問題
フレックスタイム制および裁量労働制に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正しいのはオです。企画業務型裁量労働制(労基法第38条の4)は、労使委員会の決議(委員の5分の4以上の多数による議決)と、その決議の行政官庁への届出が必要です。実施できるのは対象業務が存在する事業場に限られ、本社・本店のほか、事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる支社等も含まれます(厚生労働省の指針)。
各誤り: ア→フレックスタイム制でも清算期間内の総労働時間が法定時間の総枠を超えた部分は時間外労働となり割増賃金が必要。イ→フレックスタイム制の労使協定の届出は「清算期間が1か月を超える場合」のみ必要(1か月以内は不要)。ウ→専門業務型の対象業務を定めるのは労働基準法施行規則(省令)と告示であり、安衛則ではない。エ→企画業務型でも休日・深夜労働には実際に働いた時間に応じて割増賃金が必要。
フレックスタイム制・裁量労働制の比較(労基法第32条の3・第38条の3・第38条の4):
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(誤): フレックスタイム制(労基法第32条の3)では、清算期間を通じた実際の総労働時間が法定労働時間の総枠を超えた部分は時間外労働となり、25%以上の割増賃金が必要です。フレックスタイム制は「時間配分の自由」を与えるものであり、時間外労働の割増賃金義務を免除するものではありません。
- イ(誤): フレックスタイム制の労使協定の届出は、第32条の2第2項(協定の届出)を準用する第32条の3第4項によるもので、「清算期間が1か月以内のものであるときは、この限りでない」とされています。届出が必要なのは清算期間が1か月を超える場合だけです。
- ウ(誤): 専門業務型裁量労働制(労基法第38条の3)の対象業務は「厚生労働省令で定める業務」であり、労働基準法施行規則と告示で定められた20業務です(安衛則ではない)。根拠規則の名称が誤りです。
- エ(誤): 厚生労働省の解説は、労基法第35条の休日労働に関する規定と第37条の深夜時間帯の労働に関する規定は企画業務型で労働時間を算定する場合にも適用され、休日・深夜労働をした場合には「みなし労働時間ではなく、実際に働いた時間に応じて割増賃金を支払わなければなりません」としています。
- オ(正): 企画業務型裁量労働制(労基法第38条の4)の要件は「労使委員会の決議(委員の5分の4以上の多数による議決)+決議の行政官庁への届出」です。実施できるのは対象業務が存在する事業場(対象事業場)に限られ、本社・本店に限定されるわけではありません。
【理論的背景】
フレックスタイム制と裁量労働制は「労働時間の柔軟化」という共通点を持ちますが、目的・対象・設計が大きく異なります。
フレックスタイム制(労基法第32条の3):
- 目的: 始業・終業時刻の自由化(時間の使い方の柔軟化)
- 対象: 全業種・全職種に適用可能
- コア時間: 必ず出勤すべき時間帯(フレキシブルタイムと対になる)
- 清算期間: 3か月以内(1か月を超える場合は労使協定の届出が必要)
- 割増賃金: 清算期間内の法定枠超過分は時間外労働として割増賃金が必要
裁量労働制(専門業務型・企画業務型):
- 目的: 仕事の進め方・時間配分を労働者の裁量に委ねる
- 対象: 特定の業務(省令・告示で定める専門業務、または事業の運営に関する企画・立案・調査・分析の業務)に限定
- みなし時間: 実際の労働時間にかかわらず「協定・決議で定めた時間」を労働時間とみなす
- 割増賃金(企画業務型について厚生労働省の解説): みなし労働時間のうち法定労働時間を超える部分は割増賃金が必要。休日・深夜労働は実際に働いた時間に応じて割増賃金が必要
【実務・条文構造】
専門業務型裁量労働制(労基法第38条の3)の対象業務(省令・告示で定める20業務):
1. 新商品・新技術の研究開発または人文科学・自然科学に関する研究の業務
2. 情報処理システムの分析・設計の業務
3. 新聞・出版の記事の取材・編集、放送番組の制作のための取材・編集の業務
4. 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
5. 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー・ディレクターの業務
6. コピーライターの業務
7. システムコンサルタントの業務
8. インテリアコーディネーターの業務
9. ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
10. 証券アナリストの業務
11. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
12. 大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る)
13. 銀行・証券会社における顧客の合併・買収に関する調査・分析・考案・助言の業務(M&Aアドバイザーの業務。令和6年4月1日から追加)
14〜20. 公認会計士・弁護士・建築士(一級・二級・木造)・不動産鑑定士・弁理士・税理士・中小企業診断士の業務
企画業務型裁量労働制(労基法第38条の4)との主な違い:
- 専門業務型: 労使協定の締結+届出(第38条の3第2項による第38条の2第3項の準用)
- 企画業務型: 労使委員会の決議(委員の5分の4以上の多数による議決)+届出・対象業務が存在する事業場においてのみ実施可
企画業務型の対象事業場(厚生労働省の指針):
企画業務型を実施できるのは対象業務が存在する事業場に限られ、具体的には「本社・本店である事業場」のほか、「当該事業場の属する企業等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場」なども含まれます。指針は、平成15年の労働基準法改正により「事業運営上の重要な決定が行われる事業場に限定されないこととなった」としつつ、「いかなる事業場においても企画業務型裁量労働制を実施することができるということではな」いと述べています。
フレックスタイム制の清算期間:
- 清算期間は3か月以内の期間に限られる(労基法第32条の3第1項第2号)
- 清算期間が1か月を超える場合は、1か月ごとに区分した各期間を平均し1週間当たり50時間を超えないことも必要(同条第2項)
- 清算期間が1か月を超える場合のみ、労使協定の届出が必要(同条第4項)
【試験での位置づけ】
この分野では「フレックスタイム制でも法定枠超過分は割増あり」「裁量労働制でも休日・深夜の割増あり」「専門業務型と企画業務型の要件の違い(労使協定 vs 労使委員会決議)」「フレックスタイム制の届出義務(清算期間1か月超の場合のみ)」の4点が頻出です。企画業務型の対象事業場を「本社・本店のみ」と限定する記述は誤りとなる点にも注意が必要です。
【各選択肢の発展補足】
- ア: フレックスタイム制での時間外労働の算定は「清算期間中の実際の総労働時間が清算期間の法定労働時間の総枠(週40時間×清算期間の週数)を超えた分」です。1日・1週単位ではなく清算期間全体で判断する点が通常の時間外計算と異なります。
- イ: 清算期間1か月以内は届出不要、1か月超3か月以内は届出必要という区別が問われます。「フレックスタイム制の労使協定は常に届出必要」という誤りに注意が必要です。
- ウ: 「安衛則ではなく労基則(労基法施行規則)」という規則名の区別は細かいですが、労働安全衛生規則と労働基準法施行規則を混同しないことが重要です。安衛則は安衛法の施行規則、労基則は労基法の施行規則として区別されます。
- エ: みなし労働時間制は労働時間の算定方法を定めるもので、休日(労基法第35条)・深夜(同第37条)の規定の適用は排除されません。厚生労働省の解説は、休日・深夜労働をした場合は「みなし労働時間ではなく、実際に働いた時間に応じて」割増賃金を支払うとしています。また、休憩(第34条)や年次有給休暇(第39条)の規定も適用されます。
- オ: 正答。企画業務型は「対象業務が存在する事業場」においてのみ実施でき、本社・本店のほか、企業等の事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる支社等も対象事業場になり得ます(厚生労働省の指針)。
【根拠法令】労働基準法 第32条の3(フレックスタイム制・清算期間・届出)・第38条の3(専門業務型裁量労働制・労使協定)・第38条の4(企画業務型・労使委員会決議・届出)、労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針(対象事業場)
【補足】フレックスタイム制でも清算期間内の法定枠超過分は割増賃金必要。企画業務型裁量労働制は労使委員会決議+届出が必要・対象業務が存在する事業場(本社・本店に限られない)で実施。休日・深夜の割増は裁量労働制でも必要。
- 労働安全衛生規則e-Govで原文を読む
- 労働基準法第38条の4・第32条の3・第38条の3・第35条e-Govで原文を読む
- 労働基準法施行規則e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法(労基法)第32条の3(フレックスタイム制)・第38条の3(専門業務型裁量労働制)・第38条の4(企画業務型裁量労働制)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

