衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問55|安全衛生配慮義務・労働契約法第5条の射程

問題

衛生管理者 | 関係法令(有害業務以外)

使用者の安全配慮義務(労働契約法第5条)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ

タップするとすぐ答え合わせ

答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)

解説

正しいのはウです。厚生労働省の「労働契約法のあらまし」は、第5条の「生命、身体等の安全」には「心身の健康も含まれる」とし、「必要な配慮」は一律に定まるものではなく、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて求められると解説しています。

各誤りの要点: ア→安全配慮義務は労働契約法第5条に明文化されています。イ→第5条の義務は労働契約上の付随的義務なので、違反は債務不履行(民法第415条)としても構成でき、不法行為に限られません。エ→労働契約に特段の根拠規定がなくても、使用者は当然に安全配慮義務を負います。オ→生命・身体の侵害による損害賠償請求権は「十年間」が「二十年間」と読み替えられます(民法第167条)。

安全配慮義務の法的根拠・内容・射程(労契法第5条・民法・判例):

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 安全配慮義務は労働契約法第5条に「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と明文で定められています(平成20年3月施行)。
  • イ(誤): 厚生労働省の解説では、第5条は、使用者が「労働契約上の付随的義務として当然に安全配慮義務を負うこと」を規定したものとされています。契約上の義務の違反は債務不履行(民法第415条:債務の本旨に従った履行をしないとき)として損害賠償を請求でき、不法行為(民法第709条)に限られません。
  • ウ(正): 同解説は、第5条の「生命、身体等の安全」には「心身の健康も含まれる」とし、「必要な配慮」は「一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を求めるものではありません」が、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて必要な配慮をすることが求められるとしています。
  • エ(誤): 同解説は、第5条の「労働契約に伴い」は「労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に、使用者は安全配慮義務を負うことを明らかにしたもの」としています。「特段の根拠規定を設けた場合に限り」は誤り。
  • オ(誤): 債権は、権利を行使することができることを知った時から5年間、または権利を行使することができる時から10年間行使しないときに時効によって消滅します(民法第166条第1項)。ただし、人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権については、この「十年間」が「二十年間」とされます(民法第167条)。延長する特則がないとする本肢は誤り。

【理論的背景】

安全配慮義務は、もともと判例で認められてきた義務です。厚生労働省の解説によれば、判例において、労働契約の内容として具体的に定めずとも、労働契約に伴い信義則上当然に、使用者は労働者を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っているとされてきましたが、これは民法等の規定からは明らかではありませんでした。そこで、労働契約法第5条で、使用者は当然に安全配慮義務を負うことが規定されました(参考裁判例:陸上自衛隊事件〔最高裁昭和50年2月25日〕、川義事件〔最高裁昭和59年4月10日〕)。

川義事件は、宿直勤務中の従業員が盗賊に殺害された事例で、使用者は「労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)」を負うとし、その具体的内容は「労働者の職種、労務内容、労務提供場所等安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によつて異なるべきもの」と判示しました。

安全配慮義務の法的性質(労働契約法のあらまし):

  • 労働契約上の付随的義務(労働契約に特段の根拠規定がなくとも当然に負う)
  • 「生命、身体等の安全」には心身の健康も含まれる
  • 「必要な配慮」は一律に定まるものではなく、具体的な状況に応じて求められる
  • 労働安全衛生法をはじめとする労働安全衛生関係法令に定められた具体的な措置は、当然に遵守されなければならない

【実務・条文構造】

安全配慮義務と関係する主な法令上の措置(いずれも安衛法等で事業者に義務付けられた具体的措置):

1. 健康管理:

  • 健康診断の実施(安衛法第66条)
  • 長時間労働者等への医師による面接指導(安衛法第66条の8)

2. メンタルヘルス:

  • 心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)(安衛法第66条の10)

損害賠償請求権の消滅時効(民法):

債務不履行(民法第415条)構成不法行為(民法第709条)構成
主観的起算点権利を行使することができることを知った時から5年(第166条第1項第1号)損害及び加害者を知った時から3年(第724条第1号)。生命・身体を害する場合は5年(第724条の2)
客観的起算点権利を行使することができる時から10年(第166条第1項第2号)。生命・身体の侵害は20年(第167条)不法行為の時から20年(第724条第2号)

→ 生命・身体の侵害による損害賠償では、どちらの構成でも「知った時から5年・客観的起算点から20年」となります。

【試験での位置づけ】

安全配慮義務の頻出ポイント:

  • 「労働契約法第5条に明文規定あり」(安衛法だけではない)
  • 「労働契約上の付随的義務として当然に負う(特段の根拠規定は不要)」
  • 「生命、身体等の安全には心身の健康も含まれる」
  • 「損害賠償根拠は債務不履行(民法415条)と不法行為(民法709条)のいずれでも構成できる」
  • 「生命・身体の侵害の消滅時効は客観的起算点から20年」

「安衛法のみに根拠」「不法行為のみが根拠」「特段の根拠規定が必要」という誤りが典型的な出題パターンです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 労働契約法第5条の原文は「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」です。安衛法は事業者の講ずべき具体的な措置を定める法律で、両者は別の法律です。
  • イ: 第5条の義務は労働契約上の付随的義務なので、その不履行は民法第415条の債務不履行として構成できます。不法行為(民法第709条)として構成することもでき、「常に不法行為に限られる」は誤りです。
  • ウ: 「必要な配慮」は使用者に特定の措置を求めるものではありませんが、労働安全衛生関係法令で定められた具体的な措置は当然に遵守されなければなりません。
  • エ: 「労働契約に伴い」という文言が、特段の根拠規定がなくても当然に安全配慮義務を負うことを明らかにしています。
  • オ: 民法第167条は「人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権」について第166条第1項第2号の「十年間」を「二十年間」と読み替えます。不法行為構成でも、生命・身体を害する場合は主観的起算点からの期間が「三年間」から「五年間」に読み替えられます(第724条の2)。

【根拠法令】労働契約法 第5条(労働者の安全への配慮)、民法 第166条・第167条(消滅時効)・第415条(債務不履行による損害賠償)・第709条(不法行為)・第724条・第724条の2(不法行為の消滅時効)、最高裁判例(陸上自衛隊事件昭和50年・川義事件昭和59年)

【補足】安全配慮義務は労働契約法第5条に明文規定あり。労働契約上の付随的義務として当然に負う。「生命、身体等の安全」には心身の健康も含まれる。損害賠償は債務不履行・不法行為のいずれでも構成でき、生命・身体の侵害は客観的起算点から20年。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働契約法(労契法)第5条(労働者の安全への配慮)、民法第166条・第167条(債権等の消滅時効)・第415条(債務不履行)・第709条・第724条・第724条の2(不法行為)、厚生労働省「労働契約法のあらまし」(第5条の解説)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

この問題の関連トピック

  • 安全衛生配慮義務・労働契約法第5条の射程
  • 頻出度B

関連する問題

ページの先頭へ