関係法令(有害業務以外)21労働基準法

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問21:労働基準法

就業規則に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場において作成義務があり、作成にあたっては労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。
  • 就業規則の記載事項は、始業・終業の時刻・休憩時間・休日・休暇などの労働条件に関する事項のほか、安全衛生に関する事項は任意的記載事項とされている。
  • 事業者は、作成または変更した就業規則を所轄労働基準監督署長に届け出なければならず、届出に際して労働者代表の意見書を添付しなければならない。正答
  • 就業規則は労働者への個別の書面交付によってのみ周知させることができ、社内掲示板への掲示や電磁的方法は認められていない。
  • 就業規則で定める労働条件が労働協約や労働基準法の基準に達しない場合でも、当事者間で合意していれば当該規定は有効である。
正答:事業者は、作成または変更した就業規則を所轄労働基準監督署長に届け出なければならず、届出に際して労働者代表の意見書を添付しなければならない。

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正しいのはウです。就業規則の作成または変更にあたっては、所轄労働基準監督署長への届出が義務づけられており(労基法第89条)、届出の際には労働者の過半数を代表する者(または労働組合)の意見書を添付しなければなりません(労基法第90条第2項)。「意見を聴く義務(意見書の添付)」はあっても「同意を得る義務」はありません。

各誤り: ア→「同意を得る」ではなく「意見を聴く」(意見が反対でも届出可能)。イ→安全衛生に関する事項は「任意的記載事項」ではなく「絶対的記載事項(必ず記載しなければならない事項)」の一部に含まれます(安全衛生に定めをおく場合は必須)。エ→書面交付のほか掲示・電磁的方法も認められています。オ→労基法・労働協約より不利な就業規則は当事者合意があっても無効です。

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就業規則の作成・届出・周知の全体像(労基法第89条〜第93条・第106条):

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 作成義務は常時10人以上(正しい)ですが、意見を「聴く」義務(第90条第1項)はあっても「同意を得る」義務はありません。労働者代表が反対意見を述べても届出・施行は可能です。
  • イ(誤): 就業規則の記載事項には「絶対的記載事項(必ず記載しなければならないもの)」と「相対的記載事項(定めをおく場合は記載しなければならないもの)」があります。安全衛生に関する事項は「相対的記載事項」(定めをおく場合は記載必要)ですが、「任意的記載事項(自由に記載できるもの)」とは異なります。安全衛生への定めを置く場合は必ず記載しなければなりません。
  • ウ(正): 労基法第89条(届出義務)・第90条第2項(意見書添付)の通り。意見書は添付しなければなりませんが、意見書の内容が「同意」でなくても届出可能です。
  • エ(誤): 労基法第106条第1項は就業規則の周知方法として「常時各作業場の見やすい場所に掲示・備え付けること」「書面交付」「電磁的方法(イントラネット等)」の3つを認めています。書面交付のみではありません。
  • オ(誤): 労基法第92条(労働協約との関係)・第93条(労基法最低基準との関係)により、労基法・労働協約より低い基準を定める就業規則は、その部分が無効となります(当事者合意があっても無効)。
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【理論的背景】

就業規則(労基法第89条〜第93条)は、事業場の労働条件を統一的・明示的に定めることで、労使間のトラブル防止と職場秩序の確立を目的とします。就業規則の効力は個別の労働契約より強く、就業規則が定める基準より低い労働条件を定める労働契約は、その部分が無効とされ、就業規則の基準が適用されます(労働契約法第12条)。

「意見聴取義務」vs「同意取得義務」の設計思想:

就業規則は使用者が作成・変更する権限を持ちますが、労働者への影響が大きいため「労働者代表の意見を聴く」プロセスが義務付けられています。ただし「同意を得る義務」ではないため、反対意見があっても使用者は届出・施行できます。これは「完全な労使合意は困難でも、意見を聴くプロセスで問題を顕在化・修正する機会を確保する」という設計です。

【実務・条文構造】

就業規則の記載事項の分類(労基法第89条):

【絶対的記載事項(必ず記載しなければならないもの)】:

1. 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇(有給休暇を含む)

2. 賃金の決定・計算・支払い方法、賃金の締め切り・支払い時期・昇給に関する事項

3. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

【相対的記載事項(定めをおく場合は必ず記載しなければならないもの)】:

4. 退職手当に関する事項(適用範囲・算定方法・支払い方法等)

5. 臨時の賃金等(賞与等)・最低賃金額

6. 労働者に食費・作業用品その他の負担をさせる場合

7. 安全衛生に関する事項(安全教育・健康診断・保護具の使用等に関する定めをおく場合)

8. 職業訓練に関する事項

9. 災害補償・業務外の疾病扶助に関する事項

10. 表彰・制裁の種類・程度に関する事項

11. その他当該事業場の全労働者に適用される定め

周知方法(労基法第106条第1項・同条施行規則第52条の2):

  • 常時各作業場の見やすい場所への掲示または備え付け
  • 書面の交付
  • 磁気テープ・磁気ディスクその他これらに準ずる物への記録(電磁的方法)でパソコン等で常時確認できる状態にする

就業規則と法律・労働協約・労働契約の効力の優先順序:

1. 労働基準法(最低基準・強行法規)= 最優先

2. 労働協約(労使間の集団的合意)= 労基法基準以上

3. 就業規則 = 労基法・労働協約の基準以上

4. 個別労働契約 = 就業規則の基準以上(労働者に有利な合意は可)

【試験での位置づけ】

就業規則の問題では「10人以上の作成義務」「意見聴取(同意取得ではない)」「届出義務と意見書添付」「周知方法(掲示・書面・電磁的方法の3種)」「記載事項の分類(絶対的・相対的・任意)」の5点が頻出です。「同意を得る義務」vs「意見を聴く義務」の違いは最頻出の引っかけです。また安全衛生に関する事項が「任意的記載事項」という誤りは選択肢イのパターンで繰り返し出題されます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 「意見を聴く」と「同意を得る」の違いは実務上も重要です。就業規則の不利益変更(賃金・労働時間等の労働条件の切り下げ)は、意見書添付だけでは足りず、合理性の要件が別途必要とされます(労働契約法第10条)。ただしこの「合理性」は「同意取得」とは異なります。
  • イ: 「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3分類の理解が試験では重要です。始業・終業時刻・賃金・退職が絶対的。安全衛生・退職手当・表彰制裁等が相対的(定めをおく場合は必須)。経営理念・社是等が任意的(法的義務なく自由に記載可)。
  • ウ: 意見書を「添付しなければならない」(添付が必要)という要件と、添付した意見書の内容が「反対意見であっても届出有効」という2点を組み合わせて覚えることが重要です。
  • エ: 電磁的方法(イントラネット・グループウェア等での掲示)は2004年の労基法改正で正式に認められました。全従業員がパソコンを使えない環境では掲示・書面等の補完が必要です。
  • オ: 就業規則の不利益変更(切り下げ)は「当事者合意」があっても無効です(強行法規・労働協約・就業規則の優先順位による)。ただし労働者個々の「合意」(労働契約法第9条・第10条)があれば一定の変更が認められる場合がありますが、これは「同意を得た場合に変更が有効になる」という個別合意の問題であり、「就業規則自体の効力」とは別の論点です。

【根拠法令】労働基準法 第89条(就業規則の作成義務・記載事項の分類)・第90条(意見聴取義務・意見書添付・届出義務)・第106条(周知義務・掲示・書面・電磁的方法)

【補足】就業規則作成は「同意取得義務」ではなく「意見聴取義務」(反対意見でも届出可能)。安全衛生事項は「任意的」ではなく「相対的記載事項」。周知方法は掲示・書面・電磁的方法の3種が認められる。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法(労基法)第89条(就業規則の作成義務・記載事項)・第90条(意見聴取・届出)・第106条(周知義務)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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