問題
長時間労働者への面接指導に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
誤りはアです。事業者は面接指導の結果に基づき医師の意見を聴かなければならず(安衛法第66条の8第4項)、その意見を「勘案」し、必要があると認めるときは就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮等の措置を講じなければなりません(同条第5項)。「参考にするかどうかを自由に判断できる」という部分が誤りです。
ウ(80時間超の労働者への時間情報の通知)、イ(80時間超・疲労蓄積・申出の条件)、エ(記録5年保存)、オ(研究開発業務・100時間超は申出不要)はいずれも正しい記述です。
長時間労働者への面接指導の制度(安衛法第66条の8・第66条の8の2):
面接指導には「一般の労働者(申出要件あり)」と「研究開発業務従事者(申出不要・強制的実施)」の2種類があります。
各選択肢の正誤と根拠:
- ウ(正): 安衛則第52条の2第3項の通り。事業者は、超えた時間の算定(毎月1回以上、一定の期日を定めて行う:同条第2項)を行ったときは、速やかに、月80時間を超えた労働者に、その超えた時間に関する情報を通知しなければなりません。
- イ(正): 週40時間を超えた時間が月80時間超+疲労の蓄積(安衛則第52条の2第1項)+労働者の申出(同第52条の3第1項)という条件が揃った場合、事業者は遅滞なく面接指導を行わなければなりません(同条第3項・安衛法第66条の8第1項)。
- ア(誤): 事業者は面接指導の結果に基づき医師の意見を聴かなければならず(安衛法第66条の8第4項)、その意見を「勘案し、その必要があると認めるときは」就業上の措置を講じなければなりません(同条第5項)。意見を「参考にするかどうかを自由に判断できる」という表現は、この勘案義務に反するため誤りです。
- エ(正): 安衛則第52条の6により、面接指導の結果の記録は5年間保存が必要です。
- オ(正): 安衛法第66条の8の2・安衛則第52条の7の2により、研究開発業務(労基法第36条第11項の業務)に従事する労働者で、週40時間を超えた時間が月100時間を超える者には、本人の申出がなくても事業者が面接指導を実施しなければなりません(申出要件なし)。
【理論的背景】
面接指導制度(安衛法第66条の8)は、長時間労働による健康障害(過労死・うつ病等)を未然に防ぐために設けられた予防的措置です。単に「長時間働いた事実」だけでなく「疲労の蓄積」と「申出」の要件を設けることで、本人が自覚的に受診を求める形になっています。
一方、研究開発業務従事者(安衛法第66条の8の2)は、労基法第36条の時間外労働の上限規制(同条第3項〜第5項等)が適用されない業務(同条第11項)であり、安衛法では申出要件を置かず、月100時間超で事業者に実施義務を課しています。
医師意見の「勘案義務」の法的意味(選択肢アが誤りの根拠):
事業者は医師の意見を聴かなければならず(安衛法第66条の8第4項)、その意見を「勘案し、その必要があると認めるときは」就業上の措置を講じなければなりません(同条第5項)。措置の要否を最終的に判断するのは事業者ですが、意見を勘案すること自体は義務です。「参考にするかどうかを自由に判断できる」という表現はこの勘案義務を無視する点で誤りです。
【実務・条文構造】
面接指導の種類と要件の比較:
【一般の労働者(安衛法第66条の8・安衛則第52条の2・第52条の3)】:
- 要件①: 休憩時間を除き週40時間を超えて労働させた時間が月80時間超
- 要件②: 疲労の蓄積が認められる
- 要件③: 労働者の申出(これがトリガー)
→ 3要件が揃った場合、事業者は遅滞なく面接指導を行う義務を負う
- 超えた時間の算定は毎月1回以上、一定の期日を定めて行い、月80時間を超えた労働者には速やかにその時間に関する情報を通知する(安衛則第52条の2第2項・第3項)
- 産業医は、要件に該当する労働者に申出を勧奨することができる(安衛則第52条の3第4項)
【研究開発業務従事者(安衛法第66条の8の2・安衛則第52条の7の2)】:
- 週40時間を超えた時間が月100時間を超える場合: 本人の申出不要・算定の期日後遅滞なく事業者が実施する義務
【面接指導実施後の流れ】:
1. 医師が面接指導を実施(申出があったときは遅滞なく)
2. 面接指導の後、遅滞なく医師から就業上の措置に関する意見を聴取(安衛法第66条の8第4項・安衛則第52条の7)
3. 事業者が意見を勘案し、必要があると認めるときは就業上の措置を講じる(安衛法第66条の8第5項)
- 措置内容: 就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少等
4. 面接指導の結果の記録作成・5年間保存(安衛則第52条の6)
5. 医師の意見の衛生委員会等への報告その他の適切な措置(安衛法第66条の8第5項)
80時間・100時間という数値は、36協定の上限(時間外・休日労働が月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内:労基法第36条第6項)と並べて整理すると覚えやすくなります。
【試験での位置づけ】
面接指導の問題は「申出要件(80時間超・疲労蓄積・申出の3条件)」「80時間超の労働者への時間情報の通知」「研究開発業務従事者(100時間超・申出不要)」「医師意見の勘案義務(自由判断ではない)」「記録5年保存」の5点が頻出です。kankei_06(ストレスチェック・面接指導)と本問(研究開発業務・勘案義務)はセットで理解する論点です。「勘案義務」vs「自由判断」という表現の微妙な違いに注意が必要です。
【各選択肢の発展補足】
- ウ: 通知は、労働者が自分の時間外・休日労働の状況を把握し、面接指導の申出につなげるための仕組みです(安衛則第52条の2第3項)。一般の労働者の面接指導は、月80時間超に加えて疲労の蓄積と申出が要件であり、時間数だけで申出要件が外れる規定はありません。
- イ: 80時間超・疲労蓄積・申出の3条件がポイントです。申出は算定の期日後、遅滞なく行うものとされています(安衛則第52条の3第2項)。
- ア: 第66条の8第5項は「医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは」措置を講じると定めています。措置の要否の判断は事業者に委ねられますが、意見の勘案は義務であり、「参考にするかどうかを自由に判断できる」という立場は条文と合いません。
- エ: 面接指導結果の記録は5年保存(安衛則第52条の6)。健康診断個人票(5年)と同じ保存期間です。両者を混同しないよう注意が必要ですが、結果的に両方5年です。
- オ: 研究開発業務(労基法第36条第11項の業務)は時間外労働の上限規制が適用されない代わりに、月100時間超で申出なしの面接指導が義務づけられています。面接指導の結果に基づく措置では、「作業の転換」が「職務内容の変更、有給休暇(年次有給休暇を除く)の付与」と読み替えられます(安衛法第66条の8の2第2項)。
【根拠法令】労働安全衛生法 第66条の8第1項(面接指導の実施)・第66条の8第4項(医師の意見聴取)・第66条の8第5項(意見を勘案した措置)・第66条の8の2(研究開発業務100時間超・申出不要)、労働安全衛生規則 第52条の2(80時間超・疲労蓄積の要件、時間情報の通知)・第52条の3(申出)・第52条の6(面接指導記録5年保存)・第52条の7の2(研究開発業務の100時間)
【補足】研究開発業務従事者の月100時間超面接指導は申出不要(強制実施)。医師の意見は「勘案して必要な措置を講じる義務」があり「自由に判断できる」ではない。記録は5年保存。
- 労働安全衛生法第66条の8e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生規則第52条の2・第52条の6・第52条の7・第52条の3e-Govで原文を読む
- 労働基準法第36条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第66条の8(面接指導の実施・申出要件)・第66条の8の2(研究開発業務従事者への特例)・第66条の8第5項(面接指導の結果に基づく措置)、労働安全衛生規則(安衛則)第52条の2〜第52条の7の2(面接指導の詳細規定)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

