衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問18:労働基準法
労働基準法に定める休憩に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも60分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
- イ休憩時間は、原則としてすべての労働者に一斉に与えなければならない。
- ウ労働者の過半数で組織する労働組合(またはその過半数代表者)との労使協定を締結することにより、一斉付与の原則が適用されない業種以外の事業場でも、交替制で休憩を取らせることができる。
- エ休憩時間中は、使用者は労働者を自由に利用させなければならず、労働者を事業場外に出ることを禁ずることはいかなる場合も許されない。正答
- オ所定労働時間が正確に6時間の労働者については、休憩を与えなくても違法とはならない場合がある。
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誤りはエです。休憩時間中は「労働者が自由に利用できる(自由利用の原則・労基法第34条第3項)」ことが保障されますが、「いかなる場合も事業場外への外出を禁じることは許されない」とは限りません。合理的な理由(セキュリティ上の制約・施設の特性等)がある場合には、外出制限が労使慣行・就業規則で認められる場合があるとされています(判例上の例外)。「いかなる場合も許されない」という断言が誤りです。
ア(6時間超45分・8時間超60分)、イ(一斉付与の原則)、ウ(労使協定による交替制休憩の可能性)、オ(6時間ちょうどは休憩不要)はいずれも正しい記述です。
休憩の3原則(労基法第34条):
1. 時間の原則: 6時間超45分・8時間超60分
2. 一斉付与の原則: 原則として全労働者に一斉に付与
3. 自由利用の原則: 休憩時間は労働者が自由に利用できること
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 労基法第34条第1項の規定通り。「6時間を超える」(6時間ちょうどは含まない)・「8時間を超える」(8時間ちょうどは含まない)が正確な表現です。
- イ(正): 労基法第34条第2項前段の一斉付与原則。交通機関・商業等の特定業種(労基法第34条第2項ただし書の対象業種)では行政官庁の許可なく一斉付与から除外されます。
- ウ(正): 一斉付与の例外が認められない業種(製造業等)でも、労使協定を締結することにより交替制で休憩を取らせることができます(労基法第34条第2項ただし書後段)。
- エ(誤): 自由利用の原則(労基法第34条第3項)は「使用者の指揮命令から完全に解放する」ことを意味しますが、「いかなる場合も外出禁止は許されない」という絶対的主張は誤りです。判例・通説上、「施設管理上の理由」等による外出制限が一定程度認められます(公安・防衛・精神科病院等の特殊施設では特に)。
- オ(正): 「労働時間が6時間を超える場合」に休憩義務が発生するため、所定労働時間がちょうど6時間の場合(6時間超でない)は休憩付与義務が生じません。
【理論的背景】
休憩制度(労基法第34条)は労働者の心身の疲労回復と人格的自律の確保を目的とします。単に「労働をやめる時間」を与えるだけでなく、「自由に使える時間」を保障することが重要です(自由利用の原則)。
自由利用の原則の解釈について判例の立場:
「自由利用」は「事業場内での一定の拘束を含む」場合でも認められる例外があります。最高裁は一定の制限が合理的な範囲内であれば許容するとした判例があり(日立製作所武蔵工場事件等)、「いかなる場合も外出禁止は不可」という絶対的解釈は採用されていません。ただし「使用者の業務命令に服すること」を休憩中に強いることは自由利用の侵害として違法です。
6時間ちょうどと「超える」の言葉の正確な理解(選択肢オの根拠):
- 「6時間を超える」= 6時間1分以上(6時間00分は含まない)
- 「8時間を超える」= 8時間1分以上(8時間00分は含まない)
したがって所定労働時間が正確に6時間00分(例: 9:00〜15:00の勤務で休憩なしの場合)の労働者には休憩付与義務は生じません(ただし実質的に6時間超の勤務が発生した場合は義務が生じます)。
【実務・条文構造】
休憩の一斉付与の例外(労基法第34条第2項ただし書):
【法律上一斉付与が不要な業種(行政官庁の許可なく除外)】:
- 運輸・交通業(鉄道・バス・タクシー等)
- 商業(小売・卸売業等)
- 金融・広告業
- 映画・演劇業
- 通信業
- 保健衛生業
- 接客娯楽業(旅館・料理店・飲食店等)
- 官公署
【製造業等の上記以外の業種で一斉付与を除外する方法】:
- 労使協定の締結(届出は不要)→ 交替制での休憩取得が可能
休憩時間の運用上の留意点:
- 休憩時間の分割: 1回で与える必要はなく、複数回に分割することは可能(1回45分を20分+25分等)
- ただし分割しすぎて「実質的に自由利用できない」短い休憩の連続は自由利用原則の侵害になります
- 休憩時間中の電話番・来客対応の義務付けは自由利用の侵害(労働時間として計算が必要)
割増賃金との関係:
- 休憩時間は賃金計算の対象外(賃金の支払い義務なし)
- 「名ばかり休憩」(実質的に指揮命令下)は賃金対象時間として扱う必要あり
【試験での位置づけ】
休憩問題では「6時間超45分・8時間超60分(境界値の正確な理解)」「一斉付与の原則と例外(法律上の除外業種・労使協定による除外)」「自由利用の原則(外出禁止の絶対的禁止ではない)」の3点が繰り返し問われます。特に「6時間ちょうどは休憩不要」という境界値問題は毎回のように出題されます。また「一斉付与の例外が労使協定なしに認められる業種」(運輸・商業・金融等)のリストも重要な暗記事項です。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 「6時間を超える」という表現の正確な解釈は「6時間00分は含まない・6時間01分以上が対象」です。所定労働時間が7時間の場合(6時間超・8時間以下)は45分の休憩が必要です。所定が9時間の場合(8時間超)は60分以上の休憩が必要です。
- イ: 一斉付与の原則は職場全体が一斉に休憩を取ることで、「コーヒーブレイク」などの短い休憩が乱発することを防ぎ、職場の秩序維持にも貢献しています。交替制導入の場合は班ごとのシフト管理が必要です。
- ウ: 製造業で一斉付与の例外を設ける場合の労使協定は、監督署への届出が不要な点も確認事項です(36協定とは異なる)。協定の内容は交替の組・時間帯等を具体的に規定することが必要です。
- エ: 「いかなる場合も許されない」という絶対的表現が誤りのシグナルです。法律の解釈で「例外なし」と断言できる規定は少なく、試験では「いかなる場合も〜できない」「すべて〜でなければならない」等の絶対的表現は誤りである可能性が高いパターンです。
- オ: 6時間ちょうどの勤務(例: 正確に9:00〜15:00で休憩なし)では休憩義務は生じませんが、実態として昼食をとる習慣がある場合は就業規則で任意に休憩を設けることが多いです。法的義務の最低基準と実務運用を区別して理解することが重要です。
【根拠法令】労働基準法 第34条第1項(休憩時間の長さ・6時間超45分・8時間超60分)・第2項(一斉付与の原則と例外業種・労使協定)・第3項(自由利用の原則)
【補足】「6時間を超える」(6時間ちょうどは休憩不要)・一斉付与の例外は法定業種か労使協定が必要・自由利用の原則は外出禁止の絶対的禁止を意味しない。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法(労基法)第34条(休憩)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。