関係法令(有害業務以外)77労働基準法

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問77:労働基準法

変形労働時間制に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 1か月単位の変形労働時間制を採用する場合、労使協定または就業規則その他これに準ずるものによって、1か月以内の一定の期間を平均して1週40時間を超えない定めを行う必要がある。
  • 1年単位の変形労働時間制を採用する場合は、過半数組合等との労使協定の締結が必要であり、就業規則への記載のみでは採用できない。
  • 1年単位の変形労働時間制における1日の労働時間の上限は10時間とされている。
  • 1か月単位の変形労働時間制において、業務の都合により特定された週または日に長時間労働が生じても、1か月を平均して週40時間以下であれば時間外労働の割増賃金は不要である。正答
  • 1週間単位の変形労働時間制(日ごとの変形)は、常時30人未満の労働者を使用する小規模事業の特定の業種においてのみ認められている。
正答:1か月単位の変形労働時間制において、業務の都合により特定された週または日に長時間労働が生じても、1か月を平均して週40時間以下であれば時間外労働の割増賃金は不要である。

AI解説(初心者・標準・上級)

理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠法令も明記。

初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

誤りはエです。1か月単位の変形労働時間制において、変形期間を平均して週40時間以下であることが必要ですが、変形労働時間制の枠を超えて実際に労働した時間(変形期間全体で法定労働時間の総枠を超えた時間)については時間外労働として割増賃金が必要です。「1か月平均で40時間以下であれば割増賃金は一切不要」という記述は誤りです。

ア(1か月変形の採用方法)、イ(1年単位は協定必要)、ウ(1年単位の1日上限10時間)、オ(1週間単位変形は小規模特定業種限定)はいずれも正しい記述です。

標準試験対策の基準レベル

変形労働時間制の種類と要件:

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 労基法第32条の2により、1か月単位変形は①労使協定または就業規則等への記載、②1か月以内の変形期間、③期間平均で週40時間以内という3要件が必要です。
  • イ(正): 1年単位変形(労基法第32条の4)は、過半数組合等との書面による労使協定が必要であり(就業規則への記載のみでは不可)、所轄労働基準監督署長への届出も必要です。
  • ウ(正): 1年単位変形制では、1日の労働時間の上限は10時間(労基法第32条の4第1項第1号・労基則第12条の4第3項)、1週間の労働時間の上限は52時間と定められています。
  • エ(誤): 変形労働時間制の枠内でも、変形期間全体での総枠(変形期間の暦日数×8時間/7日×40時間相当)を超えて実際に労働した時間については時間外労働の割増賃金が必要です(労基法第32条の2第2項)。「平均40時間以下であれば割増不要」は誤りです。
  • オ(正): 1週間単位変形制(労基法第32条の5)は、常時30人未満の労働者を使用する小売業・旅館・料理・飲食店に限り認められています。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

変形労働時間制は、業務の繁閑の波(季節的変動・週ごとの繁忙差等)がある業種で「繁忙期に長時間・閑散期に短時間」という柔軟な時間管理を可能にする制度です。「一定期間を平均して1週40時間以内」という原則を守りながら、日・週単位の時間変動を認めています。

ただし「平均40時間以下なら時間外賃金は一切不要」とはなりません。変形制の法的根拠は「当初から変形する旨を定めた時間内の労働は法定労働時間内とみなす」という設計であり、変形枠を超えた時間は通常の時間外労働として割増賃金が必要です。

【実務・条文構造】

変形労働時間制の3種類の比較:

| 種類 | 変形期間 | 採用要件 | 1日の上限 | 適用対象 |

|-----|--------|--------|---------|--------|

| 1か月単位(第32条の2) | 1か月以内 | 協定または就業規則 | 法律上の明示上限なし(実質的には協定で定める) | 全業種 |

| 1年単位(第32条の4) | 3か月超〜1年以内 | 書面協定必須・監督署届出 | 10時間 | 全業種 |

| 1週間単位(第32条の5) | 1週間 | 書面協定必須 | 10時間 | 30人未満の小売・旅館・飲食店 |

1年単位変形の追加制限(労基則第12条の4):

  • 連続して労働させる日数の上限: 6日間(特定期間は12日間)
  • 特定期間(繁忙期として指定できる期間): 1年に数週間程度
  • 1週間52時間超の週の回数制限: 3か月に1回以下かつ年3回以下

1か月単位変形制での時間外労働の発生パターン:

1. 変形制で「特定の日8時間超・特定の週40時間超」に指定された時間内の労働 → 時間外なし

2. 変形制で指定された時間を超えて実際に働いた時間 → 時間外(日・週単位で判定)

3. 変形期間全体で総枠を超えた時間(上記1・2で未処理のもの) → 時間外

実務上の注意点:

  • 変形制を導入しても36協定は別途必要(変形制は法定時間内の配置方法の問題)
  • 変形制の枠を超えた実際の時間外労働は36協定の範囲内で行う必要がある
  • 変形制採用事業場でも月60時間超の割増賃金(50%)は適用される

フレックスタイム制との違い:

  • 変形労働時間制: 使用者が事前に労働時間を指定(コアタイムなしの一方的指定)
  • フレックスタイム制: 労働者が清算期間内で出退勤時刻を自由に決定
  • どちらも「一定期間平均で週40時間以内」が基本原則

【試験での位置づけ】

変形労働時間制は「1か月・1年・1週間の3種類」「1年単位は書面協定必須(就業規則のみ不可)」「1年単位の1日上限10時間・連続6日上限」「1週間単位は30人未満・小売等限定」が頻出です。本問エの「平均40時間以下なら割増不要」は誤り選択肢の典型パターンです。実際の時間外発生メカニズムを理解することが重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 1か月単位変形の「協定または就業規則等」という要件は、1年単位変形(書面協定必須)と異なります。労使の合意形成手段に幅があります。ただし変形期間・各日・各週の所定労働時間を事前に定める必要があります。
  • イ: 1年単位変形で書面協定が必須な理由は、変形期間が長く・労働者への影響が大きいため、労使合意を形式要件として確保する必要があるためです。書面協定は所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。
  • ウ: 1日10時間上限(1年単位変形)は、それを超えると「長時間労働・健康障害リスク」が高まるという医学的知見に基づきます。1か月単位変形には条文上の明示的1日上限はありませんが、36協定・就業規則で実際の上限を定めます。
  • エ: 変形労働時間制で一部の日・週に長時間労働が集中しても「変形期間の平均で40時間以内」であれば変形枠内の法定時間外としての扱いは不要ですが、実際にその指定時間を超えた部分は当然に時間外となります。この区別が試験で問われます。
  • オ: 1週間単位変形の対象業種(小売・旅館・飲食店)は、週ごとに繁閑差が大きく(週末繁忙・平日閑散等)、1週間単位での柔軟な時間配分が合理的な業種です。30人未満という規模要件は大規模事業場では労使間の合意形成が可能であるという判断から設けられています。

【根拠法令】労働基準法 第32条の2(1か月単位変形)・第32条の4(1年単位変形・書面協定必須・届出)・第32条の5(1週間単位変形・30人未満・特定業種)、労働基準法施行規則 第12条の4(1年単位変形の1日10時間上限・連続6日上限)

【補足】1年単位変形は書面協定必須(就業規則のみ不可)。1日上限10時間・連続6日。1週間単位は30人未満の小売等限定。変形制採用でも変形枠超の時間外は割増賃金必要。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法(労基法)第32条の2(1か月単位変形)・第32条の4(1年単位変形)・第32条の5(1週間単位変形)、第36条(36協定・時間外労働の上限)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

関連論点

変形労働時間制(1か月・1年単位頻出度B

関係法令(有害業務以外)の他の問題

1
安全衛生管理体制
2
安全衛生管理体制
3
健康診断
4
安全衛生管理体制
5
労働基準法
6
健康診断・メンタルヘルス

科目別に解いて、衛生管理者に合格

関係法令・労働衛生・労働生理を305問。第一種・第二種対応。各問に根拠法令とAI解説(3レベル)付き。