問題
事務室の換気に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはエです。自然換気は室内外の温度差だけでなく、風(気圧差)によっても生じます。温度差を利用する「温度差換気(浮力換気)」に加え、風が建物に当たることで生じる「風圧換気」があります。したがって「夏季に室内外温度差がなくても、風が吹いていれば換気が行われる」ことがあります。「全く行われなくなる」は誤りです。
ア(必要換気量の計算式)・イ(人数増加と換気量)・ウ(外気CO₂濃度と許容値の差)・オ(活動強度とCO₂発生量)はいずれも正しい内容です。換気量の計算式(CO₂発生量÷濃度差)は試験頻出の計算問題の基礎です。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): CO₂ベースの必要換気量計算式: Q=k÷(p-q)(Q=必要換気量、k=CO₂発生量、p=室内許容濃度、q=外気CO₂濃度)。この式の分母(p-q)が大きいほど換気量は少なくて済み、分子(k)が大きいほど(在室者が多い・活動強度が高い)換気量が多く必要です。
- イ(正): 在室者増加→CO₂発生量増加→同換気量では許容濃度超過→必要換気量が増加する、という関係は正しい。事務室定員の設定・換気設備の能力設計に直接関係します。
- ウ(正): 外気CO₂濃度(約400ppm)と許容濃度(1,000ppm)の差(600ppm)が式の分母です。外気CO₂濃度が高いとこの差が小さくなり、同じCO₂発生量に対してより多くの換気量が必要になります。逆に差が大きいほど必要換気量は少なくなります。なお事務所衛生基準規則では、空気調和設備・機械換気設備から室に供給される空気のCO₂含有率を百万分の千(1,000ppm)以下とするよう定めています(第5条)。
- エ(誤): 自然換気の駆動力は「温度差(重力換気・浮力換気)」だけでなく「風(風圧換気)」も含まれます。夏季に室内外温度差が小さくても、風が吹けば風圧差による換気が生じます。「全く行われなくなる」は誤りです。ただし自然換気は機械換気と異なり安定性が低く、計算上の換気量を保証することが難しい点は事実です。
- オ(正): 1人あたりのCO₂発生量は活動強度が高いほど多くなり、式の分子(k)が大きくなるため、必要換気量も増えます。
【理論的背景】
換気(ventilation)は室内空気と外気を交換することで、室内の汚染物質濃度を低下させ、快適で健康的な空気環境を維持するための基本的な衛生管理手段です。換気の目的は①酸素の供給とCO₂の排出②室内発生汚染物質(CO・ホルムアルデヒド・臭気・細菌・ウイルス)の希釈除去③温度・湿度の調整の3つです。
自然換気の2種類のメカニズム:
1. 温度差換気(重力換気・浮力換気): 室内外の温度差による空気密度差を利用。室内が温かい(密度が低い)と上部から外気が流入し下部から排気される。冬季・温暖な春秋に有効。夏季に室内外温度差が小さい場合は換気力が弱くなる。
2. 風圧換気(風力換気): 風が建物の外壁に当たることで生じる気圧差を利用。風上側が正圧(高気圧)・風下側が負圧(低気圧)となり、気圧差によって換気が促進される。季節・昼夜を問わず風が吹けば換気が生じる。
【実務・条文構造】
必要換気量の計算(CO₂ベース)の詳細:
計算式: Q = k ÷ (p - q)
- Q: 必要換気量(m³/h)
- k: CO₂発生量(m³/h)=在室人数 × 一人あたりのCO₂産生量
- p: 許容CO₂濃度(=0.001=1,000ppm)
- q: 外気CO₂濃度(=0.0004=400ppm)
計算例(在室者10人・1人あたりCO₂発生量を0.030m³/hと仮定・外気CO₂400ppm・許容1,000ppm):
- k = 10人 × 0.030m³/h = 0.30m³/h
- Q = 0.30 ÷ (0.001 - 0.0004) = 0.30 ÷ 0.0006 = 500m³/h
- 一人あたり: 500 ÷ 10 = 50m³/h/人
- 1人あたりCO₂発生量の値は試験問題で与えられる数値を使います。活動強度が高いほどこの値が大きくなり、必要換気量も比例して増えます。
換気回数(空気交換回数):
- 換気回数(回/h)= 換気量(m³/h)÷ 室容積(m³)
事務所衛生基準規則の換気関係の規定:
- 第3条第1項: 窓その他の開口部の直接外気に向かって開放できる部分の面積を、常時床面積の20分の1以上とする(換気が十分に行われる性能を有する設備を設けたときは、この限りでない)
- 第3条第2項: 室の一酸化炭素・二酸化炭素の含有率を、それぞれ百万分の50以下・百万分の5,000以下とする
- 第5条第1項: 空気調和設備・機械換気設備を設けている場合、室に供給される空気の一酸化炭素・二酸化炭素の含有率をそれぞれ百万分の10以下(外気が汚染されているため困難な場合は百万分の20以下)・百万分の1,000以下とする
【試験での位置づけ】
換気問題では「必要換気量の計算式(CO₂発生量÷濃度差)の分子・分母の理解」「自然換気の2種類のメカニズム(温度差換気と風圧換気)」「エのような『温度差がなければ換気ゼロ』という誤り」が出題ポイントです。計算問題では「分子と分母を逆にする誤り」「単位変換(ppm→小数)の誤り」に注意が必要です。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 必要換気量計算式の分母(p-q)は「換気の余裕」を表します。分母が小さい(許容濃度に近い外気CO₂)ほど必要換気量が増大します。実務では「外気が汚染されている(大気汚染・都市部)」場合の計算を修正する必要があります。
- イ: 在室人数が2倍になれば式の分子(k)も2倍になり、同じ許容濃度を保つための必要換気量も2倍になります。会議室など人が集まる部屋ほど換気量の確保が重要です。
- ウ: 大気中のCO₂濃度は上昇を続けており、気象庁によれば2024年の世界平均濃度は423.9ppm、工業化以前(1750年)の平均的な値は約278ppmとされています。外気濃度が上がると分母(p−q)が小さくなり、必要換気量は増えます。
- エ: 自然換気は気候・建物の向き・開口部の配置に依存するため、確実な換気量を保証できません。事務所衛生基準規則第3条第1項は、開放できる開口部の面積を常時床面積の20分の1以上とすることを求め、換気が十分に行われる性能を有する設備を設けたときはこの限りでないとしています。
- オ: 必要換気量は1人あたりのCO₂発生量に比例するため、作業の強度が上がるほど必要換気量も大きくなります。
【根拠】事務所衛生基準規則第3条・第5条。必要換気量計算式はCO₂ベースの換気量計算の標準手法。外気CO₂濃度は気象庁「大気中二酸化炭素濃度の経年変化」。
【補足】自然換気の駆動力は「温度差換気(重力換気)」と「風圧換気」の2種類。温度差がゼロでも風があれば換気は起こる→「全く行われなくなる」は誤り。必要換気量=CO₂発生量÷(許容濃度-外気濃度)。
- 事務所衛生基準規則第3条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 事務所衛生基準規則第3条・第5条、換気の物理的原理(必要換気量の計算式)。自然換気は温度差に加え「風(風圧換気)」によっても生じる。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

