労働衛生(有害業務以外)15換気・事務室環境

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問15:換気・事務室環境

事務所衛生基準規則(事務所則)に定める事務室の空気環境基準に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 空気調和設備または機械換気設備を設けている場合、事務室のCO₂(二酸化炭素)濃度は1,000ppm(0.1%)以下に保つ必要がある。
  • 空気調和設備または機械換気設備を設けている場合、事務室のCO(一酸化炭素)濃度は50ppm以下に保つ必要がある。正答
  • 空気調和設備または機械換気設備を設けている場合、事務室の浮遊粉じん量は0.15mg/m³以下に保つ必要がある。
  • 事務所則では、事務室の室温について18℃以上28℃以下、相対湿度については40%以上70%以下とすることが空気調和設備を設けている場合の努力目標として示されている。
  • 空気調和設備または機械換気設備を設けている場合、事務室の気流は0.5m/s以下に保つ必要がある。
正答:空気調和設備または機械換気設備を設けている場合、事務室のCO(一酸化炭素)濃度は50ppm以下に保つ必要がある。

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誤りはイです。空気調和設備または機械換気設備を設けている場合、CO(一酸化炭素)の基準値は50ppmではなく10ppm以下です(事務所則第5条第1項第2号)。50ppmはCO設備がない場合の一般基準であり、設備ありの場合はより厳しい10ppmが適用されます。

CO₂は1,000ppm以下(ア)、浮遊粉じん0.15mg/m³以下(ウ)、気流0.5m/s以下(オ)はすべて正しい数値です。室温18〜28℃・湿度40〜70%(エ)は努力目標として正しい記述です。特にCO₂(1,000ppm)とCO(10ppm)の数値は「両方セット」で覚えることが重要です。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠(事務所則第5条):

  • ア(正): CO₂(二酸化炭素)1,000ppm以下。大気中のCO₂は約400ppmであり、1,000ppmを超えると換気不十分の指標となります。CO₂自体の毒性は低いですが、室内空気の汚染(他の有害物質の蓄積・ウイルス濃度の上昇)の代理指標として機能します。
  • イ(誤): CO(一酸化炭素)の基準値は10ppm以下です(設備ありの場合)。「50ppm以下」は設備がない場合の一般基準(第3条)の値です。設備がある場合(第5条)の方がより厳しい基準(10ppm)が適用されます。COの毒性は高く(ヘモグロビン親和性がO₂の200倍)、10ppmという厳格な基準が設定されている理由はここにあります。
  • ウ(正): 浮遊粉じん量0.15mg/m³以下。空気清浄機・換気フィルターの整備によって管理される基準値です。
  • エ(正): 事務所則第3条第1項では室温・湿度について「空気調和設備を設けている場合の努力目標」として、室温18℃以上28℃以下・相対湿度40%以上70%以下が示されています。義務ではなく努力目標であることがポイントです。
  • オ(正): 気流0.5m/s以下。強すぎる気流は冷え・不快感の原因となり、換気効率も低下します。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

事務所則第5条(空気調和設備等設置時)と第3条(一般規定)の2つの基準が存在することは、試験でも混乱しやすいポイントです。基本的な考え方は「設備がある方が換気能力が高いため、より高い(厳しい)基準が課せられる」ということです。

一酸化炭素(CO)の健康影響:

  • COはヘモグロビン(Hb)との親和性がO₂の210〜250倍
  • CO-Hb(カルボキシヘモグロビン)を形成してO₂運搬機能を妨害
  • 10ppmでは健常者への急性影響はほぼないが、慢性暴露での影響・心臓疾患者・胎児への影響を考慮して厳格な基準が設定

二酸化炭素(CO₂)と一酸化炭素(CO)の違い(試験頻出の混同):

  • CO₂: 毒性は低い(室内空気汚染の代理指標)/ 基準: 1,000ppm(設備あり)
  • CO: 毒性が高い(ヘモグロビントラップ)/ 基準: 10ppm(設備あり)
  • 数値の大きさが100倍違う(1,000ppm vs 10ppm)← 必ずセットで記憶

【実務・条文構造】

事務所則の空気環境基準の全体構造:

第5条(空気調和設備または機械換気設備を設けている場合):

| 項目 | 基準値 |

|---|---|

| 浮遊粉じん | 0.15mg/m³以下 |

| CO(一酸化炭素) | 10ppm以下 |

| CO₂(二酸化炭素) | 1,000ppm(0.1%)以下 |

| ホルムアルデヒド | 0.1mg/m³以下 |

| 気流 | 0.5m/s以下 |

第3条(一般基準・設備なしの場合等):

  • CO: 50ppm以下(第3条第1項第1号)
  • CO₂: 0.5%(5,000ppm)以下(第3条第1項第3号)

室温・湿度の努力目標(第3条第1項柱書・空調設備設置時):

  • 室温: 18℃以上28℃以下
  • 相対湿度: 40%以上70%以下

測定の義務(第7条):

  • 空調・機械換気設備がある場合: 2か月以内ごとに1回、定期的に空気環境の測定
  • 測定結果の記録保存: 3年間

ホルムアルデヒドの基準(0.1mg/m³以下)の背景:

  • シックハウス症候群の原因物質(建材・接着剤等から放散)
  • 厚生労働省「室内空気中化学物質の室内濃度指針値」とも整合
  • 特に新築・改装後の事務室で問題になりやすい

【試験での位置づけ】

この分野の最頻出ポイントは「CO₂=1,000ppm(設備あり)とCO=10ppm(設備あり)の数値を正確に区別する」ことです。イのような「COを50ppm」とする誤りは、第3条の一般基準(50ppm)と第5条の設備あり基準(10ppm)を混同させる典型的な引っかけです。また「CO₂とCOで基準値が100倍異なる理由(毒性の違い)」を理解することで、数値の丸暗記より定着しやすくなります。室温・湿度が「義務ではなく努力目標」であることも出題ポイントです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: CO₂の1,000ppmという基準値は換気の十分性を判断する「代理指標」として設定されています。コロナ禍以降、CO₂濃度計(二酸化炭素測定器)が広く普及し、飲食店・オフィス・学校での換気管理の実用ツールとして機能しています。1,000ppm以下でも感染症リスクがゼロになるわけではありませんが、十分な換気が行われている指標として有用です。
  • イ: 事務室でのCO問題が現実に起きるのは、ガス暖房機器(開放型)・石油ストーブの不完全燃焼、地下駐車場や荷捌き場に接する換気不十分な室内(自動車の排気ガス由来)などです。空気調和設備が設置されている事務室では通常COが10ppmを超えることはまれですが、設備の故障・メンテナンス不足・外気取り入れ不足などの際に問題が生じる場合があります。
  • ウ: 浮遊粉じん0.15mg/m³は、大気環境基準(PM2.5等)とは別の室内空気基準です。コピー機・プリンターからのトナー微粒子、建材・じゅうたんからの粉じん放散が問題になることがあります。空気清浄機のフィルター管理が実務上の対策として重要です。
  • エ: 室温28℃以下・18℃以上という基準は、夏季の冷房設定(28℃以下)と冬季の暖房設定(18℃以上)に相当します。「努力目標」であることは労働者が強制的に主張できる権利ではありませんが、事業者は達成に向けて努力する義務(誠実義務)があります。
  • オ: 気流0.5m/s以下という基準は、直接的な身体への冷却影響を避けるためのものです。特に冷房稼働時に空調の吹き出し口から直接強い気流を受けると、頸部・肩の冷えや眼の乾燥(ドライアイ)が悪化します。空調の吹き出し口の向き・ルーバーの調整が実務上の対策です。

【根拠法令】事務所衛生基準規則(事務所則)第5条第1項(空気調和設備等設置時の基準)・第3条第1項(一般基準)。

【補足】空調設備あり場合のCO基準は「10ppm以下」(50ppmは設備なし時の一般基準)。CO₂=1,000ppm・CO=10ppm(数値が100倍違う)をセットで正確に記憶する。室温・湿度は義務ではなく努力目標。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 事務所衛生基準規則(事務所則)第5条第1項(空気調和設備等設置時の空気環境の基準)。COの基準値は50ppmではなく10ppm。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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