問題
労働災害の報告・届出に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤っているのはエです。労働者が労働災害等により死亡したとき、事業者に義務付けられているのは、労働者死傷病報告を遅滞なく、電子情報処理組織を使用して所轄労働基準監督署長に報告すること(安衛則第97条第1項)です。死亡について「電話等で報告する」ことを義務付ける規定は法令にありません。なお、安衛則第96条の「事故報告」は火災・爆発やクレーンの倒壊などの事故についての報告(遅滞なく様式第22号)で、死亡事故の電話報告を定めたものではありません。
労働者死傷病報告の制度と提出タイミング(安衛則第97条):
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 労働災害等により死亡し、または休業したときは報告対象(安衛則第97条第1項)。派遣労働者の場合は、報告する事業者が派遣先・派遣元のいずれに該当するかの別も報告事項です(同項第7号)。
- イ(正): 休業4日以上(死亡を含む)は「発生のつど」遅滞なく、電子情報処理組織を使用して報告(安衛則第97条第1項)。
- ウ(正): 休業4日未満は1〜3月・4〜6月・7〜9月・10〜12月の期間ごとに、各期間の最後の月の翌月末日までにまとめて報告(同条第2項)。
- エ(誤): 死亡について「電話等で報告する」義務を定めた規定はありません。死亡の場合も、労働者死傷病報告を遅滞なく提出するのが法令上の手続きです(同条第1項)。
- オ(正): 安衛法第100条第1項の規定による報告をせず、または虚偽の報告をした場合は50万円以下の罰金(安衛法第120条第5号)。
事故報告(安衛則第96条)との区別:
- 対象は事業場内の火災・爆発、高速回転体の破裂、建設物等の倒壊、ボイラーの破裂、クレーンの倒壊・ジブの折損などの事故
- 報告方法は「遅滞なく、様式第22号による報告書」の提出
→ 労働者の死傷の有無や人数を要件とする規定ではなく、「電話等で直ちに」と定めた規定でもありません。
【理論的背景】
労働者死傷病報告制度(安衛法第100条・安衛則第97条)は、労働災害の発生状況を行政(労働基準監督署)が把握するための情報収集制度です。報告事項には、被災労働者の氏名・職種・経験期間、傷病の名称及び部位、労働災害等の発生日時・発生場所・発生状況とその略図・原因などが含まれます(安衛則第97条第1項各号)。
「労働者死傷病報告」を提出しない(いわゆる「労働災害を隠す」ことを「労災かくし」と呼びます)行為は、報告をしなかった場合として罰則(50万円以下の罰金・安衛法第120条第5号)の対象となります。虚偽の報告も同号により処罰対象です。
安衛則第96条の「事故報告」は、火災・爆発やクレーン等の倒壊といった事故そのものを行政が把握するための別個の仕組みです。死傷病報告(第97条)と事故報告(第96条)はどちらも「遅滞なく」提出するもので、死亡事故について電話報告を義務付ける規定はありません。試験では「死亡事故は電話等で報告する義務があるか」という形で問われます。
【実務・条文構造】
労働者死傷病報告の提出区分(安衛則第97条):
| 休業日数 | 提出タイミング | 報告方法 |
|---|---|---|
| 4日以上(死亡含む) | 遅滞なく(発生のつど)(第1項) | 電子情報処理組織を使用 |
| 4日未満(1〜3日) | 1〜3月・4〜6月・7〜9月・10〜12月の期間ごと、最後の月の翌月末日まで(第2項) | 電子情報処理組織を使用(休業日数も報告) |
| 休業なし | 報告不要(第97条は「死亡し、又は休業したとき」が対象) | — |
(休業4日以上・死亡は「遅滞なく」。休業4日未満は四半期ごと翌月末日まで。不休は報告不要。この区分の数値を正確に押さえること。)
事故報告(安衛則第96条)の対象事例:
1. 事業場内の事故: 火災・爆発、遠心機械・研削といし等の高速回転体の破裂、機械集材装置・巻上げ機・索道の鎖や索の切断、建設物・煙突・高架そう等の倒壊
2. ボイラー・圧力容器: ボイラーの破裂・煙道ガスの爆発、小型ボイラー・第一種圧力容器・第二種圧力容器の破裂
3. クレーン等: クレーンの逸走・倒壊・落下・ジブの折損、移動式クレーンの転倒、ワイヤロープ・つりチェーンの切断など
4. エレベーター・建設用リフト・簡易リフト・ゴンドラの所定の事故
→ 報告方法: 遅滞なく、様式第22号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出
→ 死傷病報告と併せて提出するときは、重複する記載事項の記入は要しない(同条第2項)
1人の死亡事故の手続き:
- 安衛則第97条第1項の労働者死傷病報告を「遅滞なく」、電子情報処理組織を使用して報告
- 電話等で報告することを義務付けた規定はない
派遣労働者の場合:
- 報告事項に「報告を行う事業者が派遣先・派遣元のいずれに該当するかの別」と「派遣先の事業場の名称及び郵便番号」が含まれる(安衛則第97条第1項第7号)
【試験での位置づけ】
死傷病報告の頻出ポイント:
- 「4日以上(死亡含む)は遅滞なく」「3日以下は四半期報告」という提出タイミングの区分
- 事故報告(安衛則第96条:火災・爆発・クレーン倒壊等の事故、遅滞なく様式第22号)と死傷病報告(第97条)の区別。死亡事故の電話報告義務は規定されていない
- 「虚偽報告(労災かくし)は50万円以下の罰金」
試験では「死亡事故は電話で即時報告が必要か」という形で誤りの選択肢として登場します。また「休業1〜3日は報告不要」という誤り選択肢も定番です(不休のみ報告不要で、休業1〜3日は四半期報告が必要)。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 報告の対象は「労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒」(労働災害等)による死亡・休業です(安衛則第97条第1項)。派遣労働者が被災した場合は、報告する事業者が派遣先・派遣元のいずれに該当するかの別も報告します(同項第7号)。
- イ・ウ: 「4日以上は遅滞なく」(安衛則第97条第1項)、「4日未満は1〜3月・4〜6月・7〜9月・10〜12月の期間ごとに、最後の月の翌月末日まで」(同条第2項)の区分を押さえます。4日未満の報告では休業見込期間(第9号)に代えて休業日数を報告します。
- エ: 法令上の義務は「労働者死傷病報告を遅滞なく、電子情報処理組織を使用して報告すること」(安衛則第97条第1項)です。死亡について電話等で報告することを義務付けた規定はありません。安衛則第96条の事故報告も、火災・爆発・クレーン倒壊等の事故について「遅滞なく様式第22号の報告書」を提出するもので、電話報告の規定ではありません。
- オ: 「労災かくし」(労働者死傷病報告の不提出・虚偽記載)は、安衛法第100条第1項の規定による報告をせず、または虚偽の報告をしたものとして、50万円以下の罰金の対象です(安衛法第120条第5号)。
【根拠法令】労働安全衛生法 第100条(報告義務)・第120条第5号(50万円以下罰金)、労働安全衛生規則 第96条(事故報告:火災・爆発・クレーン倒壊等の事故、遅滞なく様式第22号)・第97条(労働者死傷病報告:4日以上は遅滞なく・4日未満は四半期報告、いずれも電子情報処理組織を使用)
【補足】4日以上(死亡含む)は遅滞なく、4日未満は四半期ごとに翌月末日まで、いずれも電子情報処理組織を使用して報告。死亡事故を電話等で報告する法令上の義務はない。
- 労働安全衛生法第100条・第120条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生規則第97条・第96条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第100条(報告等)・第120条第5号、労働安全衛生規則(安衛則)第97条(労働者死傷病報告)・第96条(事故報告)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

