衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問38|労働基準法の強行規定・罰則

問題

衛生管理者 | 関係法令(有害業務以外)

労働基準法の強行規定性と罰則に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正しいのはアです。労基法第13条(強行規定)は、労基法の基準を下回る労働条件を定める合意は無効(労基法の基準が自動的に代わりとして適用される)と定めています。労働者が自発的に同意した場合でも、その合意は無効となります(労働者保護のため、不利益な合意も強行規定の下では効力を持ちません)。

各誤り: ウ→無効となるのは基準に達しない「その部分」だけで、契約全体が無効になるわけではありません(労基法第13条)。イ→法人も両罰規定(労基法第121条)により罰金刑の対象となります。エ→労基法を上回る(有利な)条件を定めることは自由であり、違反ではありません(同法第1条第2項)。オ→刑事罰は刑事手続(捜査・起訴・裁判)を経て科されるもので、違反と同時に「直ちに」科されるものではありません。

労働基準法の強行規定性と法的効果(労基法第13条):

各選択肢の正誤と根拠:

  • ウ(誤): 労基法第13条は、基準に達しない労働条件を定める労働契約は「その部分については無効とする」と定め、無効となった部分は「この法律で定める基準による」としています。契約全体を無効とするのではなく、基準に達しない部分だけを無効にして労基法の基準で置き換える仕組みです。
  • イ(誤): 労基法第121条の両罰規定により、違反行為をした者が事業主のために行為した代理人・使用人その他の従業者である場合は、事業主(法人を含む)に対しても各本条の罰金刑が科されます。法人は罰金刑の対象になります。
  • ア(正): 労基法第13条の規定通り。この条文は「最低基準効(下限規制)」と呼ばれ、労基法の基準を下回る部分の合意を無効として、労基法の基準を自動的に代入します。労働者が「残業代は要りません」等の同意をしても無効です。
  • エ(誤): 労基法は「最低基準(下限)」を定めるものであり、上回る(労働者に有利な)条件を定めることは自由であり、違反にはなりません。労基法第1条第2項も「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」と規定しています。
  • オ(誤): 労基法の罰則(拘禁刑・罰金)は刑罰であり、刑事訴訟法の手続(捜査・起訴・裁判)を経て科されます。労働基準監督官は労基法違反の罪について司法警察官の職務を行う(労基法第102条)とされていますが、違反と同時に「直ちに刑事罰が科される」わけではありません。

【理論的背景】

労働基準法の法的構造の核心は「最低基準の設定」です(労基法第1条第2項)。この「最低基準性」は2つの意味を持ちます:

1. 強行規定性(下限規制): 最低基準を下回る労働条件の合意は無効(労基法第13条)

2. 向上義務: 最低基準を理由に労働条件を引き下げることは禁止され、向上努力が求められる(労基法第1条第2項)

労使協定による例外:

  • 労基法には、個々の労働者との合意ではなく、過半数労働組合(ないときは過半数代表者)との書面による協定がある場合に限って原則の例外を認める規定があります。例: 一斉休憩の原則の例外(第34条第2項ただし書)、年次有給休暇の計画的付与(第39条第6項)、時間外・休日労働(第36条第1項)
  • これらは「当事者が合意すれば基準を下回ってよい」という意味ではなく、法律が定める手続を踏んだ場合に限って認められる例外です

第13条の2つの効果:

1. 無効効果: 基準に達しない部分が無効になる(第13条前段「その部分については無効とする」)

2. 直律効果: 無効になった部分は労基法の基準による(第13条後段)

【実務・条文構造】

労基法第13条の効果(最低基準効):

「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。」

適用例:

  • 「法定割増賃金(25%)を支払わない合意」→ その合意は無効・25%以上の割増賃金が自動的に適用
  • 「有給休暇を一切与えない合意」→ その合意は無効・労基法第39条の有給休暇権が発生
  • 「深夜勤務を無条件に命じる合意」→ 深夜割増(25%)の支払い義務は残る

両罰規定(労基法第121条):

  • 対象: 事業主(個人事業主または法人)
  • 内容: 違反行為をした者が事業主のために行為した代理人・使用人その他の従業者である場合、行為者が処罰されるほか、事業主にも各本条の罰金刑が科される
  • 例外: 事業主(法人の場合はその代表者)が違反の防止に必要な措置をした場合は、この限りでない(第121条第1項ただし書)

主な罰則の種類(労基法):

  • 1年以上10年以下の拘禁刑又は20万円以上300万円以下の罰金(強制労働の禁止(第5条)違反:第117条)
  • 6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金(時間外・休日労働の上限(第36条第6項)違反等:第119条)
  • 30万円以下の罰金(就業規則の作成・届出(第89条)違反等:第120条)

刑事罰が科される手続:

  • 労基法の罰則は刑罰であり、刑事訴訟法の手続(捜査・起訴・裁判)を経て科される
  • 労働基準監督官は、労基法違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う(第102条)

【試験での位置づけ】

労基法の強行規定性に関する問題では「労基法は最低基準(下限規制)」「下回る合意は無効→労基法の基準が自動代入(第13条)」「上回る条件は自由(違反ではない)」「両罰規定(法人も罰金刑)」の4点が頻出です。アの正答(下回る合意は労働者同意でも無効)は最重要の論点です。エの誤り(上回る条件が違反)は逆説的な引っかけとして出題されます。

【各選択肢の発展補足】

  • ウ: 第13条は「部分無効」の規定です。たとえば賃金や労働時間の一部が基準に達しない場合でも、契約全体が無効となって労働者が地位を失うのではなく、その部分だけが労基法の基準に置き換わります。「全体が無効」とすると、かえって労働者の保護に反する結果になります。
  • イ: 両罰規定は、行為者だけでなく事業主にも罰金刑を科すものです。ただし、事業主(法人の場合はその代表者)が違反の防止に必要な措置をしていた場合は科されません(第121条第1項ただし書)。
  • ア: 正答。労働者の同意があっても最低基準を下回る合意が無効になる根拠は、「情報・交渉力の非対称性から労働者を保護する」という労働法の基本的な理念にあります。個別の同意よりも社会的な最低基準を優先する設計です。
  • エ: 「労基法を上回る(有利な)条件は禁止されないのか?」という疑問に対して、労基法第1条第2項は「基準を理由に低下させてはならない(向上努力義務)」と規定しており、むしろ向上を奨励しています。優れた待遇で労働者を惹きつけることは経営上の正当な手段であり、法律上何ら問題ありません。
  • オ: 刑事罰は裁判を経て科されるものであり、違反の事実だけで「直ちに」科されるものではありません。労働基準監督官は労基法違反の罪について司法警察官の職務を行います(第102条)。

【根拠法令】労働基準法 第1条第2項(最低基準・向上努力)・第13条(基準に達しない部分は無効・労基法の基準による)・第102条(労働基準監督官の司法警察官の職務)・第117条・第119条・第120条(罰則)・第121条(両罰規定:事業主にも罰金刑)

【補足】労働者が同意しても労基法の基準に達しない部分は無効で、労基法の基準による(第13条)。無効は「その部分」だけで契約全体ではない。上回る条件は自由。事業主(法人を含む)は両罰規定により罰金刑の対象(第121条)。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法(労基法)第1条(労働条件の原則)・第13条(この法律違反の契約)・第102条(労働基準監督官の司法警察官の職務)・第121条(両罰規定)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

この問題の関連トピック

  • 労働基準法の強行規定・罰則
  • 頻出度B

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