関係法令(有害業務以外)33安全衛生管理体制

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問33:安全衛生管理体制

衛生委員会の調査審議事項および運営に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 衛生委員会は、労働者の健康に関する計画の作成に関することを調査審議しなければならない。
  • 衛生委員会は、ストレスチェック制度の実施に関することを調査審議事項として取り上げることが求められる。
  • 衛生委員会の議事の概要は、毎月所定の方法により労働者に周知させなければならないが、これは全文の開示ではなく要点のみで足りる。
  • 衛生委員会の委員として参加した衛生管理者・産業医は、委員会内での発言について、事業者に対して不利益な取扱いを受けることがない。
  • 衛生委員会は、調査審議に当たって、衛生管理者から定期的に職場巡視の結果と改善事項の報告を受けなければならないが、これは議題として設定する義務がある。正答
正答:衛生委員会は、調査審議に当たって、衛生管理者から定期的に職場巡視の結果と改善事項の報告を受けなければならないが、これは議題として設定する義務がある。

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誤りはオです。衛生委員会が「衛生管理者から定期的に職場巡視の結果と改善事項の報告を受けなければならない・これを議題として設定する義務がある」という規定は安衛法・安衛則には存在しません。衛生管理者は職場巡視の結果を事業者に報告する義務はありますが、「衛生委員会に議題として報告する義務」が法定されているわけではありません。実務上は報告されることが多いですが、法的義務として「義務がある」と断言する部分が誤りです。

ア(健康計画の作成の調査審議)、イ(ストレスチェック制度の審議)、ウ(議事の概要の周知・全文でなく要点で足りる)、エ(委員の発言保護)はいずれも正しい記述または適切な解釈です。

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衛生委員会の調査審議事項(安衛法第18条第1項・安衛則第22条)の詳細:

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 安衛法第18条第1項第2号「労働者の健康の保持増進を図るための基本対策」に健康計画の作成が含まれます。THP(トータル・ヘルスプロモーション)計画等の作成も審議対象です。
  • イ(正): 安衛法第66条の10(ストレスチェック制度)の実施に関する事項は、衛生委員会の調査審議事項として法令上・行政通達上求められています。ストレスチェック制度の実施規程・高ストレス者への対応・集団分析結果等が審議対象です。
  • ウ(正): 安衛則第23条第4項により、衛生委員会の議事の記録を作成して3年間保存する義務があります。また、議事の概要は「労働者に周知」する義務がありますが(安衛則第23条第3項)、「全文開示」の義務はなく要点・概要の周知で足ります。
  • エ(正): 安衛法第18条第3項(準用する安衛法第17条第3項)により、委員会の委員(衛生管理者・産業医等)は委員会内での発言を理由として不利益取扱いを受けないことが保障されています。
  • オ(誤): 衛生管理者の職場巡視結果を衛生委員会に報告する義務・議題設定義務は安衛則第23条等に明示されていません。衛生委員会の調査審議事項(安衛法第18条第1項・安衛則第22条)には衛生管理者の巡視報告を議題とすることの明示規定はありません。実務上は報告・共有されることが望ましいですが、「義務がある」と断言するのは誤りです。
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【理論的背景】

衛生委員会(安衛法第18条)の調査審議事項は法令(第18条第1項・安衛則第22条)で列挙されていますが、列挙は「例示」的性格も持ち、事業場の実情に応じた議題を追加することが可能です。ただし「義務として列挙された事項以外への義務の創設」は法令に根拠が必要であり、「衛生管理者の巡視結果を議題として必ず取り上げる義務」は法令上定められていません。

委員の発言保護(選択肢エ)の趣旨:

産業医・衛生管理者が委員会で「職場に問題がある・改善が必要」と発言した場合に、事業者(使用者)が当該発言を理由として不利益取扱い(降格・配置転換・給与減額等)を行うことを禁止するための規定です。これにより委員会が実質的な審議の場として機能することを確保します。

【実務・条文構造】

衛生委員会の法定調査審議事項(安衛法第18条第1項・安衛則第22条):

安衛法第18条第1項が定める調査審議事項:

1. 労働者の健康障害を防止するための基本対策

2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本対策(THP・健康計画等)

3. 労働災害の原因・再発防止対策(衛生に係るもの)

4. 労働者の精神的健康の保持増進のための対策(メンタルヘルス対策・ストレスチェック等)

5. 前各号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止・健康の保持増進に関して重要な事項

安衛則第22条が追加する調査審議事項(主要なもの):

  • 労働者を雇い入れた場合または労働者の作業内容を変更した場合の安全衛生教育
  • 年次有給休暇の取得に関する事項
  • 過重労働による健康障害防止のための対策
  • 化学物質の健康障害防止対策
  • 健康診断の実施・その結果に基づく措置

議事の周知(安衛則第23条第3項・第4項):

  • 周知義務: 毎月1回以上(開催ごとに)議事の概要を労働者に周知
  • 周知方法: 常時各作業場の見やすい場所への掲示・書面交付・電磁的方法等
  • 記録保存: 議事の記録を作成して3年間保存

発言保護規定(安衛法第18条第3項・準用):

  • 委員会の委員は、委員会での発言を理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けない
  • 対象: 衛生管理者・産業医・労働者代表委員等すべての委員
  • 「不利益な取扱い」: 解雇・降格・賃金減額・配置転換・嫌がらせ等

衛生管理者の巡視と委員会の関係(実務慣行 vs 法的義務):

  • 実務: 衛生管理者が毎週1回の巡視結果を委員会で報告するのが一般的な慣行
  • 法令: 衛生管理者の週1回巡視義務(安衛則第11条)はあるが、その結果を衛生委員会に議題として提出する法定義務は明示なし
  • 行政指導: 「職場巡視結果の委員会への報告を推奨」するガイドラインはあるが、法的義務ではない

【試験での位置づけ】

衛生委員会の問題では「法定調査審議事項の範囲」「議事の周知・記録保存(3年)」「委員の発言保護」が頻出です。本問のオのような「実務慣行を法的義務として断言する」誤りは試験の典型的な引っかけパターンです。「〜しなければならない」という義務的表現が、根拠法令があるかどうかを正確に確認することが重要です。ストレスチェック制度が衛生委員会の調査審議事項であること(選択肢イ)も近年の試験で問われるポイントです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 「健康の保持増進のための基本対策(第18条第1項第2号)」の内容として、THP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)に基づく健康診断・運動指導・保健指導・メンタルヘルスケア等が含まれます。これらの計画を衛生委員会で審議・策定することが求められます。
  • イ: ストレスチェック制度(安衛法第66条の10)の実施に関する事項を衛生委員会で審議することは厚生労働省の指針(「ストレスチェック制度の適切な実施のための留意事項について」)でも示されています。実施時期・実施体制・高ストレス者への対応方針等が典型的な審議事項です。
  • ウ: 議事録の「全文」周知ではなく「概要」周知が法令上の義務です。実務では議事の要点をまとめた「衛生委員会議事録(要旨)」を社内掲示板・イントラネット等で公開する形が一般的です。個人情報(健康情報等)が含まれる場合は適切に匿名化する必要があります。
  • エ: 発言保護があることで、産業医が「この職場は過重労働が深刻で改善が必要」と委員会で発言しても、その発言を理由に選任解除・待遇変更をすることが禁止されます。産業医の独立性・中立性を確保する重要な規定です。
  • オ: 正答の誤りの核心。「衛生管理者が巡視結果を委員会に義題として報告する義務がある」という記述は、安衛則第23条(委員会の運営)・安衛法第18条(調査審議事項)のいずれにも根拠がない義務を法定義務として断言しています。実務上推奨されることと法的義務は区別する必要があります。

【根拠法令】労働安全衛生法 第18条第1項(調査審議事項:健康障害防止・健康保持増進・メンタルヘルス等)・第18条第3項(委員の発言保護)、労働安全衛生規則 第23条(議事記録3年保存・議事の概要周知義務)

【補足】衛生管理者の巡視結果を衛生委員会の議題として取り上げることは推奨慣行であり、法定義務ではない。議事は概要周知(全文ではなく)。記録は3年保存。委員の発言保護あり。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第18条(衛生委員会の調査審議事項)、労働安全衛生規則(安衛則)第23条(委員会の運営・議事録・周知)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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