問題
雇入れ時の健康診断に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはイです。雇入れ時の健康診断(安衛則第43条)は、定期健康診断(安衛則第44条)と異なり、医師が必要でないと認めた場合でも項目を省略することができません。雇入れ時健康診断の全項目は必須実施が原則です。「医師が必要でないと認めた項目は省略できる」は定期健康診断の一部項目に認められる規定であり、雇入れ時には適用されません。
ア(雇入れ後の定期健診があっても省略不可)、ウ(監督署への結果報告は定期健診が対象で、雇入れ時健診は対象外)、エ(既往歴・業務歴の調査が含まれる)、オ(5年保存)はいずれも正しい記述です。
雇入れ時健康診断の全体像(安衛則第43条):
雇入れ時健康診断は、採用時に労働者の健康状態を把握し、適切な就業配置を行うための健診です。定期健康診断(1年ごと)とは別建てで、雇入れ時に一度実施する義務があります。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 雇入れ時健康診断は雇入れ後すぐに実施する必要があり、「3か月以内に定期健診あるから不要」という省略は認められません(安衛則第43条ただし書の省略は雇入れ前3か月以内に受けた健診の結果証明書を提出した場合に限られる)。
- イ(誤): 安衛則第43条は、医師が必要でないと認める場合の省略規定を設けていません(定期健診の第44条と異なる)。医師の判断で項目を省略することはできません。
- ウ(正): 所轄労働基準監督署長への健康診断結果報告(安衛則第52条第1項)は、常時50人以上の労働者を使用する事業者が「第44条又は第45条の健康診断であって定期のもの」を行ったときに限られます。雇入れ時健診(第43条)は対象外です。
- エ(正): 安衛則第43条第1号に「既往歴及び業務歴の調査」が項目として明示されています。
- オ(正): 安衛則第51条により、健康診断個人票を作成して5年間保存しなければなりません。
雇入れ時健康診断の11項目(安衛則第43条):
既往歴及び業務歴の調査、自覚症状及び他覚症状の有無の検査、身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査、胸部エックス線検査、血圧の測定、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、尿検査(糖・蛋白)、心電図検査(定期健診(第44条)では胸部エックス線検査に喀痰検査が加わる)
医師の判断による省略は不可(定期健診と異なる最重要ポイント)。ただし雇入れ前3か月以内の健診結果を提出した場合は相当項目を省略可(第43条ただし書)。
【理論的背景】
雇入れ時健康診断(安衛則第43条)は、常時使用する労働者を雇い入れるときに行う健康診断です。定期健康診断(安衛則第44条)が1年以内ごとに1回定期に行うものであるのに対し、雇入れ時健診は雇入れの際に行います。
両者の大きな違いは省略の仕組みです。定期健康診断には、厚生労働大臣が定める基準に基づき医師が必要でないと認めるときに一定の項目を省略できる規定(第44条第2項)がありますが、雇入れ時健康診断にはこのような規定がありません。雇入れ時健診で項目を省略できるのは、医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者を雇い入れ、その者が結果を証明する書面を提出したときの、相当する項目だけです(第43条ただし書)。
【実務・条文構造】
雇入れ時健康診断(安衛則第43条)の11項目と、定期健康診断(安衛則第44条)の医師の判断による省略の可否:
| 項目 | 雇入れ時(第43条) | 定期健診(第44条第2項) |
|---|---|---|
| 既往歴及び業務歴の調査(第1号) | 医師の判断による省略不可 | 省略不可 |
| 自覚症状及び他覚症状の有無の検査(第2号) | 医師の判断による省略不可 | 省略不可 |
| 身長・体重・腹囲・視力・聴力(第3号) | 医師の判断による省略不可 | 省略可 |
| 胸部エックス線検査(定期は喀痰検査も・第4号) | 医師の判断による省略不可 | 省略可 |
| 血圧の測定(第5号) | 医師の判断による省略不可 | 省略不可 |
| 貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査(第6号〜第9号) | 医師の判断による省略不可 | 省略可 |
| 尿検査(第10号) | 医師の判断による省略不可 | 省略不可 |
| 心電図検査(第11号) | 医師の判断による省略不可 | 省略可 |
※定期健診の省略は「厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるとき」に限られます(第44条第2項)。
「雇入れ時健診と定期健診の関係」について:
安衛則第44条第3項は、雇入れ時健診(第43条)等を受けた者については、その実施の日から1年間に限り、受けた項目に相当する項目を省略して定期健康診断を行うことができると定めています。省略できるのは定期健康診断の側であり、雇入れ後に定期健診を予定していても雇入れ時健康診断(第43条)そのものは省略できません(選択肢アの正しさの根拠)。
健康診断結果報告(安衛則第52条第1項):
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条又は第45条の健康診断であって定期のものを行ったときは、遅滞なく所轄労働基準監督署長に報告しなければなりません。雇入れ時健診は報告の対象に含まれていません(選択肢ウの根拠)。
【試験での位置づけ】
雇入れ時健康診断と定期健康診断の「違い」を問う問題は頻出です。最重要の違いは「医師の判断による省略規定の有無」です。定期健診では医師が必要でないと認めれば一定の項目を省略できますが、雇入れ時健診ではできません(例外は雇入れ前3か月以内の健診結果を提出した場合のみ)。また「雇入れ時健診の結果も監督署に報告が必要」とする誤り、「入社後3か月以内に定期健診があれば雇入れ時健診を省略できる」とする誤りにも注意しましょう。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 第43条ただし書が認めるのは「雇入れ前」3か月以内に受けた健診の結果を提出した場合です。雇入れ「後」に定期健診を予定していることは省略の理由になりません。
- イ: 安衛則第43条(雇入れ時)と第44条(定期)を並べて読むと、第44条第2項にある「医師が必要でないと認めるときは、省略することができる」という規定が第43条にはないことが確認できます。
- ウ: 健康診断結果報告の対象は定期健康診断(第44条)と特定業務従事者の健康診断(第45条)の定期のものです。常時50人未満の事業者にはこの報告義務もありません(第52条第1項)。
- エ: 既往歴及び業務歴の調査は第43条第1号に掲げられた項目で、定期健診(第44条第1項第1号)でも同じく実施します。
- オ: 健康診断個人票の5年保存(安衛則第51条)は、雇入れ時健診(第43条)・定期健診(第44条)などに共通のルールです。
【根拠法令】労働安全衛生規則 第43条(雇入れ時の健康診断・ただし書)・第44条(定期健康診断・第2項の省略・第3項)・第51条(記録保存5年)・第52条(健康診断結果報告)
【補足】雇入れ時健診は医師の判断による省略不可(定期健診とは異なる最重要の違い)。省略できるのは雇入れ前3か月以内の健診結果を提出した場合の相当項目のみ。
- 労働安全衛生規則第43条・第44条・第52条・第51条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生規則(安衛則)第43条(雇入れ時の健康診断)・第44条(定期健康診断)・第51条(記録の保存)・第52条(健康診断結果報告)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

