問題
有期労働契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正しいのはエです。雇止め法理は労働契約法第19条に定められています。要件を満たす有期労働契約で、使用者が更新の申込みを拒絶することが「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」ときは、使用者は従前と同一の労働条件で申込みを承諾したものとみなされます。
各誤りの要点: ア→上限は原則3年ですが、高度の専門的知識等を有する労働者や満60歳以上の労働者との契約は5年まで認められます(労基法第14条第1項)。イ→無期転換申込権は通算契約期間が5年を超える場合に生じます(労契法第18条第1項)。ウ→30日前の予告の対象は「3回以上更新」または「雇入れから1年を超えて継続勤務」の場合で、「3回以上更新にのみ」は誤り。オ→転換後の労働条件は「別段の定めがある部分を除く」とされ、別段の定めによる変更が予定されています。
有期労働契約の主要ルール(労契法・労基法):
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(誤): 有期労働契約の期間の上限は原則3年(労基法第14条第1項)ですが、「高度の専門的知識等を有する労働者(その業務に就く者に限る)」および「満60歳以上の労働者」との労働契約は5年まで認められます(同項各号)。「3年を超える契約ができない」という断言は誤り。
- イ(誤): 無期転換申込権は、同一の使用者との間の2以上の有期労働契約の通算契約期間が5年を超える労働者に生じます(労契法第18条第1項)。本肢は「通算3年を超えた場合」としており、年数が誤りです(申込みをしたときに使用者が承諾したものとみなされる仕組みなので、申込みがなければ転換しないという後半は正しい)。
- ウ(誤): 30日前の予告は、労基法第14条第2項に基づく告示「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」第2条の定めで、対象は「3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者」の有期労働契約です(あらかじめ更新しない旨が明示されているものを除く)。「3回以上更新にのみ適用」は誤り。
- エ(正): 雇止め法理は労働契約法第19条に定められています。①過去に反復更新され、雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できる場合、または②更新を期待することに合理的な理由がある場合に、更新の申込みの拒絶が客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められないときは、使用者は従前と同一の労働条件で申込みを承諾したものとみなされます。
- オ(誤): 無期転換後の労働条件は、直前の有期労働契約と同一(契約期間を除く)ですが、「別段の定めがある部分を除く」とされています(労契法第18条第1項後段)。別段の定めによる変更を「一切認めない」は誤り。
【理論的背景】
日本の非正規雇用問題の核心の一つが「有期雇用の不安定性」です。有期労働契約は更新を繰り返すことで実質的には長期・継続的な雇用関係になりながらも、雇止めリスクを常に抱える不安定な立場に置かれます。この問題に対応するため、2012年8月の労働契約法改正(平成24年法律第56号)で無期転換ルール(第18条)と雇止め法理(第19条)が設けられました。第18条は2013年4月1日以後の日を契約期間の初日とする有期労働契約に適用され、それより前に始まった契約の期間は通算契約期間に算入しません(同法附則第2項)。
【実務・条文構造】
有期労働契約の主要ルールの整理:
1. 契約期間の上限(労基法第14条第1項):
- 原則: 3年を超える期間について締結してはならない
- 例外(5年):
- 厚生労働大臣が定める基準に該当する高度の専門的知識等を有する労働者(その業務に就く者に限る)との契約
- 満60歳以上の労働者との契約
- 一定の事業の完了に必要な期間を定める契約: その期間
2. 無期転換ルール(労契法第18条):
- 発生要件: 同一の使用者との間の2以上の有期労働契約の通算契約期間が5年を超えること
- 申込みの時期: 現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間
- 効果: 申込みをしたときは使用者が承諾したものとみなされ、満了日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約が成立する
- 空白期間: 契約と契約の間の空白期間が6月(直前の契約期間が1年未満の場合は、その2分の1を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上あるときは、それより前の契約期間は通算しない(同条第2項)
3. 雇止め法理(労契法第19条):
- 適用要件(いずれか):
- ①過去に反復して更新され、雇止めが「期間の定めのない労働契約の労働者への解雇の意思表示と社会通念上同視できる」と認められる場合
- ②契約期間の満了時に更新されると期待することについて合理的な理由がある場合
- 手続: 契約期間満了日までに更新の申込み、または満了後遅滞なく締結の申込み
- 効果: 申込みの拒絶が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」ときは、使用者は従前と同一の労働条件で申込みを承諾したものとみなす
4. 雇止めの予告(告示「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」):
- 対象(第2条): 3回以上更新し、または雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者の有期労働契約(あらかじめ更新しない旨が明示されているものを除く)
- 予告期間: 契約期間の満了する日の30日前まで
- 理由の証明書(第3条): 労働者が更新しない理由について証明書を請求したときは、遅滞なく交付
- 更新上限の説明(第1条): 締結後に通算契約期間や更新回数の上限を定め、または引き下げようとするときは、あらかじめ理由を説明
無期転換後の労働条件(労契法第18条第1項後段):
- 原則: 現に締結している有期労働契約の労働条件(契約期間を除く)と同一
- 例外: 別段の定めがある部分
- 告示第5条: 無期転換後の労働条件を明示する際、就業の実態に応じて均衡を考慮した事項について説明するよう努める
【試験での位置づけ】
有期労働契約の頻出ポイント:
- 契約期間の上限: 原則3年・高度の専門的知識等を有する者と満60歳以上の者は5年
- 無期転換: 「通算5年超え」「申込みにより承諾みなし(申込みがなければ転換しない)」「満了日の翌日から無期」
- 雇止め予告: 「3回以上更新または1年を超えて継続勤務」が対象・「30日前まで」
- 雇止め法理: 「労働契約法第19条(労働基準法ではない)」・効果は「承諾したものとみなす」
「5年超え」と「5年以上」の区別(「超え」は5年を含まない)は数値問題として重要です。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 5年の特例は労基法第14条第1項第1号(高度の専門的知識等を有する労働者で、その業務に就く者)と第2号(満60歳以上の労働者)です。高度の専門的知識等の基準は厚生労働大臣が定めます。
- イ: 通算契約期間の計算では、空白期間が6月以上(直前の契約期間が1年未満の場合は省令で定める期間以上)あると、それ以前の契約期間は算入されません(労契法第18条第2項)。
- ウ: 予告の対象は「3回以上更新」と「雇入れから1年を超えて継続勤務」のどちらか一方に該当すれば足ります(告示第2条)。
- エ: 第19条の効果は「無効」ではなく「従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」です。労働者からの更新(または締結)の申込みが前提になります。
- オ: 第18条第1項は「別段の定めがある部分を除く」としているため、別段の定めによって転換前と異なる労働条件とすることが予定されています。
【根拠法令】労働基準法 第14条第1項(有期労働契約の期間上限:原則3年・同項各号は5年)、労働契約法 第18条(無期転換ルール:通算契約期間5年超で申込みにより承諾みなし)・第19条(雇止め法理:従前と同一の労働条件で承諾みなし)、有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準 第2条(雇止め30日前予告:3回以上更新または1年を超えて継続勤務が対象)
【補足】契約期間上限は原則3年(同項各号は5年)。通算5年超で無期転換申込権(申込みにより承諾みなし)。雇止め法理は労働契約法第19条(労基法ではない)。予告対象は「3回以上更新または1年を超えて継続勤務」。
- 労働契約法第19条・第18条e-Govで原文を読む
- 労働基準法第14条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働契約法(労契法)第18条(無期転換ルール)・第19条(雇止め法理)、労働基準法(労基法)第14条(契約期間の上限)、有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号)第2条(雇止めの予告)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

