関係法令(有害業務以外)71労働基準法

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問71:労働基準法

高度プロフェッショナル制度(労基法第41条の2)に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 高度プロフェッショナル制度の対象となるためには、対象業務に従事しかつ年収が「少なくとも1,500万円」以上(省令で定める額)でなければならない。正答
  • 高度プロフェッショナル制度では、労働基準法の労働時間・休憩・休日・深夜業の割増賃金に関する規定が全て適用されなくなる。
  • 高度プロフェッショナル制度の適用には、労使委員会の5分の4以上の多数決による決議および行政官庁への届出、さらに労働者本人の同意が必要である。
  • 高度プロフェッショナル制度の対象業務として、「金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務」が省令に定められている。
  • 高度プロフェッショナル制度の適用労働者には、1年間を通じた休日が少なくとも104日以上確保され、かつ4週間を通じ4日以上の休日が必要である。
正答:高度プロフェッショナル制度の対象となるためには、対象業務に従事しかつ年収が「少なくとも1,500万円」以上(省令で定める額)でなければならない。

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誤りはアです。高度プロフェッショナル制度の年収要件は省令で定める額(現行は1,075万円)以上であり、「1,500万円以上」という記述は誤りです。

イは正しい記述です。高度プロフェッショナル制度では、労基法第41条の2第1項により「労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は適用しない」とされており、深夜業の割増賃金も適用除外されます。これは管理監督者(労基法第41条=労働時間・休憩・休日のみ除外で深夜割増は適用される)との決定的な違いです。ウ(労使委員会5分の4・届出・本人同意の3要件)、エ(対象業務の例示)、オ(104日以上・4週4日以上の休日確保)もいずれも正しい記述です。

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高度プロフェッショナル制度の概要(労基法第41条の2):

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 高度プロフェッショナル制度の年収要件は省令(労基則別表第1の2)で定める額以上であり、現行は年収1,075万円以上です。「1,500万円以上」という記述は誤りです。1,075万円は「基準年間平均給与額の3倍を相当程度上回る水準」として設定された額です。
  • イ(正): 労基法第41条の2第1項は、対象労働者について「第4章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は適用しない」と定めています。したがって深夜業の割増賃金(第37条第4項)も適用除外されます。管理監督者(第41条=労働時間・休憩・休日のみ除外。深夜割増は適用)と異なり、高プロは深夜割増も除外される点が重要です。
  • ウ(正): 労基法第41条の2第1項の適用には、①労使委員会の5分の4以上の決議、②所轄労働基準監督署長への届出、③労働者本人の書面による同意の三つが必要です。本人同意なしの適用は禁止されています。
  • エ(正): 省令(労基則別表第1の2)で定める対象業務には、「金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発」「資産運用(ファンドマネジャー)」「アナリスト」「コンサルタント」「研究開発(新技術・製品)」が含まれます。
  • オ(正): 労基法第41条の2第1項第3号により、年間休日104日以上かつ4週間に4日以上の休日確保が要件です。
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【理論的背景】

高度プロフェッショナル制度(2019年施行・働き方改革関連法)は、「専門的知識等を有し、一定の年収要件を満たす労働者が、その知識・技術・能力を十分に発揮して労働する」ために設けられた制度です。裁量労働制の「みなし時間」とは異なり、労働時間規制そのものから切り離す(脱時間給)仕組みです。

導入の背景として、高度専門人材は「1日8時間・週40時間」という画一的な時間管理より成果・自律性を重視した働き方の方が生産性向上につながるという考え方があります。ただし健康障害のリスクもあるため、厳格な健康管理要件(健康管理時間の把握・面接指導等)がセットになっています。

【実務・条文構造】

高度プロフェッショナル制度の適用要件(労基法第41条の2第1項):

要件①: 対象業務(5業務・労基則別表第1の2):

1. 金融商品の開発業務(金融工学等)

2. 資産運用業務(ファンドマネジャー)

3. アナリスト業務(有価証券の売買・調査・分析等)

4. コンサルタント業務(事業・業務の企画・立案等)

5. 研究開発業務(新技術・製品・商品・サービスの研究開発)

要件②: 年収(労基則別表第1の2):

  • 年収1,075万円以上(2019年施行時からの額。省令改正で変更可能)

要件③: 手続き的要件:

  • 労使委員会の5分の4以上の多数決による決議
  • 所轄労働基準監督署長への届出
  • 対象労働者の書面による同意(離脱の自由も確保)

要件④: 健康管理措置(労基法第41条の2第1項第3号・第4号):

  • 年間休日104日以上かつ4週間に4日以上の休日確保
  • 健康管理時間(事業場内での在社時間+事業場外での業務時間)の把握
  • 健康管理時間が週40時間超の部分が1か月100時間超または2か月平均80時間超の場合の申出なし面接指導(通常の面接指導と異なり申出不要)

適用除外となる規定(労基法第41条の2第1項本文):

  • 対象労働者には「労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は適用しない」
  • 具体的: 労働時間(第32条等)・休憩(第34条)・休日(第35条)・時間外及び休日の割増賃金(第37条)・深夜業の割増賃金(第37条第4項)も適用除外
  • 除外されない規定: 年次有給休暇(第39条)は適用される
  • 管理監督者(第41条)との違い: 管理監督者は労働時間・休憩・休日のみ除外で深夜割増は適用されるが、高プロは深夜割増も適用除外される

【試験での位置づけ】

高度プロフェッショナル制度は2019年の新制度で出題頻度は中程度ですが、「年収1,075万円」「5分の4決議」「本人同意必須」「年間104日休日」の数値が試験で問われます。裁量労働制(専門業務型・企画業務型)との比較問題も出題されます。特に「高プロは深夜割増も適用除外」「管理監督者は深夜割増は適用される」という両者の違いは頻出の重要論点です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 年収1,075万円という閾値は「基準年間平均給与額(毎月勤労統計の平均給与)の3倍を相当程度上回る水準」という考え方から設定されています。この水準は「高度専門人材」として一定の交渉力・自律性があることの判断基準です。実際に適用される企業は金融機関・コンサルティング会社・研究機関等に限られます。「1,500万円」のような誤った高い金額に引っかからないよう正確に「1,075万円」を覚えることが重要です。
  • イ: 高度プロフェッショナル制度では深夜の割増賃金も適用除外される点が、管理監督者(深夜割増は適用される)との決定的な違いです。ただし健康確保措置として深夜業の回数を含む健康管理時間の把握は別途必要であり、「賃金を払わない=健康管理もしない」ではない点に注意が必要です。
  • ウ: 本人同意の「書面による」要件は、後日トラブルを防ぐための形式要件です。同意の撤回(制度からの離脱)も可能ですが、撤回後に雇用条件上の不利益を与えることは禁止されています。
  • エ: 5業務の特徴は「高度な専門知識・技術と、成果が時間に比例しない業務」です。一般のホワイトカラー業務(事務職・営業職等)は対象外です。
  • オ: 年間104日という休日確保要件は「週2日休日×52週=104日」という計算に基づきます。この要件により「休日ゼロで無限に働かせる」ことを防止しています。

【根拠法令】労働基準法 第41条の2(高度プロフェッショナル制度・労働時間・休憩・休日・深夜の割増賃金を適用除外)、労働基準法施行規則 別表第1の2(対象業務・年収要件1,075万円)

【補足】高プロの3手続要件: 労使委員会5/4決議・届出・本人書面同意。年収1,075万円以上(1,500万円ではない)。年間104日以上の休日確保必須。深夜の割増賃金も適用除外(管理監督者は深夜割増が適用される点と区別)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法(労基法)第41条の2(高度プロフェッショナル制度)、労働基準法施行規則 第34条の2・別表第1の2(対象業務・年収要件)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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