関係法令(有害業務以外)39健康管理

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問39:健康管理

ストレスチェック制度に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 常時50人以上の労働者を使用する事業場の事業者は、1年以内ごとに1回、ストレスチェックを実施しなければならない。
  • ストレスチェックの結果は、検査を実施した医師、保健師等から直接労働者本人へ通知され、本人の同意なく事業者に提供することはできない。
  • 高ストレス者として選定された労働者が面接指導を申し出た場合、事業者はその労働者に対して医師による面接指導を行わなければならない。
  • 常時50人以上の労働者を使用する事業場でストレスチェックを実施した場合であっても、その実施結果を所轄労働基準監督署長に報告する義務はない。正答
  • ストレスチェックの主な目的は、労働者のストレスの程度を把握し、メンタルヘルス不調となることを未然に防止することである。
正答:常時50人以上の労働者を使用する事業場でストレスチェックを実施した場合であっても、その実施結果を所轄労働基準監督署長に報告する義務はない。

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誤っているのはエです。常時50人以上の労働者を使用する事業場は、ストレスチェックの実施後に所轄労働基準監督署長へ実施状況を報告する義務があります(安衛則第52条の21・心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書)。したがって「50人以上で実施しても報告義務はない」とするエは誤りです。

なお常時50人未満の事業場はストレスチェック自体が努力義務(実施義務なし)で、任意実施した場合も報告義務はありません。ア(50人以上・年1回実施義務)、イ(結果は本人通知・事業者提供に本人同意必須)、ウ(高ストレス者の申出で面接指導義務)、オ(目的は一次予防=未然防止)はいずれも正しい記述です。

標準試験対策の基準レベル

ストレスチェック制度の全体像(安衛法第66条の10):

2015年12月施行のストレスチェック制度は、「一次予防(未然防止)」を目的とし、医師・保健師等が実施主体となります。

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 常時50人以上の事業場では年1回以上の実施が義務(安衛則第52条の9)。50人未満は努力義務。
  • イ(正): 結果は実施者(医師・保健師等)から直接本人に通知。事業者への提供には本人の同意が必須(安衛法第66条の10第2項)。同意なき情報提供は禁止。これはプライバシー保護の核心ルール。
  • ウ(正): 高ストレス者が面接指導を申し出た場合、事業者は医師による面接指導を実施しなければならない(安衛法第66条の10第3項)。申出なしでの強制は不可。
  • エ(誤): 常時50人以上の事業場は、ストレスチェック実施後に所轄労働基準監督署長への報告義務あり(安衛則第52条の21)。選択肢エは「50人以上で実施しても報告義務はない」としており、報告義務の存在を否定する点が明確な誤りです。なお50人未満は努力義務なので実施しても報告不要です。
  • オ(正): ストレスチェックの目的は一次予防(未然防止)と集団的職場環境改善。
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【理論的背景】

ストレスチェック制度(安衛法第66条の10)は、2014年改正により新設され、2015年12月1日に施行されました。制度創設の背景として、日本における精神障害による労災請求件数の増加(2010年代に急増)と、過重労働・職場環境起因のメンタルヘルス不調が社会問題化したことがあります。

この制度が「二次予防(早期発見・早期対応)」ではなく「一次予防(発症前の未然防止)」を第一目的に位置づけている点が制度設計の特徴です。従来の健康診断制度(事後的な疾病発見型)と異なり、ストレスの原因となる職場環境そのものを集団分析によって改善することを目指します。

【実務・条文構造】

ストレスチェック制度の手続きフロー:

1. 実施(安衛則第52条の9): 常時50人以上の事業場で、医師・保健師・研修修了の看護師または精神保健福祉士が年1回実施

2. 結果通知(安衛法第66条の10第2項): 実施者(医師等)から直接労働者本人へ通知。事業者への提供は本人同意が必要条件

3. 面接指導の申出(同第3項): 高ストレスと判定された労働者が申し出た場合に事業者は医師による面接指導を実施

4. 就業上の措置(同第4項): 面接指導結果に基づき医師の意見を聴取し、必要に応じて就業制限・労働時間短縮等の措置

5. 集団分析(任意): 事業場全体または部署単位で集団的なストレス状況を分析し、職場環境改善に活用(義務ではないが実施が推奨)

6. 報告(安衛則第52条の21): 常時50人以上の事業場は実施状況を所轄労働基準監督署長に報告(様式第6号の2)

本人同意なき事業者提供の禁止が制度の根幹であり、この点が従来の健康診断制度(事業者が結果を直接管理)と大きく異なります。個人情報保護とメンタルヘルス不調の「ラベリング」による就業差別防止が立法趣旨です。

【試験での位置づけ】

ストレスチェック制度の出題パターン:

  • 「50人以上で義務・50人未満は努力義務」の数値
  • 「結果は本人通知・事業者提供には同意が必要」のプライバシー保護
  • 「面接指導は高ストレス者の申出が前提(強制できない)」の申出要件
  • 「実施後の監督署への報告義務(50人以上)」
  • 「目的は一次予防(未然防止)」という位置づけ

2015年施行という比較的新しい制度のため、「努力義務と実施義務の区別」「同意の要否」「報告義務の有無」が頻繁に出題されます。50人未満の小規模事業場で任意実施した場合の報告不要という知識と、50人以上で実施義務かつ報告義務がある事実を区別して整理しましょう。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 「1年以内ごとに1回」は定期健康診断と同じ頻度。実施時期に特段の定めはないが、年度内に1回実施することが通常の運用。複数年のうち一部実施しない年があれば義務違反。
  • イ: 本人同意なしで事業者へ結果が渡ると、メンタルヘルス不調を理由とした不当な人事評価・解雇・配置転換が起きる可能性がある。制度が「個人の受診抑制を防ぐ」目的でこのルールを設けています。
  • ウ: 高ストレス者の判定基準は厚生労働省の指針に基づいて実施者(医師等)が設定。事業者は判定結果(個人情報)を見ることなく、あくまで「申出があった者」への対応として面接指導を手配します。
  • エ: 本肢の誤りは「50人以上で実施しても報告義務がない」と断じた点です。実際は50人以上の事業場には報告義務があり、これを果たさない場合は安衛法の行政指導・改善勧告の対象となりえます。報告様式(第6号の2「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」)には実施人数・面接指導実施人数等を記載します。
  • オ: 一次予防(未然防止)に加え、集団分析による職場環境改善も重要な目的です。個人の結果だけでなく部署全体のストレス傾向を把握して職場環境に介入することが制度の目指す「根本対策」です。

【根拠法令】労働安全衛生法 第66条の10(ストレスチェック)、労働安全衛生規則 第52条の9(実施義務・年1回・50人以上)・第52条の21(報告義務)

【補足】50人以上=実施義務+報告義務。50人未満=努力義務+報告不要。結果の事業者提供は本人同意が必須。面接指導は高ストレス者の申出が前提。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第66条の10(ストレスチェック)、労働安全衛生規則第52条の9〜第52条の21。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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