問題
衛生委員会の調査審議事項および運営に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはオです。衛生委員会が「衛生管理者から定期的に職場巡視の結果と改善事項の報告を受けなければならない・これを議題として設定する義務がある」という規定は安衛法・安衛則には存在しません。衛生管理者には少なくとも毎週1回の作業場等の巡視義務(安衛則第11条第1項)がありますが、その結果を衛生委員会の議題として報告させる義務は、衛生委員会の付議事項(安衛則第22条)にも委員会の運営の規定(同第23条)にも定められていません。
ア(健康に関する計画の作成の調査審議)、イ(ストレスチェック制度の審議)、ウ(議事の概要の周知・全文でなく概要で足りる)、エ(委員の半数の推薦に基づく指名)はいずれも正しい記述です。
衛生委員会の調査審議事項(安衛法第18条第1項・安衛則第22条)の詳細:
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 安衛則第22条は、衛生委員会の付議事項として「安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること」(第3号)、「労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること」(第8号)を定めています。
- イ(正): 安衛則第22条第10号は「労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること」を付議事項としています。さらに厚生労働省のストレスチェック制度実施マニュアルが示す指針は「衛生委員会等において、ストレスチェック制度の実施方法等について調査審議を行い」と定めています。
- ウ(正): 安衛則第23条第3項により、事業者は委員会の開催の都度、遅滞なく、議事の概要を掲示・書面交付・電磁的方法のいずれかで労働者に周知させなければなりません。周知の対象は「議事の概要」です。なお、議事の記録は3年間保存します(同条第4項)。
- エ(正): 安衛法第18条第4項は第17条第3項〜第5項を準用しています。これにより、議長となる委員(第18条第2項第1号の委員)以外の委員の半数は、過半数労働組合(ないときは過半数代表者)の推薦に基づき指名しなければならず(第17条第4項)、労働協約に別段の定めがあるときはその限度で適用されません(同条第5項)。
- オ(誤): 衛生管理者の職場巡視結果を衛生委員会の議題とする義務は、衛生委員会の付議事項(安衛法第18条第1項・安衛則第22条)にも委員会の運営の規定(安衛則第23条)にも定められていません。「義務がある」と断言する点が誤りです。
【理論的背景】
衛生委員会(安衛法第18条)の調査審議事項は、法第18条第1項の4号と、その第4号「重要事項」の内容を具体化した安衛則第22条の12号で定められています。義務として何を調査審議させるかは法令に根拠が必要であり、「衛生管理者の巡視結果を議題として必ず取り上げる義務」は法令上定められていません。
委員の構成と指名(選択肢エ):
安衛法第18条第4項は、安全委員会の第17条第3項〜第5項を準用しています。議長は第18条第2項第1号の委員(総括安全衛生管理者等から事業者が指名した者)がなり、それ以外の委員の半数は過半数労働組合(ないときは過半数代表者)の推薦に基づき指名しなければなりません。ただし労働協約に別段の定めがあるときは、その限度で適用されません。
【実務・条文構造】
衛生委員会の法定調査審議事項:
安衛法第18条第1項が定める調査審議事項:
1. 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること
2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること
3. 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること
4. 前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項
安衛則第22条が第4号の「重要事項」に含まれるとする事項(主要なもの):
- 衛生に関する規程の作成(第1号)
- 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分)の作成・実施・評価・改善(第3号)
- 衛生教育の実施計画の作成(第4号)
- 作業環境測定の結果とその評価に基づく対策の樹立(第6号)
- 健康診断等の結果とその結果に対する対策の樹立(第7号)
- 健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成(第8号)
- 長時間にわたる労働による健康障害の防止を図るための対策の樹立(第9号)
- 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立(第10号)
委員会の運営(安衛則第23条):
- 開催: 毎月1回以上(第1項)
- 周知: 開催の都度、遅滞なく、議事の概要を掲示・備付け、書面の交付、または電磁的方法で労働者に周知(第3項)
- 記録保存: 委員会の意見と措置の内容、議事で重要なものを記録し3年間保存(第4項)
- 産業医は、衛生委員会に対して必要な調査審議を求めることができる(第5項)
衛生管理者の巡視と委員会の関係:
- 衛生管理者は少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、有害のおそれがあるときは直ちに必要な措置を講じなければならない(安衛則第11条第1項)
- その巡視結果を衛生委員会の議題として提出する義務は、安衛法第18条・安衛則第22条・第23条に定められていない
【試験での位置づけ】
衛生委員会の問題では「法定調査審議事項の範囲」「議事の周知・記録保存(3年)」「委員の構成・指名(半数は推薦に基づく)」が頻出です。本問のオのような「実務慣行を法的義務として断言する」誤りは試験の典型的な引っかけパターンです。「〜しなければならない」という義務的表現が、根拠法令があるかどうかを正確に確認することが重要です。ストレスチェック制度が衛生委員会の調査審議事項であること(選択肢イ)も近年の試験で問われるポイントです。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 計画に関する付議事項は、安全衛生に関する計画(衛生に係る部分)の「作成、実施、評価及び改善」(安衛則第22条第3号)と、健康の保持増進を図るため必要な措置の「実施計画の作成」(同第8号)の2つです。
- イ: 安衛則第22条第10号(精神的健康の保持増進対策)に加え、ストレスチェック制度の指針は、衛生委員会等でストレスチェック制度の実施方法等を調査審議し、その結果を踏まえて事業者が規程として定めるという手順を示しています。
- ウ: 周知の対象は議事の「概要」で、周知の方法は「常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること」「書面を労働者に交付すること」「電磁的記録に記録し、各作業場に労働者が常時確認できる機器を設置すること」のいずれかです(安衛則第23条第3項)。
- エ: 議長以外の委員の半数を推薦に基づき指名するのは、労働者側の意見を委員会に反映させるための仕組みです。衛生委員会の委員には、衛生管理者・産業医のうちから事業者が指名した者や、衛生に関し経験を有する労働者のうちから事業者が指名した者が含まれます(安衛法第18条第2項)。
- オ: 正答の誤りの核心。「衛生管理者が巡視結果を委員会に議題として報告する義務がある」という記述は、安衛則第23条(委員会の運営)・安衛法第18条(調査審議事項)・安衛則第22条(付議事項)のいずれにも根拠がない義務を法定義務として断言しています。
【根拠法令】労働安全衛生法 第18条第1項(調査審議事項)・第18条第2項(委員の構成)・第18条第4項(第17条第3項〜第5項の準用:議長・委員の半数の推薦)、労働安全衛生規則 第11条(衛生管理者の巡視)・第22条(付議事項)・第23条(毎月1回以上開催・議事の概要の周知・記録3年保存)
【補足】衛生管理者の巡視結果を衛生委員会の議題とする法定義務はない。議事は概要を周知(全文ではなく)。記録は3年保存。議長以外の委員の半数は過半数労働組合(過半数代表者)の推薦に基づき指名。
- 労働安全衛生法第18条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生規則第11条・第22条・第23条・第22条の12e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第18条(衛生委員会の調査審議事項)、労働安全衛生規則(安衛則)第23条(委員会の運営・議事録・周知)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

