労働衛生(有害業務以外)58温熱環境・作業環境測定

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問58:温熱環境・作業環境測定

事務室の換気に関する次の計算・記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 必要換気量(Q)は「CO₂発生量(M)÷(室内許容CO₂濃度(Ci)− 外気CO₂濃度(Co))」の式で求められる。例えば室内1人当たりのCO₂発生量が0.020m³/h、室内許容CO₂濃度が1,000ppm(0.001)、外気CO₂濃度が400ppm(0.0004)とすると、1人当たりの必要換気量は約33m³/hと計算される。正答
  • 必要換気量の算出に用いる「室内許容CO₂濃度」は、事務所衛生基準規則の基準値(1,000ppm)ではなく、各事業場が任意に定める基準値を使用しなければならない。
  • 必要換気量(m³/h)は在室者数に比例するが、換気量を増やしても室内のCO₂濃度は1,000ppmより低くなることはなく、1,000ppmが下限となる。
  • 在室者数が増えても、機械換気設備の換気量を固定すれば、室内のCO₂濃度は在室者数に関わらず一定に保たれる。
  • 室内に40人が在室しており、室内のCO₂濃度を1,000ppm(0.001)以下に保つために必要な換気量を計算するにあたり、1人当たりのCO₂発生量を0.020m³/h・外気CO₂濃度を400ppm(0.0004)とすると、必要換気量は約800m³/h以上で十分と計算される。
正答:必要換気量(Q)は「CO₂発生量(M)÷(室内許容CO₂濃度(Ci)− 外気CO₂濃度(Co))」の式で求められる。例えば室内1人当たりのCO₂発生量が0.020m³/h、室内許容CO₂濃度が1,000ppm(0.001)、外気CO₂濃度が400ppm(0.0004)とすると、1人当たりの必要換気量は約33m³/hと計算される。

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正しいのはアです。必要換気量(Q)の計算式は「M ÷ (Ci − Co)」です。ここでMはCO₂発生量・CiはCO₂の室内許容濃度・CoはCO₂の外気濃度です。

計算: Q = 0.020 ÷ (0.001 − 0.0004) = 0.020 ÷ 0.0006 ≈ 33.3 m³/h(約33m³/h)が1人当たりの必要換気量となり、アの記述は正しいです。

イは誤りで、事務所則の基準値(1,000ppm)を使用する(任意の基準値ではない)。ウは誤りで、換気量を増やせばCO₂濃度は1,000ppm未満にできる(1,000ppmが下限ではない)。エは誤りで、在室者が増えると換気量が固定なら濃度が上がる。オは誤りで、正確な必要換気量は40×33.3=1,333m³/hであり、「約800m³/h以上で十分」という過小な計算結果が誤りです。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 必要換気量の基本計算式: Q = M ÷ (Ci - Co)

- M = 0.020 m³/h(1人当たりCO₂発生量)

- Ci = 0.001(1,000ppm = 0.1%)

- Co = 0.0004(400ppm = 0.04%)

- Q = 0.020 ÷ (0.001 - 0.0004) = 0.020 ÷ 0.0006 = 33.3 m³/h/人

「約33m³/h」という計算結果は正確です。アは正しい。

  • イ(誤): 必要換気量の計算に用いる室内許容CO₂濃度は、事務所衛生基準規則の基準値(1,000ppm以下)が基準となります。「各事業場が任意に定める基準値を使用しなければならない」という記述は誤りです(事務所則の基準値を基本に計算する)。
  • ウ(誤): 必要換気量(換気量)を十分に確保すれば、室内CO₂濃度は1,000ppm未満にすることができます。「1,000ppmが下限となる」という記述は誤りです。例えば非常に少ない在室者数で大量の換気を行えば、室内CO₂濃度を外気CO₂濃度(約400ppm)に近づけることができます。
  • エ(誤): 在室者が増えると、一人一人が呼吸でCO₂を発生させるため、換気量が固定であれば室内CO₂濃度は上昇します。換気量を固定したまま在室者数が増えると、必要換気量に不足が生じてCO₂濃度が1,000ppmを超えることになります。「在室者数に関わらず一定に保たれる」は誤りです。
  • オ(誤): 正確な計算: Q = 40 × 0.020 ÷ (0.001 - 0.0004) = 0.80 ÷ 0.0006 = 1,333m³/h が必要換気量。「約800m³/h以上で十分」という記述は明らかに過小な値であり誤りです。1人当たり必要換気量が33.3m³/hなので、40人では40×33.3=1,333m³/h以上が必要であり、800m³/hでは全く不足します(1,333÷800≈1.67倍の不足)。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

室内空気の換気量計算は、室内で発生する汚染物質(主としてCO₂)の濃度を許容基準以下に維持するための基本的な工学的計算です。定常状態(室内CO₂濃度が一定に保たれている状態)での換気量と汚染物質発生量の関係は、物質収支(Mass Balance)の考え方に基づいています。

必要換気量の導出(CO₂収支):

室内の定常状態では「CO₂の流入量(外気CO₂+室内発生CO₂)= CO₂の流出量(換気による排出CO₂)」が成立します。

  • 外気から流入するCO₂量: Q × Co(換気量 × 外気CO₂濃度)
  • 室内で発生するCO₂量: M(人の呼吸等)
  • 室内から排出されるCO₂量: Q × Ci(換気量 × 室内CO₂濃度)

定常状態では: Q × Co + M = Q × Ci

整理すると: M = Q × (Ci - Co)

∴ Q = M ÷ (Ci - Co) ← 必要換気量の基本式

人のCO₂発生量(M)の概要:

  • 安静時: 約0.013〜0.018 m³/h(200〜270 mL/分)
  • 軽作業: 約0.020〜0.025 m³/h
  • 中程度の作業: 約0.030〜0.040 m³/h
  • 衛生管理者試験では「1人当たり0.020m³/h」を標準値として使用することが多い

外気CO₂濃度(Co)の概要:

  • 工業化以前: 約280ppm
  • 現在(2024年時点): 約420ppm(年々増加・地球温暖化の指標)
  • 衛生管理者試験では「400ppm」が標準値として用いられることが多い

【実務・条文構造】

事務室の換気に関する法令・基準:

1. 事務所衛生基準規則第3条(換気):

- 室内CO₂濃度: 1,000ppm(0.1%)以下(ただし空気調和設備・機械換気設備を設けている場合)

- CO濃度: 10ppm以下

2. 建築基準法施行令第129条の2の6(換気設備):

- 居室の換気回数: 0.5回/時間以上(シックハウス対策)

- ただしCO₂基準は別途事務所則で規定

3. 換気量計算の実際の使い方:

- 設計段階: 在室者数(最大収容人数)・活動強度(事務作業: 0.020m³/h人等)からQを算出し、換気設備(送風機・ダクト等)の容量を決定

- 管理段階: 実際の在室者数に応じた換気量の調整(可変風量制御: VAV)・CO₂センサーによるフィードバック制御

換気量計算の数値例(まとめ):

| 在室者数 | CO₂発生量M(0.020m³/h/人) | 必要換気量Q (Ci=1000ppm・Co=400ppm) |

|---|---|---|

| 10人 | 0.20 m³/h | 0.20÷0.0006≈333 m³/h |

| 20人 | 0.40 m³/h | 667 m³/h |

| 30人 | 0.60 m³/h | 1,000 m³/h |

| 40人 | 0.80 m³/h | 1,333 m³/h |

| 50人 | 1.00 m³/h | 1,667 m³/h |

【試験での位置づけ】

換気量計算問題では「Q = M ÷ (Ci - Co) という計算式を正確に使えるか」「分子(CO₂発生量)と分母(濃度差)を逆にしない」「単位(m³/h・ppmの変換(÷1,000,000)に注意)」が試験で問われます。計算問題として出題される場合、数値を代入して実際に計算する能力が求められます。アは計算式と数値が正確であり、数値を確認することで確実に正しい選択肢と判断できます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 必要換気量33m³/h/人という値は、世界保健機関(WHO)や米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)の換気基準と概ね一致しています(ASHRAEの換気基準では事務室で約10L/s/人≈36m³/h/人)。CO₂基準1,000ppmは「教室内での集中力維持」の観点からも重要であり、1,000ppmを超えると眠気・集中力低下が顕著になることが研究で示されています。
  • イ: 各事業場が自主的に1,000ppm以下(例: 800ppm)という厳しい基準を設定することは自由ですが、法令上の最低基準は1,000ppmです。また、CO₂はビル内空気質の代替指標(汚染物質の代表)として用いられており、CO₂が低ければ他の汚染物質も希釈されていると推定できます。
  • ウ: 換気量を大幅に増やした場合(例: 1人当たり300m³/h)の計算: CO₂濃度 = 外気濃度 + CO₂発生量/換気量 = 0.0004 + 0.020/300 = 0.0004 + 0.0000667 ≈ 467ppm となり、室内CO₂濃度は外気(400ppm)に近い値になります。過換気は省エネの観点からは無駄ですが、CO₂濃度を1,000ppm以下に抑えることは可能です。
  • エ: CO₂収支の考え方では、換気量固定で在室者が2倍になると、定常状態でのCO₂濃度は外気濃度から「M/Q」の分だけ上昇し、上昇分が2倍になります(Ci = Co + M×N/Q。N=在室者数)。40人→80人で換気量固定なら、1,333m³/hの換気量では80人のCO₂発生量(0.020×80=1.6m³/h)÷1,333m³/h=0.0012=1,200ppm>1,000ppmとなり基準超過します。
  • オ: 「1,320m³/h以上」という数値の出典として考えられるのは、計算過程でどこかに丸め誤差が生じている場合(例: 1人当たりの必要換気量を「33m³/h」と丸めて40人×33=1,320m³/hと計算)です。より正確な計算では33.333…×40=1,333.3…m³/hとなります。試験では「約1,333m³/h以上」または「1,320m³/h以上」のいずれかが正解選択肢として設定される場合があります。本問では正確な計算値(1,333m³/h)との差があるため、アを正答とします。

【根拠】医学的事実(換気工学)・事務所衛生基準規則第3条(CO₂濃度基準1,000ppm以下)。必要換気量の計算式(Q=M÷(Ci-Co))は換気設計の基本式。

【補足】必要換気量: Q = M ÷ (Ci - Co)。M=CO₂発生量・Ci=室内許容濃度・Co=外気濃度。1人当たりの計算例: 0.020÷(0.001-0.0004)=33.3m³/h/人。40人の場合: 約1,333m³/h以上必要。換気量を増やせば室内CO₂濃度はさらに下げられる(1,000ppmが下限ではない)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 医学的事実・事務所衛生基準規則第3条(CO₂濃度基準)。必要換気量の計算式は換気工学の基本事項。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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