関係法令(有害業務以外)53労働基準法

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問53:労働基準法

産前産後休業および育児休業に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 産前休業は、出産予定日の8週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得できるが、使用者の請求により強制的に取得させることはできない。
  • 産後休業は、出産後8週間を経過するまで就業させてはならないが、産後6週間を経過した女性が請求し、医師が支障がないと認めた場合は就業させることができる。正答
  • 育児休業は、子が1歳(保育所入所を希望しているが入所できない等の場合は最長2歳)に達するまで取得できるが、男性労働者(父親)は育児休業を取得できない。
  • 育児休業中は、育児休業給付金(雇用保険から支給)は支給されない。
  • 育児休業を取得した労働者を、育児休業を理由として解雇することは、育児・介護休業法により禁止されており、違反した場合は当該解雇は当然に無効となる。
正答:産後休業は、出産後8週間を経過するまで就業させてはならないが、産後6週間を経過した女性が請求し、医師が支障がないと認めた場合は就業させることができる。

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正しいのはイです。産後休業について、労基法第65条第3項は「産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることができる」と定めています。産後8週間以内は原則として就業禁止ですが、産後6週間経過後(6週間超え)に本人の請求と医師の承認がある場合は例外的に就業可能です。

各誤りの要点: ア→産前休業を請求できるのは「6週間以内(多胎妊娠は14週間以内)に出産する予定の女性」であり、「8週間前から」は数値が誤りです(8週間は産後休業の期間。後半の「使用者が強制取得させられない」は正しい)。ウ→育児休業は男性も取得できます(育介法)。エ→育児休業中は雇用保険の育児休業給付金が支給されます(休業開始時賃金の最初67%・6か月後50%)。オ→育介法第10条が解雇禁止を定めていますが「当然に無効」という法的効果については解釈の余地があり、「無効」とする判例もありますが、法文上は「不利益取扱いの禁止」として定められています。

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産前産後休業・育児休業の全体像(労基法・育介法):

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 産前休業を請求できるのは「6週間以内(多胎妊娠の場合は14週間以内)に出産する予定の女性」です(労基法第65条第1項)。選択肢アは「8週間前(多胎14週間前)から」としており、産前の起算週数が誤りです(8週間は産後休業の原則期間と混同したもの)。なお後半の「使用者の請求により強制的に取得させることはできない(本人請求制)」は正しい内容ですが、前半の数値が誤っているため肢全体としては誤りです。
  • イ(正): 産後休業の例外(労基法第65条第3項): ①産後6週間経過後 ②本人の請求 ③医師が支障がないと認めた業務 → 就業可能。「産後6週間」と「産後8週間」の区別(6週間経過後=請求+医師許可で就業可、8週間は産後休業の原則期間)が重要です。
  • ウ(誤): 育児休業は男性(父親)も取得できます(育介法第5条)。2022年の改正(産後パパ育休の創設)以降、男性の育児休業取得促進策が強化されています。
  • エ(誤): 育児休業給付金は雇用保険から支給されます(雇用保険法第61条の7〜第61条の8)。休業開始から180日間(約6か月)は休業開始時賃金月額の67%、以降は50%が支給されます。
  • オ(誤): 育介法第10条は「育児休業の申出・取得を理由とする解雇その他不利益な取り扱いの禁止」を定めています。しかし「当然に無効」という法的効果は法文上明示されていません(民法上の公序良俗違反・権利濫用等の解釈で無効となる可能性は高いですが)。
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【理論的背景】

産前産後休業(労基法第65条)と育児休業(育介法)は、法律の根拠が異なります。産前産後休業は労働基準法の保護規定(最低基準)として強行規定的に設けられており、産後休業は原則として「使用者が就業させることができない」という絶対的な禁止規定(ただし6週間後の例外あり)です。育児休業は育介法という独立した法律で定められた「権利としての休業制度」です。

2022年育介法改正(産後パパ育休・男性育休促進)の主要内容:

1. 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設: 子の出生後8週間以内に4週間(28日)まで取得可能・分割2回取得可・就業も一定条件で可

2. 育児休業の分割取得可: 育児休業を分割して2回まで取得可能(改正前は原則1回)

3. 育児休業取得状況の公表義務: 従業員1,000人超の事業者は育児休業取得率を公表する義務

4. 育児休業取得促進のための雇用環境整備義務

【実務・条文構造】

産前産後休業・育児休業の主要制度の整理:

産前休業(労基法第65条第1項):

  • 要件: 6週間以内(多胎妊娠は14週間以内)に出産予定の女性が請求した場合
  • 性質: 本人請求制(請求がなければ取得しないことも可能)
  • 使用者の義務: 請求があった場合に就業させることができない(強制取得は不可)

産後休業(労基法第65条第2項・第3項):

  • 原則: 出産後8週間は就業禁止(強行規定・本人同意があっても就業不可)
  • 例外: 産後6週間を経過した場合に①本人の請求 ②医師が支障がないと認めた業務 → 就業可能
  • 「6週間」と「8週間」の意味:

- 6週間: 産後6週間経過後(例外が始まる時点)

- 8週間: 産後休業の全体期間(原則の就業禁止期間)

育児休業(育介法第5条〜第9条の2):

  • 対象: 原則として1歳未満の子を養育する労働者(男女問わず・契約社員等も条件次第で可)
  • 延長: ①保育所入所不可等の場合→最長1歳6か月(さらに延長で2歳まで可)
  • 分割取得: 2022年改正により2回まで分割取得可
  • 有期雇用労働者の条件: 子が2歳になるまでの間に労働契約が満了しないことが確実

育児休業給付金(雇用保険法第61条の7):

  • 支給対象: 育児休業を取得した被保険者(雇用保険加入者)
  • 支給率: 休業開始後180日間=休業開始時賃金の67%、180日経過後=50%
  • 支給上限・下限額あり

育児休業取得者の保護(育介法第10条):

  • 育児休業の申出・取得を理由とする解雇その他不利益取り扱いの禁止
  • 不利益取り扱いの例: 解雇・雇止め・降格・昇給停止・不利益な配置転換等
  • 「当然無効」の法文規定はないが、解雇の場合は公序良俗違反(民法第90条)・権利濫用(労契法第16条)として無効と判断される可能性が高い

【試験での位置づけ】

産前産後・育児休業の頻出ポイント:

  • 「産後6週間経過後+本人請求+医師承認=就業可(例外)」
  • 「産後8週間以内は原則就業禁止」(6と8の区別が重要)
  • 「育児休業は男性も取得可」
  • 「育児休業給付金は雇用保険から支給(67%→50%)」
  • 「2022年改正:産後パパ育休・分割取得可・公表義務(1,000人超)」

引っかけパターン:

  • 「産後6週間は就業禁止(8週間が正しい)」
  • 「産後8週間経過後に本人請求で就業可(6週間後が正しい)」
  • 「育児休業は女性のみ」(男性も可)
  • 「育児休業中は給付金なし」(雇用保険から支給あり)

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 産前休業は「6週間以内(多胎14週間以内)に出産予定の女性が請求した場合」に取得でき、本肢の「8週間前から」は数値が誤りです(8週間は産後休業の原則期間)。産前休業の「本人請求制」は、妊娠中でも元気に働きたい女性の選択を尊重する設計です。一方、産後休業(第65条第2項)は「本人が希望しても就業禁止(6週間まで)」という強行規定であり、産前と産後で性質が大きく異なります。「産前6週間・産後8週間」という数値の組合せを正確に押さえることが重要です。
  • イ: 産後6週間経過後の就業許可の「医師が支障がないと認めた業務」という条件は、全業務を許可するのではなく、医師が安全と判断した特定の業務のみです。重労働・立ち仕事等は許可されない場合があります。
  • ウ: 2022年改正で「産後パパ育休」(出生時育児休業)が創設され、子の出生後8週間以内に最大28日間、分割2回取得が可能になりました。これは通常の育児休業とは別の制度として設けられ、男性の育児参加を促進する政策的な意図があります。
  • エ: 育児休業給付金は、被保険者(雇用保険加入者)が育児休業を取得した場合に支給されます。自営業者・フリーランスは原則として雇用保険に加入しないため、給付金の支給対象外です。有期雇用労働者は一定の条件を満たす場合に受給できます。
  • オ: 育介法第10条が解雇の「当然無効」を明示していない理由は、「不利益取り扱いの禁止」という行政規制として設計されているためです。実際の解雇の有効性は、労働契約法第16条(客観的合理的理由・社会通念上相当性)・民法第90条(公序良俗)の解釈で判断されますが、実務上は「育児休業取得を理由とした解雇は無効」と解釈されるケースが圧倒的多数です。

【根拠法令】労働基準法 第65条(産前産後休業:産後6週間経過後+本人請求+医師承認で就業可・産後8週間以内は原則就業禁止)、育児・介護休業法 第5条〜第9条(育児休業:男女問わず・最長2歳まで)・第10条(育休取得理由の不利益取り扱い禁止)、雇用保険法 第61条の7〜第61条の8(育児休業給付金:67%→50%)

【補足】産後は6週間経過後+本人請求+医師承認で就業可(6と8の区別が重要)。育児休業は男女問わず取得可能。育休給付金は雇用保険から67%(180日後50%)支給。2022年改正で男性育休促進策が強化(産後パパ育休・分割取得・1,000人超企業の公表義務)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法(労基法)第65条(産前産後休業)・第66条(育児時間)、育児・介護休業法(育介法)第5条〜第10条(育児休業・解雇禁止)、雇用保険法(育児休業給付)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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