業務用のコージェネレーションなどで実用化されている。
・固体高分子形(PEFC):電解質は高分子膜、移動するイオンは H⁺。運転温度が低く、家庭用燃料電池や燃料電池自動車に使われる。
・溶融炭酸塩形・固体酸化物形:高温で運転する方式で、移動するイオンが異なる(固体酸化物形では酸化物イオンが空気極から燃料極へ移動するため、水は燃料極側でできる)。
りん酸形と固体高分子形はどちらも H⁺ が移動するため、水は正極(空気極)側でできる。
【コージェネレーションとしての利用】りん酸形燃料電池は運転温度が比較的高く、発電と同時に出る排熱を給湯や空調に利用でき、電気と熱を併せて供給するコージェネレーションシステムとして使われる。総合的なエネルギー効率を高められることが利点である。
【試験での着眼点】原理図問題では、①H₂ がどちらの極に入るか、②O₂ がどちらの極に入るか、③H₂O がどちら側から出るか、の3点を順に確認する。極の名称(燃料極=負極、空気極=正極)と、移動するイオンの種類から水の出る側を決める流れを身に付けておけば、図の配置を変えた出題にも対応できる。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度(午後) 第一種電気工事士 学科試験 問13(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-14)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


