問題
健康診断の結果に関する個人情報の取り扱いに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
誤っているのはイです。安衛法第66条の5は、事業者が医師等の意見を勘案し「その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮…等の措置を講ずる」と定めています。措置を講ずるのは事業者で、労働者の同意は要件ではありません。指針は、あらかじめ労働者の意見を聴き「了解が得られるよう努めることが適当」としていますが、これは努力であり、同意がなければ実施できないという意味ではありません。
ア(目的外使用の禁止)・オ(第三者提供は本人同意が原則)・ウ(産業医への提供)・エ(本人への開示)は正しい内容です。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 安衛法第104条第1項は、労働者の心身の状態に関する情報を「労働者の健康の確保に必要な範囲内で」収集し、「当該収集の目的の範囲内で」保管・使用しなければならないとしています(本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合を除く)。
- オ(正): 健康診断の結果は、病歴等を含む「要配慮個人情報」(個人情報保護法第2条第3項)に当たりえます。個人データの第三者提供は、法令に基づく場合などの例外を除き、あらかじめ本人の同意が必要です(同法第27条第1項)。
- ウ(正): 安衛法第66条の4は異常の所見のある労働者について医師等の意見を聴くことを、第13条第4項・安衛則第14条の2は産業医への情報提供を事業者に義務付けています。就業上の措置のための産業医への提供は、法令に基づくものとして本人の同意を要しません。
- エ(正): 個人情報保護法第33条により、本人は保有個人データの開示を請求でき、事業者は本人が請求した方法(困難な場合は書面の交付)で遅滞なく開示しなければなりません(例外事由を除く)。
- イ(誤): 第66条の5の措置は、事業者が必要と認めて講ずるものです。指針の「了解が得られるよう努める」は努力であり、労働者の同意は措置の要件ではありません。
【理論的背景】
健康診断の結果は、労働者にとって最も配慮を要する情報の一つです。一方で事業者には、その結果に基づいて就業上の措置を講ずる義務があります。安衛法は、①結果の記録・通知、②医師等の意見聴取と就業上の措置、③心身の状態に関する情報の適正な取扱い(第104条)を定め、個人情報保護法は要配慮個人情報の第三者提供や開示のルールを定めています。
【実務・条文構造】
1. 記録・保存(安衛法第66条の3・安衛則第51条):
- 事業者は健康診断個人票を作成して5年間保存
2. 労働者への通知(安衛法第66条の6・安衛則第51条の4):
- 健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく結果を通知
3. 医師等の意見聴取(安衛法第66条の4・安衛則第51条の2):
- 異常の所見があると診断された労働者について、健康診断が行われた日から3月以内に医師又は歯科医師の意見を聴き、意見を健康診断個人票に記載
- 指針は、産業医の選任義務のある事業場では産業医から意見を聴くことが適当としています
4. 就業上の措置(安衛法第66条の5・指針):
- 事業者は医師等の意見を勘案し、必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずる
- 指針: 措置を決定する場合には、あらかじめ当該労働者の意見を聴き、十分な話合いを通じてその労働者の了解が得られるよう努めることが適当。産業医の選任義務のある事業場では、必要に応じて産業医の同席の下に意見を聴くことが適当
5. 心身の状態に関する情報の取扱い(安衛法第104条):
- 健康の確保に必要な範囲内で収集し、収集の目的の範囲内で保管・使用(本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合を除く)
- 情報を適正に管理するために必要な措置を講ずる(第2項)
6. 個人情報保護法:
- 要配慮個人情報: 病歴等を含む個人情報(第2条第3項)
- 第三者提供の制限: 法令に基づく場合、人の生命・身体・財産の保護のために必要で本人の同意を得ることが困難な場合などを除き、あらかじめ本人の同意が必要(第27条第1項)
- 開示: 本人が請求した方法(困難な場合は書面の交付)で遅滞なく開示(第33条)
【試験での位置づけ】
頻出ポイントは「健康情報は健康確保に必要な範囲で取り扱う(第104条)」「第三者提供は本人同意が原則」「産業医への提供は法令に基づく」「就業上の措置は事業者が必要と認めて講ずる(労働者の了解は努力)」です。イは、指針の「了解を得るよう努める」を「同意がなければ実施できない」にすり替えた引っかけです。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 第104条第3項に基づき、厚生労働大臣は事業者が講ずべき措置について指針を公表することとされています。
- オ: 第27条第1項の例外には、法令に基づく場合のほか、人の生命・身体・財産の保護のために必要がある場合であって本人の同意を得ることが困難なときなどがあります。
- ウ: 安衛則第14条の2は、事業者が産業医に提供すべき情報として、健康診断後に講じた(又は講じようとする)措置の内容、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた時間が1月当たり80時間を超えた労働者の氏名等(安衛則第52条の2第1項の時間)を挙げています。
- エ: 安衛法第66条の6により、事業者は求めがなくても健康診断の結果を労働者に通知しなければなりません。
- イ: 就業上の措置を決めるときは、労働者の意見を聴き、了解が得られるよう話し合うことが求められますが、最終的に措置を講ずる判断は事業者が行います(第66条の5第1項)。
【根拠法令】労働安全衛生法 第13条第4項・第66条の3・第66条の4・第66条の5・第66条の6・第104条、労働安全衛生規則 第14条の2・第51条・第51条の2・第51条の4、個人情報の保護に関する法律 第2条第3項・第27条第1項・第33条、健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(安全衛生情報センター収録 https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-19/hor1-19-1-1-0.htm)
【補足】就業上の措置は事業者が医師等の意見を勘案して必要と認めて講ずる(労働者の同意は要件ではなく、了解を得るよう努める)。第三者提供は本人同意が原則(個人情報保護法第27条)。健康情報は健康確保に必要な範囲で取り扱う(安衛法第104条)。
- 労働安全衛生法第66条の5・第104条・第66条の4・第66条の3・第66条の6・第13条e-Govで原文を読む
- 個人情報の保護に関する法律第2条・第33条・第27条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生規則第14条の2・第51条・第51条の4・第51条の2・第52条の2e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第13条第4項・第66条の3・第66条の4・第66条の5・第66条の6・第104条、労働安全衛生規則(安衛則)第14条の2・第51条・第51条の2・第51条の4、個人情報の保護に関する法律 第2条第3項・第27条第1項・第33条、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

